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エヴィル視点です。起きてねーですが

で、相棒の天才変態黒魔術師に目を向けると、すやすや寝ている。

 

寝顔だけ見れば、まさに深窓のお姫様、といった様子で、ベッドに寝ている姿も、寝乱れというものがなく、とても静かに寝ている。

 

あまりに乱れがないので死んでいるかのよう……とも言えなくもないが、一応呼吸はしているから、一安心である。


 もちろん時雨の朝が早すぎる、ということもあるのだが、往々にしてエヴィルはマイペースで起きる。


 ということは、時雨と同時に目が覚めることもあり、または普通の旅人のようにダラダラ起きることもある。


 ところで、睡眠とは、休息であると同時に、記憶・思考の整理時間である、という説が、脳神経医学(現代の)ではほぼ定説となっている。


 とするなれば、エヴィルのように、日頃超ペースで頭脳を酷使している人間にとって、やはり充分な睡眠が必要である、ということが言える。


 超ペース、と今言ったが、エヴィルの思考は、速い上に膨大である。


 それらの仕分けをするだけでも大変なのに、直感的に、無意識的に「感じる」レベルでの思考もするからして、それらも合わせると、確かに少し充分な休みを取った方が得策かと存ずる。


 が、毎日同じだけの思考をするとは限らないので、これはもはや頭脳労働の宿命と言ってもよく、思考をした分だけ睡眠して整理する必要がある以上、睡眠がまちまちとなるのも、これまた宿命のようなものなのだ――と、エヴィルは時雨に説明したことがある。


 加えてエヴィル、寝起きがあまり良くない。


 低血圧と言おうか、そもそもそのように「全力で頭脳の整理をしている」最中に起こされたら、そりゃもう不機嫌にもなろうというものである。


 この手の気持ちはよくわかる。実は筆者も似たようなモノを抱えている。これは家系・血筋にもある程度左右されるらしく、我が父君(あえて敬称)から受け継いだ。どうでもええわ。


 恐らく、起きるときにしか起きないのであって、待つしかない。


 もちろん野宿のときの夜襲などのときは話は別だが、こうして平和な村においては、休息を充分に取ることを誰が責められようか。


 無敵で不気味と思われたエヴィルも、こうして「肉体の縛り」というモノがあるのであった。


 まあ、人間ですし。


 その点を一番理解しているのがエヴィルであり、だからこそ肉体を極限まで研ぎ澄ましている時雨に対し、エヴィルはほとんど感心……というか、関心している。サンプル、というより、ありえない実例、みたいな感じで。


 で、エヴィルが実戦で対決して、やはり決着がつかないのも、この世に一人、時雨だけなのである。それくらい、二人の天才を総体的に見た場合、実力が拮抗している。


 そういう二人が手を組んでいるわけだから、敵に回すことのどれだけ馬鹿らしさというか、ああ、あの賊の末路も知れたものだ、というか、もはやこの世に敵はなし、というか。


 ビジネスライクに組んでいるならまだしも、この二人は「相棒」である。水魚の交わり。ああ、敵にしたくない。いや、したらおしまいである。

 

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