表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

第三話 戦うんですか?

「今日さ、お父さんの誕生日なんだよね。だからピザってやつ、2枚お願い」

「かしこまりましたニャ!」

「わー、ありがとうルームちゃん!」

「んじゃ、待ってまーす」


 きたよきた、初注文!

 早速、準備だぜ!


「ロニ、ピザ2枚作ってくれ。リコ、地図あるか?」

「了解ですニャ!」

「はい、地図です」


 わお、RPGの地図みたいだな。

 住宅地図なんて、あるわけないか。


「ルームちゃんの家は、この辺りですね」

「なるほど。ここがいつも買い出しに行ってる町だから……近いな」

「ルートはですね、こうやって行くのがいいかと」


 んっ? それだと、やけに遠回りじゃね?

 まぁいいや、だいたいは覚えた。

 エースドライバーの頃の感覚は、鈍ってはいないぜ。


「ピザ2枚、できましたニャ!」

「サンキューロニ!」


 さすがロニ、仕事が早いね。

 ピザをお皿の上に載せて、クロッシュを被せてっと。

 準備OKだ!


「リコ、ピザが冷めない内に行くぞ!」

「はいっ!」

「んじゃ、留守番頼んだぜロニ!」

「いってらっしゃいませニャ!」


 竜に変身したリコの背中に乗って、いざ出発。

 たしか、こっちの方角だったな。


「アッ、アサノさん! そっちはだめですって!」

「えっ? だってこっちの方が、近道じゃね?」

「そっちは、人間領なので!」


 あー、そっか、忘れてた。

 この世界、人間もいるんだったね。

 でも、なんでだめなんだ?


 おや? なんか三匹の竜が飛んできたぞ?

 緑の竜が二匹と、青い竜が一匹。

 しかも、人が乗ってるな。


「ほらー! 人間に見つかったー!」

「えっ?」

「魔族と人間は、戦争中なんですからー!」


 でました、戦争中。

 異世界あるあるですね。

 ごめん、全然知らなかったわ。

 とりあえず、止まってと。

 あちらさん方も、止まってくれたな。


「魔力を感じて来てみたら、人間領に魔族が何をしに来た!?」

「……えっと、ピザの配達でーす」

「ピザ!? 何だそれは!?」


 うわー、青色の竜に乗ってる銀髪の男の人、超怒ってるよー。

 なんか剣持って、鎧も着てるし……。


「俺は国王軍のエース、コロナ・スパークリングだ! 領土進入の罪で、排除する!」


 ええーっ……マジすか。

 しかも、よりによってエースって。

 どこの世界にも、エースっているんですね。

 んっ? なんかあちらさん方の、竜の口が光ってますよ?

 まさか、ブレスってやつですか?


「きゃあああああああ!!」

「よっと!」


 うっは、バスケットボールくらいの火球が飛んできたぞ。

 リコは超ビビってるけど、余裕でかわせるな。

 なんかバッティングセンターの球を、かわしてる感覚だわ。

 バッティングセンターで、かわした事はないけど。


「かっ、かわしただと!? エール! ビート! 連携攻撃だ!」

「はっ!」

「了解です!」


 おいおい、連携攻撃とかやめてくれよ。

 暴れたら、ピザが崩れるだろーが。

 なんか、イライラしてきたな。


「あのさ、リコもブレス? 吐けるの?」

「えっ? はっ、はい、一応」

「どうすればいいの?」

「飛ぶのと一緒で、イメージしてくれれば。アサノさんの、魔力の量で威力が変わりますけど……」

「りょーかい」

「……まさか、戦うんですか?」

「うん」


 でも、さすがに人を傷つけるのには抵抗があるな。

 下手したら、人殺しになるし。


「相手を傷つけずに、勝てる方法ってあるか?」

「そうですね……人間の乗る竜は野生のドラゴンなので、翼を狙えばいいかと」

「なるほどね」

「ドラゴンの翼はすぐ再生するので、一時的に戦闘不能にするには、それが一番かと」


 おっしゃ、やってみますか。

 あちらさん方の竜が、三方向に分かれてますな。

 とりあえず、一番近い左にいる緑の竜を狙いますか。

 リコが、ブレスを吐くイメージをっと。


 あっ、出た。

 てか、すげぇ。

 どでかい岩石くらいの、火球がでたぞ。


「ギャオオオオオオオ!!」

「うおっ! 翼がやられた!」

「エール!」

「なんだ!? あのとてつもない魔力は!?」


 なんか、エールって人が竜と落ちてったけど、大丈夫だよな?

