1.絶望
初めまして、今回から執筆させていただきます。楽しんでいただけたら幸いです。
女神様。
私に祝福をくださるのなら、
何故、私を女としてこの地に産み落としたのですか。
私にとってこの〈アルアディア〉は、
もうただの箱庭でしかありません。
けれど、ようやく気づくことができたのです。
自分自身の価値は――
他人に与えられるものではなく、
自分で作るものだということに。
私が望まれない存在なのだと悟ったのは、
物心がついてすぐの頃でした。
両親も、使用人も、国の人々も、皆優しかった。
けれどその優しさの奥には、
決して踏み越えさせてはくれない一本の線が引かれていた。
幼いながらに、私はそれを過敏に感じ取ってしまったのです。
五歳の頃。
廊下の向こうから、ひそひそとした声が聞こえてきました。
「もし、エルザ様が男児でしたら、今頃――」
「ちょっと! こんなところで言ったら、誰が聞いているかわからないでしょう」
「……まあ、みんな思っていることだけど」
目の前が、真っ暗になりました。
知っていた。
分かっていたはずなのに、
言葉として突きつけられると、どうしようもなく苦しかった。
そして皮肉なことに、翌年。
この家が待ち望んだ男児が生まれました。
その日から、
私――エルザ・アルアディアの存在は、消えたのです。
屋敷の誰もが私を空気のように扱い、
声をかけることも、視線を向けることもなくなった。
私は、ひとりぼっちでした。
十歳の誕生日。
ひとりきりの部屋で、ふと、思いました。
「……私、このまま朽ちていくの?」
その瞬間、胸の奥から感情が噴き上がりました。
恐怖でも、悲しみでもない。
焦りと、決意。
――やらなければ。
「私が、こんな目に遭う必要なんてない」
「私のことがどうでもいいのなら……」
私は、強く拳を握りしめる。
「全部、利用してやるんだから」
血も、祝福も、この身さえも。
すべては――
私が生きるために。




