STAGE1-5夢のようなChoice
「さて...と」
すっかり打ち解けて死ぬ前の思い出話や
エリアの神様事情という珍しい話をしていた中
エリアが突然新しい話題を出してきてた。
「そろそろ本題に入らないといけないな」
「本題?」
「あぁ。色々あったにせよ君は死んだ身だ。
ずっとここでのんびりしている訳にもいかない」
「あー、ここって天国と地獄を決める場所なんだっけ?」
確かに死んだからには天国なり地獄なり行き先を決めなきゃいけないよな。それもそうだ。
「せっかく死んだなら、地獄とかそんな所は嫌だなぁ、俺。こういう時小説とかじゃ異世界転生!ってな選択肢があるもんなんだろうけど」
「あるぞ」
あるんかい。
「本来死んだ人間は天国か地獄へ行きそこで新たな生命へと生まれ変わるまで暫し時を過ごす。
君の場合は例外が無ければ普通は天国へ行く。
まぁ天国と言ってもその実態はフワフワした意識で時間さえ理解出来ない様な世界で生まれ変わるのを待つだけなんだが。」
「ある意味地獄じゃねえかそれ。地獄も嫌だけど天国も抵抗あるな。...ずっとここにいちゃダメ?」
「それだと業務的に問題がある。」
「神様のそれって仕事なの?だいぶブラック企業だな。」
自分のミス一つで人が死にかね無い上
死んだ人間の行き先も決めなきゃいけない。
休むことなくだ。黒いにも程がある。
「まぁ、それで人類のバランスは保たれてるんだ。それが私でなきゃいけないっていうなら悪い気はしないな。」
そう言ってエリアは微笑む。
「それ上司に言いくるめられて会社辞められない奴の台詞だろ」
「む、いい感じに言ったと思っていたのに、ひどいことを言うんだな、君は。」
不機嫌そうに唇を尖らせて俺の言った事に
不満を垂らす。
やめい、コタツの中で蹴るんじゃない。
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「さて、話を戻そう。さっきも言ったが死んだものは神の判断で天国か地獄に行く。が、君の様な運命と違う死に方をした特別な者には違う選択肢が与えられる。」
そう言ってエリアはコタツの上に食べかけのミカンを皮と実を左右別々に置いた。そして皮の方を指し、
「一つは元の世界に新たな命としてすぐに生まれ変われる。天国や地獄みたいに長ったらしく待つ必要が無い。その場合、転生先は幸せな家庭に生まれさせよう。」
そしてもう一つのミカンの実を指して、
「もう一つは、異世界転生。
文字通り君が住んでいた世界とは別の世界へと転生する。君はファンタジーは好きだろう?」
「もちろんだ!」
ったりめぇよ!俺の部屋にあるゲーム、小説の8割はファンタジーもの。剣や魔法があって冒険があるのは当たり前の世界だ!
そのファンタジー世界に剣や魔法、冒険はあるのかとエリアに聞くと、
「もちろんだ。それに時代は中世西洋風。
王都もあれば服装も君の想像しているそれさ」
「なんだよそれ!マジの異世界転生じゃん!
あ、そうだ記憶は?今の俺の記憶は引き継げたりするの?もしそうだとしたら転生したらルックスは今のまんま?それとも新しい体になんの?赤ん坊からスタート?それともそれなりの年齢からスタート?言語とか理解出来る?」
「質問が多いな。興奮するのは分かるが落ち着け。...記憶は君が望むなら引き継ぐことは出来る。見た目はその世界での新しい体を用意させてもらう。転生時の年齢は君が決められる。
言語は理解できるように君の脳に刷り込まさせてもらおう。さて、現世か異世界か、どちらを選ぶ?」
どちらを選ぶか?だって?バカだなぁ。
そんなもん
「決まってるだろ、異世界転生だ!」
そう言うとエリアは分かっていた、とでも言うように微笑み、薄い褐色の綺麗な手を目の前に向けた。
ちょっと手のひら黄色いな。みかん食いすぎだろ。
「それなら、異世界に転生するための君のデータを作る。いくつか聞いていくから答えてくれ」
そう言うと手のひらから青白い光が現れた。
ほんっとうに転生まで長くてすいません。
頭の中にあった話を全部ぶち込もうとしたらこんなになりました。