 エースのコロナって人も驚いてるし、やっぱ俺の魔力って相当凄いのか。

 ほい、もういっちょ。


「うわあああああああ!!」

「ビート! かすっただけで!? バケモノめ!」


 バケモノか、いい響きだ。

 ビートって人も竜と落ちてったし、残りはエースのコロナさんだけだな。

 バケモノっぽく、ちょっと脅かしてやるか。


「国王軍のエースだっけ? 俺様は魔族のエースだ」

「なにっ!?」

「そうなんですか!?」


 驚いてる驚いてる。

 てか、リコまで驚いちゃった。


「俺様のピザ配達の邪魔をするというなら、容赦はせんぞ?」

「分けの分からぬ事を!」


 おっ、火球が飛んできた飛んできた。

 余裕でかわしてっと。

 なんかコロナさん、がんばって飛んでるみたいだけど、おっせぇなー。

 あんなんで、本当にエースかいな。


「こうなれば、奥義――」

「ほい」


 はい、火球が翼にめいちゅー。


「くそおおおおおおお!!」

「さいならー」


 なんか結局、国王軍? 倒しちゃったけど、大丈夫なのかな?


「……アサノさん、すごーい」

「だろ?」

「魔族のエース、だったんですね!」

「あー、嘘だよ嘘。ごめんね」

「ええっ!?」

「なぁリコ、国王軍? 倒しちゃったけど、大丈夫だよな?」

「……さぁ? 戦争中ですから、大丈夫じゃないですか?」


 リコも、あんまり分かってないみたいだ。

 まぁ、いいか。

 とにかく、このままじゃピザが冷めちまう。

 ルームちゃんの家まで、早く行かなきゃな。



「とうちゃーく」

「ルームちゃーん!」


 ルームちゃんの家の前に降り、リコが人型に戻ってルームちゃんの家に走っていった。

 さて、俺もピザを渡しに行かなきゃな。


「おーっす、リコ」


 うおっ、ルームちゃんって、スライム娘ってやつですか。

 服を着てるけど、全身が水色でプニプニしているな。

 普通に人型で、髪型はツインテール。

 リコの話だと、同い年でウェイトレス仲間らしい。


「お待たせしました、ドラゴン・ピザです」

「あんたが、リコの専属魔力士か」

「はい。はじめまして、ルームちゃん」

「これからもリコを、よろしくな!」

「いやいや、俺の方がお世話になってるから」

「ルームちゃん! ピザ、すっごく美味しいよ!」

「リコ、それは何回も聞いたよ」


 なんかリコとルームちゃんが話しているのを見てると、同い年なのにルームちゃんはリコのお姉さんみたいな感じだな。

 仲が、超よさそうだわ。


「それじゃ、またねルームちゃん!」

「あいよー。ピザの感想、今度言うわー」


 二千リックを貰って、俺とリコはルームちゃんの家を後にした。

 もちろん帰りは、ちゃんと魔族領を飛んで帰ったわ。



 ――三日後。

 なんと嬉しい事に、一日十件ほどの注文がドラゴン・ピザに入るようになっていた。

 ルームちゃんも、ピザの美味しさに感動して口コミを広げてくれているみたいだ。

 こんなに嬉しいことは無い!


「じゃあロニ、十分で戻るから、時間計算してピザ作ってくれ!」

「了解ですニャ! ご主人様!」

「行くぞ! リコ!」

「はいっ!」


 今のところ、営業時間は朝十一時から、夜二十時半までって感じ。

 リコがウェイトレスのバイトの日は休業しているが、そろそろちゃんと宣伝しないとだめかもな。


「ありがとうございました!」


 今日の最後の配達を終えて、俺とリコは家に戻った。

 んっ? 家の前に降りたとたん、ロニが走ってきたぞ。


「ごっ、ご主人さまあああああああ!!」

「どうしたんだ? ロニ」

「明日のお昼に、予約注文が入りましたニャ!」

「おおっ、いいね。てか、何でそんなに驚いてるんだ?」

「その予約した、相手がですね……」

「相手が?」

「魔王様なんですニャ!」


 魔王から、注文きたあああああああ!!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