第40話 魔回薬製造
主人公は、魔力草と万能草を採取してきました。
これで一財産、と言えればいいのですが。
魔力草と万能草を採取して来たから、娼館にも行けるだろうって言ってくるアレン。
だけど「魔力草はスキル上げに使うし、万能草も若しもの時の為に持っていないと駄目だろうし」と俺の認識を言っておく
すると「は~。真面目だな。イサムは」とアレンは言ってくるが。
「死にたくないだけなんだけどね」と本音を言ってもアレンは俺の死にたくない発言にあまり納得していない感じ。
すると今度はミリアが「それにしても、イサム、一気に財産持ちになったね」と声を掛けて来る。
「まあ、強盗に狙われたくないから、持っていない事にしておいてよ」と、3人にキッチリ釘を刺しておく。
「そっか。そう言う意識も持っておいた方が良いんだね」と、ミリアは納得してくれるが。
「ああ。少しパーティに提供するつもりだけど、それも基本内緒で」
「えっ。だって今朝、各自の物だって決めていたでしょ」と、ミリアは話が違うって感じだし、アレンは何故か不服そうにしている。
「ああ。だから提供。3人にも生き残ってもらいたいし、強くなってもらわないと1人で出来る事は限られるからね」
「そっか。でも良いの?」と、ミリアは嬉しそうに確認してくる。
「無償提供するのなんて、今後入手できない事も考えると、10分の1とか20分の1だろうからね。それに、3人に持っていてもらった物を俺に使ってもらう事もあるかもしれないし」
「あ~。そういう事か」と途中までパーティ内のルール変更に不満そうにしていたアレンは、俺が皆に提供した物を俺に使う事もあると分かった様で、ミリアとシャロンに頷き、戦利品の分配のローカルルールを認めた感じになった。
皆と街道を走っての移動。
途中で、ホーンブルとホーンカウの群れを発見したので、またパーティから抜けて、狩りに向かう。
でも、MPの残量が気になって来たかな。
幸い、偽装していない方の薬学スキルはノーマルでLV10。
下級品なら魔生薬の魔回薬も造れる。
原材料も、下級品なら魔石Eランクと魔力草で造れる。
問題はMP不足気味なのに製造にMPが必要な事と、魔生薬作成道具を持っていない事だ。
まあ、道具がある方が造るのに消費MPが少なくて済むだけなので、作れるんだけどね。
後は、ノーマル薬学LV6から造れる下級魔回薬では、貴重な魔力草を使うのに回復するMP量が大した事無いと言う点が問題か。
まあ、それでも1時間かけてMP900が自然回復にプラスして回復する訳だから、まあ、無いよりはましだ。
そう考え、皆からかなり離れている事を確認し、安全確認もして、足を止めて今日採取したばかりの魔力草を亜空間収納からだし、更にEランクの魔石を取り出して手の上に乗せる。
そして、魔回薬作成と念じる。
ああ。
『どの保有場所の原材料を使いますか』とのメッセージが出て原材料のある場所である、『亜空間収納内、格納箱内、手の上』と表示された。
なので、手の上を選択すると、『魔力草1単位、魔石E1個』と表示されたので、それを選択する。
すると、更に『錠剤、粉末、液体で作成できます。どれを選択しますか?』との事なので、錠剤を選択。
『下級魔回薬を作成します。よろしいですか。はい/いいえ』のメッセージが出たので『はい』を選択する。
すると、手の上で魔力草と魔石が粉末になり、混ざり合い、軽く光を放って3つの錠剤に変わって行った。
凄いもんだね。
そう思いつつステータスウィンドウ内のMPを見ると、大して減ってない。
なので、スキルに問い合わせると、下級魔生薬は、基本消費MP50で作成される。
下級傷治療薬とかだとこの5分の1で、万能薬だと同じくMPが50必要。
なお、魔生薬製造道具を持っていないと、1.5倍のMPが必要だそうだ。
なるほどね。
でも、魔生薬はむき出しなんだ、と思っていると薬学スキルは薬包紙を造る機能も持っているそうだ。
なので、次は直接造る物を指定するのではなく、『薬学』と強く念じ、薬学メニューを表示する。
その中の生成メニューを選択し、表示される内容から薬包紙を選ぶとまた選択肢が表示される。
あ~。
ただの薬包紙から、長期保存効果を付与した薬包紙まで作れるのね。
時間を止めてある亜空間収納に入れておけば必要ない機能だけど、力を隠しているから、保存効果も欲しいか。
なので、表示された『保存効果なし、3か月保存、1年保存、3年保存』の中から、1年保存を選ぶと原材料の指定。
あ~。
植物繊維なら何でもいいのか。
しかも、その辺に生えている雑草も対象なんだ。
格納箱内や亜空間収納内にある、木製品や紙なんかも原材料指定にあったけど、雑草で良いよね。
と雑草を指定すると、『作成枚数は、0』と聞かれる。
なので、とりあえず100枚と直接思念で数値を入れると、400もMPが消費され、手の上に薬包紙が積み重なっていく。
あ~。
嫌なら作成先を指定すれば良いのね。
しかしMPが400も減るか。
作成数は10枚にしておけば良かった。
と、2枚だけ残して亜空間収納に入れ、魔回薬2錠を薬包紙に包み、魔法の袋に入れておく。
そして、手の上に残った1錠を口に含むと、唾液に一気に溶けていく。
苦いかと思って身構えたんだけど、味はしないな。
しかも、口が水分不足にならないし。
不思議な感じ、と思いつつステータスウィンドウ内のMPを見ると、数秒に1回1回復しているか。
これで、MP不足が少しでも解消されると良いんだけどね。
主人公は、初めて下級魔回薬を作成したようです。




