プロローグ
「いってきやーす」
俺の名前は、浅野聖司。
十七歳で、高校二年。
髪型は、黒髪でミディアムヘア。
一応、今風にキメているつもり。
そんな俺は、某ピザ屋でデリバリーのアルバイトをしている。
今日はクリスマス。
ピザ屋業界では、今日が一番忙しい日。
注文の電話が鳴り止まず、まさに戦争、戦国時代。
三件持ちの配達に行く為、今店を出たところ。
バイクに乗り、配達へと出掛ける。
時刻は十九時過ぎ。
天気も良く、星空が綺麗ですわ。
町を見渡すと、そこらじゅうカップルだらけ。
さすがはクリスマス。
まったく、ピザもそうだけど、人はなんでこうもクリスマスに執着するかね?
……なんで俺が、愚痴ってるかって?
はい、好きな人に告白して、振られました。
バイトも、本当はシフト入れてなかったです。
ぶっちゃけ、今日デートする予定だったので。
でも、振られたのでバイトしてます。
バイトの人達の暖かい慰めが、嬉しくも悲しかったです。
「ありがとうございました!」
一件目の配達が終わり、腕時計を見る。
いかん、二件目はともかく、三件目が遅れそうじゃないか。
こう見えても俺は、このピザ屋のエースドライバー。
まだアルバイト暦一年ちょっとだが、誰よりも配達が速い自信があるし、忘れ物などのミスも少ない。
俺にとって天職なんじゃね? って、最近マジで思う。
「ありがとうございました!」
よし、二件目も、お客様にお伝えした時間までには行けた。
さすが、エースドライバーの俺。
問題の三件目。
ここからは、五分くらい掛かるか。
三件目のお客様にお伝えした時間までは、後三分。
ちょっと飛ばすか。
バイクに乗り、スピードを上げて走る中、俺は見てしまった。
俺の好きな人、仲村いずみが、イケメンの男と一緒に歩いているのを。
あー、ですよねー。
そりゃ、振られますよねー。
あんなイケメンな相手が、いるんだもんねー。
仲村いずみの姿に見とれつつ、俺は曲がり角を曲がろうとした。
眩しっ。
クラクション?
目の前から、大型のトラックが突っ込んできた。
あ、これ死んだわ。