少し長めのプロローグ・状況整理
その日はゲームの発売日だった。
小さい頃からプレイしていた作品の新シリーズ
で、予約も勿論していた。ファンの嗜みだ。
いち早くプレイするため部活は休み、友人の
遊びの誘いも断った。そう、ファンの嗜みだ。
ゲーム販売店へ急ぐためショートカットに普段使わないバスに乗り、人気のない路地を走った。
その直後だった。
路地を抜け横断歩道の前に出た時最初に
目にしたのは小さな女の子と、その後ろを左右に 揺れながら走る軽トラだった。軽トラは赤信号にも関わらず女の子の方へ走る。周囲の人達が何か慌てている。 それもそうだ、このままではあの
軽トラは間違いなく女の子に衝突する。
それを理解した時、俺の足は自然と女の子の元へ駆けていた。
「やっべぇ、マジかマジかマジかっ!!」
誰に言うわけでもなくそんな独り言を呟きながら
少女の元へ駆け寄る。
あと少し、もう少し......届いた!
焦る余り勢い良く女の子を歩道の反対側へ突き
飛ばしてしまった。謝ろう、そう思ったがそれは叶わなかった。突き飛ばした直後、俺は軽トラに跳ね飛ばされてしまったのだから。
周りから叫び声が聞こえた、軽トラが壁か何かに
ぶつかる音が聞こえた。血で真っ赤に染まった
視界には何が起きたのかわからない、みたいに
キョトンとした女の子の姿が映った。
(正義のヒーローってブラックな仕事だなぁ)
そんな場違いなことを考えながら気の抜ける様な
少女の顔を見て薄れかけていた意識が途絶えた。
プロローグなのに二部に分けてすみません。
読みづらくて申し訳ありません。
すまなくてすまない。