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異世界のルール


「……」


「……」


(……気まずい。すごく気まずい。というか俺あれから寝ちゃったのかよ……)


 起きたときまたあの激痛が襲ってくるんじゃないかと雄二の身体はすくんだが、ヒリヒリとした僅かな痛みが背中からするだけで安心していた。


(そうしてやっと心に余裕が出来たと思ったらこれだよ!)


 少女は雄二をじっと見て何も話さない、雄二からも何を話していいかわからないから声を掛けられない。悪循環である。


(というかなんで口元隠してるのこの子?)


 雄二は居心地の悪さを感じながらもとりあえず部屋の中を確認する。


(……狭い、薄暗い、臭い。俺が両手を広げれば簡単に全ての壁に手が触れられるほどしかないじゃん……俺の部屋のが何倍も広い……)


 寝かせられているベットは多少綺麗にしているのだと感じられるが壁には黒い染みのようなものがいくつもある。乾いていないものもあってそれが臭いの原因なんだろうと容易に判断できた。薄暗さは窓が空気穴だと言われても納得しそうなほど小さいからだろう。


 窓から少し見える空は真っ黒だ。異世界こちらに来たのが昼ぐらいだったので結構な時間寝ていたようだ。

 

 キョロキョロと目を動かしていると再度少女と目が合う。目を逸らさずにじっと見つめてくる上、両手に力を込めているのか腕が少しだけプルプルと震えている。それはまるで絶対に口を開けません、という決意の表れのようで雄二は首を傾げてしまう。


「あ、あの……貴女様は?」


 このまま黙っていてもなにも始まらない。ならばと勇気を振り絞って声を掛ける。もちろんこの子がどんな立場か分からない以上、出来るだけ下手かつ丁寧に質問をする。


「……」


 しかし少女は答えない。というかなにやら驚いたようで目を少しだけ見開いている。不快にはさせていないようなので当たり障りのない話題を振っていく。


「え、えっと……お、俺は……じゃなくて、私の名前は野田雄二です。貴女様の名前は……?」


「……え?」


「あ、え?」


(変なこといってないよな……?なのになんでこんな驚くの?)


 先ほどよりも目を見開いて凝視してくる少女は、驚きで両手の力が抜けたようで口が動いて呟きが漏れ聞こえてくる。


「うそ……男の貴族……?」


「え?」


 今度は雄二が驚かせられる。


「えっと、私は貴族ではありませんよ。ただの平民ですが……」


「へ、平民?……苗字と名前があるの?」


「え、ええ。雄二が名前で野田が苗字です」


 この世界に苗字の概念があるかどうかはわからなかったが、自己紹介するならしっかりとするべきだと雄二は判断したのだが、なにやら想定外のことで驚いているようだ。


「だ、脱走奴隷って聞いたけど…あ、あなた奴隷じゃないの?」


「ッ!」


(これはチャンスだ。なぜか奴隷と間違えられてここに連れてこられたけど、間違いだと判明すればきっと誤解がとけてここから開放されるはず!)


「はい、私は奴隷じゃありません! ……恐らく、勘違いでここに連れてこられてしまったようで……」


  そんな僅かに見えた希望の光に、雄二は自分に活を入れて雄二は力強く答える。変に挙動不審になったりどもったりして怪しまれたり、嘘だと思われないように奴隷じゃない、勘違いですの部分を強調した返事だった。


「で、でも……あなたは男だよね?」


「え? あ、はい。それがなにか……?」


(男かどうかなんて今関係ある?)


 それを聞いた少女は、よく意味がわかっていなさそうな顔をして雄二を見ながら、


「……『男は女に絶対服従』……。男はこの世界に生を受けた時から、女の奴隷だって女神様によって定められてるから男の平民なんて聞いたことないけど……本当に平民なの?」


 特大の爆弾を投下した。

 

「……は?え、は!?」


 爆心地は雄二で、もう何がなにやら意味が分からないと盛大に混乱する結果となった。

明日は行きたくもない飲み会があるので更新は絶望的です……すいません。

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