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さて、賞金稼ぎギルドとは、各種ギルドの一形態で、その名の通り、賞金稼ぎ業の職業紹介・案内を一手に引き受ける組織である。

 

そもそもギルドとは何か。


 正確な定義を述べれば、「各種専門職における互助組合」、それが「ギルド」である。


 賞金稼ぎ、魔法使い、商人、工芸、など、この世界の人々が金を稼ごうとして、頼りにするところである。


 ギルドは仕事先を紹介したりする。またギルドの一員となることにより、継続的な、安定した職業人となることが出来る。


 前者のようなギルドの使い方をする人間を「フリー」、後者を「ギルド所属」と称する。


 時雨とエヴィルはフリーである。


 実際、このフリーである、ということは、かなりの危険を伴う。


 現代の世界における自由業とは比較にならない。


 先立ってギルドを端的に説明したが、よりぶっちゃけた説明をすると、農協みたいな役所と職業斡旋場を組み合わせたようなものがギルドである。


 その文脈から言うと、「協同組合」の一員となっておくことの方が、明らかに生きていく上において、安全であることは言うまでもない。


 別に所属することが「堕落」なわけではない。全共闘の時代じゃないんだから(団塊の世代以降じゃないと伝わらねえよこのネタ)。


 誰かに飼われること、誰かの支配下にあること。


 とは言っても、この場合の「所属」は、そのようなニュアンスというよりは、あくまで「仕事人としてのクールな互助契約」である。


 もっとも、仕事人としてがんじがらめに「縛る」ギルドも多いことは多い。


 が、今話題に出ている賞金稼ぎギルドのようなものは、それほどでもない。


 それにも関わらず時雨とエヴィル、フリーであることを貫き通す。


 特に時雨は、エヴィルと会う前の幼少時代からフリーで賞金稼ぎ業を続けている。


 自由業意識も、ここまでくれば極端である。


 なぜそこまでフリーであることに拘るのか? ギルドに自分たちの儲けを掻っ攫われるのが嫌い? 


 否、そんなつまらない理由ではない。


 その理由は、この物語を眺めるにおいて、ひとつ重要な視点であるかもしれない。


 何ものにも縛られない、という生き方。


 それに準じる生き方。


 ただ、ただ、自由に。


 時雨とエヴィルは、そのようにして生きてきた。


 これからもそうしていく。


 そんな極端な二人、当座の路銀を稼ぐために、ギルドに向かう。「利用」するために。

 

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