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STAGE1-7異世界とNew face


眩しい


カーテンから指す光に少しの不快感と倦怠感を感じながら目を覚ます。

怠い体を起こしながら目を擦り辺りを見回す。

部屋だ。大きな部屋ではない人が私室として使うには充分とは思える部屋。壁は白塗りでワインレッドの絨毯が敷かれてあり、部屋の端には多くはないが本が入った本棚と文字らしきものが書かれた紙の置いてある机と椅子。


(...読めない...)

机の上に置かれた紙に書かれているものを見る。

一見して理解は不能だったがエリアが転生前に使っていた光の文字に何となくそれは似ていた。

(エリア...転生...っ転生、そうだ!)

だんだんハッキリしてきた意識に

ふと記憶を遡らせ部屋の窓へ駆け寄り窓のカーテンを開ける。


(ふおおぉぉ...!)


カーテンを開け、見えたのは多くの緑。

草木が生い茂り、他に窓から見えた場所からは

チラホラと建物が見えた。石組みで組まれたであろう煙突のついた家や、木で建てられた小屋。

それらの前には土で雑に舗装された道があり

その風景で自分の記憶に当てはまるものは

一つしかなかった。


(村だ...。RPGとかでよく見る村だ)


そうだ、自分は転生した。

少女を助け命を落とし、エリアに転生され

この世界へとやってきた。夢じゃないかと

頬をつねる。 イタイ。そして気づく。

(俺の手ちっちゃい!)

それは保育園児並の小さな手で、

よく見れば周りの物のサイズも少し大きい気がした。

(違うか、俺が小さいんだ。ってことは、)

窓からの景色を見るのをやめ部屋においてある鏡へと走る。距離は2m程なのにやけに遠く感じる。そう思いながらも鏡の前にたち自分の姿を

確認する。そこには自分が良く知り、また

最も馴染み深い“高峰天弥”の姿ではなく

小さい少年の姿があった。髪の毛は金髪で少し前頭部分が跳ねている。瞳は大きく綺麗な青色で輪郭は小さく子供独特の丸みがありながらも整っていてそこそこに格好よかった。

(ふむ、イケメンではあるけど滅茶苦茶カッコイイって訳では無いな。エリアめ、どうせなら凄いかっこよくしてくれたら良かったのに。)


そんな贅沢な愚痴をこぼしていると扉を叩く音と若い女性の声が聞こえてきた。

「坊ちゃん、入りますよぉ〜。」

呑気な声と共に扉が開けられる。

そこから顔を覗かせたのは15歳前後と思われる若い女性だった。

髪は茶髪で肩くらいまで伸びている。

目鼻立ちは整っていてひと目でわかる可愛い顔をしていた。


「もう朝ですからねぇ〜。起きて...ますね。

珍しいですね〜、悪い夢でもみましたぁ?」


「えっ?い、いや別にぃ↑」


「どうしたんですかぁ?語尾が上ずってますけどぉ?」

しまった、今の俺は子供。

自分から発した声に驚いて変なトーンでしゃべっちゃった。それにもう一つ驚いたことと言えば。


全体を黒の淑女服、純白のエプロン、カチューシャ、好きな人は好きなあの姿は、


「...メイドだ。」


「?は〜い、そですよ?メイドのケイトですよ?

それよりもう起きていらっしゃるなら着替えてくださいねぇ、ご飯の準備が出来ていますのでぇ」


自らをケイトと名乗るメイドの女性は

自分の発言を流すように会話を進める。


「じゃあ服を脱いでくださ〜い」


!!?

「まっ、待ってくれ!今!?」


「そですよ〜、のんびりしてると坊ちゃんまた寝ちゃうんですから〜ケイトが目をつけてないとダメなんですよ〜?」


着替えるのはいいけどなんであんたの前なんだよ!俺男だぞ!?...あそっか今の俺は8歳か

「わ、わかった!わかったよ!着替えるから、

ひとりで大丈夫だから!外にいてくれ!」


「え〜?ひとりで大丈夫なんですか〜?

まぁ、坊ちゃんがそう言うならいいですけどぉ。じゃあケイトは部屋のお外にいるので、着替えたらお外出てくださいねぇ」


着替えの服を置いて「珍しいことの連続ですねぇ〜」と呟きながらケイトは部屋を出ていった。


置かれた着替えを手に取り上着に袖を通す。

シャツやベルトは前世と同じみたいだが、

さすが異世界、ズボンの裾から伸びてる紐とか

無駄に多いボタンとか所々わからん部分があるな。...やっぱりケイトに頼めばよかったかな。

今思うとすごく美味しい場面だった気がする。


着替えながらも自分の立場について考える。

まず最初に浮かんだのがあのケイトというメイドの存在とこの部屋。家具は多くはないが掃除は行き届いていて綺麗だ。ケイトという専属メイド?もいる。この世界における自分の地位は高い方にあるのかもしれない。が、外を見た感じ周りは街ではなく村だった。となるとこの世界での自分の親は領主か何かなのかも。

と、そんなことを考えているうちに何となくだが着替えが終わったので部屋の外へ出る。

「あ、着替えました〜?お、ちゃんと着替えれてるじゃないですか〜。ズボンの裾締め以外は」

そう言ってケイトは自分のズボンの裾から伸びている紐を巻く。

あ、なるほどこれ裾調整する紐か。


「さて、それじゃ朝ごはんに行きましょうか〜」

そう言ってケイトはカツカツと歩いていく。

ん?朝ごはん食べるんだよな?

「あ、ケイト、ご飯食べるってことは親も?」


「もちろんですよぉ〜、朝ごはんは家族みんなでって決まっているじゃないですかぁ〜。まだお眠なんですか〜?」


やっぱり親が、この世界の両親と会うんだな。

元の世界ではとてもじゃないがしっかり者の両親ではなかった。

どこか抜けていてちょっと馬鹿なとこがあって、とても優しい。

そんな両親だった。この世界はどうだろうか。

「さ、つきましたよ〜。」

そんなことを考えながら扉の前に立つ。

僅かな緊張を覚えつつ扉を開けると、道中と同じ赤いカーペットにシャンデリア、そしてファンタジーでよく見る長い食卓テーブルがありその奥には2人の男女が座っていた。


「やあ、アイルおはよう。よく眠れたかい?」


「おはようアイル。さ、ご飯が冷めちゃうわ、早く食べましょう。」

おそらくこのふたりが両親だろう。

父親の方は自分と同じ金髪で、ところどころ跳ねていて、

優しい笑顔でこちらを見ている。

母親の方は黒髪ロングで青い瞳がきれいだ。

こちらも父親同様微笑んでいる。

(なんだ、真面目で優しそうな両親で安心した。)

そんな安心をしつつこちらも挨拶をする。


「お、おはよう、父さん、母さん」

少しぎこちないがちゃんと挨拶ができた...気がしたのだが

自分の挨拶を聞いて2人は驚いた顔をし、次の瞬間悲壮な表情を浮かべ

「っ...!何ということだ、聞いたかい?ハンナ」


「えぇ、まさか...あぁ、なんてことなの」


えっ、何、なんかやばいの?変なことした?

そう思って周りを見渡すと周りのメイド達もざわついている。

ケイトに関しては「これはこれは...」と意味不明なことを言っている。父親が半分泣き顔で口を開く。

「なぜなんだアイル。昨日まで、僕達のことを...」





















「“パパ”と“ママ”と呼んでいたじゃないかぁーーーー!」




(あーーーダメなやつだこれぇ。)











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