あなたは豊胸神! ~平坦な女子に小さな奇跡が起こったけれど、それは本当に小さな奇跡だった。彼女は、ほとんど単なる地平線のままに過ぎない~
おきがえ・しーん。
男子高校生のあなたは、どこか知らない校舎の中にいた。
あなたは見覚えのない廊下を歩いた。
教室のドアがあり、開いてみた。
そこであなたは、たくさんの女子生徒が制服を脱いでいる場面に遭遇する。
ここは保健室のようで、どうも身体測定をしていたらしい。
彼女達の多くが下着を晒している。白が多かったものの、黒やピンク、黄色や緑などの女子もいた。
あなたは驚いた。
女子達も驚いた。
『きゃあああああっ!』
幾重にも重なる女子達の悲鳴が飛び交う。
両手で胸部を隠す女子が多い。その中に一人、白いタンクトップ型のインナー姿の女子がいることに、あなたは気づく。
黒髪を二本の三つ編みにしている女子。
彼女のインナーはブラジャーと違い、胸部より下も生地で覆っている。そのため、肌の露出が少ない。白いショーツさえも上半分が隠れている。
その肌着なら、体操着を着ているのと大差がないように、あなたは思う。それでも彼女は、平坦な胸部を必死に隠していた。
長いようで短かった目撃は、あなたが教室のドアを閉めることで終わる。あなたは罪悪感を抱きながら、その場から急いで去った。
気持ちが落ち着いたところで、ここがどこなのかを、あなたは調べ始める。
その結果、この学校が高校だということは分かった。
しかし、どこを見ても表記が『○〇高等学校』になっている。○〇で伏字にしている意味が分からない。
人の気配がする教室も、あなたは見つけた。
けれども、扉は鍵が掛かっていて、保健室のように開かなかった。扉を叩いても、反応がない。
図書室や他の特別教室、職員室さえもそうで、先ほどの保健室も二度目は開かなくなっていた。
あなたは生徒にも、教職員にも、誰にも会うことが出来なかった。
疲れたあなたは、校舎の外にあった長椅子に座り、休むことにする。
この時――、あなたは気を失った。
あなたが意識を取り戻すと、不思議なことに、時間が一気に進んでいたらしい。空が少し暗くなっている。
十数人の女子生徒が、あなたの前を歩いていた。全員セーラー服の半袖姿で、襟とスカートは黒、スカーフは青だった。
ようやく誰かを発見したことで気を緩めた時――、またもあなたは気を失った。
■
あなたが次に意識を取り戻した際には、校舎の裏に立っていた。
しかも、あの保健室で見かけた女子が、あなたの前にいる。
彼女は最初に見た時のように、白い肌着姿だった。
ただし、スカートは着用したままで、肌着の裾はその内側に入れていた。半袖のセーラー服は、地面の鞄の上に置いてある。
黒い髪を短めの三つ編みで左右にまとめた、おとなしそうな女子。胸部は平らで、その胸元には小さな白いリボンがある。
何で彼女が上半身下着姿でいるのか、答えを見つけるのは難しかった。
あなたが当人に聞いてみると、彼女は困惑の表情を浮かべる。
「あの……。あなたが、『こっちに来たまえ』と言って、私の手を引っ張って、『ここで脱ぎたまえ』と、何度も言ったのですが……」
あなたには、そんな記憶は一切なかった。けれども、彼女が嘘を言っているようにも見えない……。
しばらく悩んだ後、あなたは彼女へと、そんなことは言ってはいないと正直に話した。加えて、突然この学校の中にいて、急に気を失ったりしたことも説明した。
「……確かに、先ほどまでのあなたには、何か、神々しさのような雰囲気があって、今とは別人のようで……」
そう話したところで、彼女の表情は答えに行き着いたように変わる。
「もしかしたら……あなたは、いえ、あなた様は、私のような者の前に現れるという、『豊胸神様』ではありませんか?」
すごい神様の名が挙げられた。
彼女の問いに、あなたは分からないと答えた。
「豊胸神様は、私のような貧相な胸部を豊かにして下さる、ありがたい神様です。あなた様が分からないとおっしゃる以上、確かめてみるしかありません。……恥ずかしいですが、お手をお借りいたします」
彼女はあなたの手をつかみ、自らの胸部の中心に運び、密着させた。
この時、確かな感触をあなたは得て、平らだった彼女の胸部は、真っ白な光を発し始めた。
□
あなたは白い光を見た後、元の世界に戻っていた。
その一週間後、この校舎裏に戻って来た。
目の前には制服姿の女子がいる。黒髪で三つ編みの彼女はあなたの姿を見るなり、笑顔を向けた。
「豊胸神様! この前はありがとうございました!」
そう言って彼女は迷うことなくセーラー服を脱ぎ、上半身は白い下着だけになった。
この前と違う。
彼女の下着は、タンクトップ型のインナーではなく、白いリボンつきブラジャーに変化している。
肌を晒している範囲が大幅に広くなっており、あなたは恥ずかしさとともに、新鮮さも感じた。
「豊胸神様がお帰りになられた直後に、私の絶望的だった胸部が、急に大きくなったのです!」
頬を染めながらも、彼女は心弾む声を出す。
喜ぶ彼女を前にするあなたには、以前との差異が分からなかった。
あまり、大きくはない。
むしろ小さい。
インナーがブラになっただけにしか思えない。
「豊胸神様、もう一度、お願いします!」
大胆になっている彼女はあなたの両手首をつかみ、強く自身の胸部に押しつけた。
「あぁん……っ」
彼女の胸部は、今回も白い光を発した。
ただし、胸部は全く膨らまないし、あなたもこの世界から元の世界に戻ることもなかった。
「おかしいですね……。すごく気持ち良くは感じるのですが、この前のように、胸部が大きくなったりしませんね……」
彼女がずっとあなたの両手を押さえていたので、そろそろ離してもらっていいかと尋ねた。
「あっ、すみませんでした……っ」
彼女はあなたの手を解放し、頭を下げる。
顔を上げた時には、以前とは違う困惑の表情を浮かべていた。
「……豊胸神様のお力を以てしても、私の胸部をこれ以上大きくするのは、不可能なのでしょうか。ですが、これだけ大きくなったので、これ以上をお願いするのは贅沢過ぎますよね」
あなたは再度思う。そこまで大きくはない、と。
「豊胸神様には、ぜひお礼がしたいです。何か、ご要望はありますでしょうか?」
彼女は下着姿のままで聞いてくる。あなたは、そろそろ上を着たらどうかと提案した。
「はい、分かりました」
彼女は鞄を開けて、中からあの時のインナーを取り出して、腕と頭を通した。あの時と違い、裾はスカートの内側へと入れてはいない。
「この肌着はあの日から、ずっと鞄に入れていました。私にとっては、お守りのようなものです」
そのインナーについて、あなたが洗濯していないのかと問うと、
「はい。思い出の品ですから」
当然と言いたげな返答が来た。
あなたが洗ったほうがいいと話すと、
「それがご要望ですか?」
そんな馬鹿なと思いながら、あなたは顔を横に振って否定し、彼女への要望を考える……。
ふと彼女のほうを見ると、インナー越しにブラジャーが透けて見えて、あなたは少し興奮した。
そこで思いついた。
あなたは彼女に、色々な格好をしてもらいたいと伝えた。
「分かりました」
彼女に対し、あなたはどんな格好なのかを伝える。
「では、やってみますね……」
彼女は前屈みになって、インナーの襟を引っ張った。内側にあるブラと胸元を晒す。
「今さらこのようにお見せするのは、ちょっと恥ずかしいです……っ」
彼女は姿勢を戻し、あなたから次の指令を受ける。インナーの左肩部分を下げて、細いブラ紐をあなたに見せた。
「……少し色っぽい感じがしますか?」
彼女は次の動作に移る。インナーの裾を両手で持って、ブラが見えるまでたくし上げて、体を少し反らした。
「こうしてみると、胸部が際立つように思います……っ」
彼女はあなたに背を向ける。顔が隠れるぐらいにインナーを上まで持って行き、半脱ぎの状態で止める。細いブラ紐二本、幅広のバックベルトとホックを見せた。
「後ろもご覧下さい……」
その態勢を少し維持した後、インナーの裾を下へと戻した。背中のブラが透けて見える。
「どうでしたか? 喜んで頂けたのでしたら、私の後ろから、――お胸を揉んで下さいっ!」
彼女からの申し出があった直後、あなたの視界は急にぼんやりとし始める。
残念ながら、あなたは元の世界に戻ってしまった。
□
それから何度も、あなたはこの異世界に来ている。
どういった条件でここに来られるのかなど、まだ多くの謎は解明されていない。
けれども、あなたが彼女の胸部を押すと、彼女はとても気持ち良くなるらしい。
黒髪を二本の短い三つ編みにした、地味な印象の女子。
彼女はセーラー服をたくし上げて、白い下着をあなたに見せる。
「豊胸神様のお好きなようにして下さい」
少しだけ発達はしたものの、まだまだ貧乳としか言えない、彼女の胸部が目の前にある。
今からどうするのかは、あなた次第。
(終わり)
着替えと貧乳三つ編み女子を書きたかっただけでした。
最後までお読み下さり、ありがとうございます。