表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隠れ勇者イサムは今日も嘘つき ~勇気を示さないと強くなれない異世界で裏技を使われ強くなりましたが、面倒事を避ける為に嘘をついています~  作者: 野下大誤
第1章 旅立ち編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/399

第2話 友との約束と不安

 第1話から第2話に変更しました。


 北に山脈がそびえる広大な草原の中に、ポツンと巨大な城壁に囲まれた人の生活空間がある。


 それが俺が生まれ育ったアイリン村だ。


 ザラリア王国の南端の方にある小さな村。


 西と東に街道は伸びているが、隣の町や村までは80キロもある孤立した集落って感じだけど、世界中の人の生活空間の多くがこんな感じと両親からは聞いている。


 人は、滅びそうになっている。


 亡くなった父がそう俺に言った為に、俺が不安になり泣いたのは何時だったか。


 13歳になった時に、亡くなった両親に連れて行ってもらった王都とか、数えきれない程の人が居たけど。


 それでも、父から見たら俺たち人族は滅びそうになっているのか。


 だとしたら、何が出来るのだろう。


 どう生きるべきなのだろう。


 そんな事も考えてしまいそうになるが、田舎に住んでいる一個人では、考えるだけ無駄なテーマだろう。


 「ヒュ~」と時折強く吹く12月の冷たい風に、体を震わせながら、俺が借りている土地での最後の僅かな葉物野菜の収穫を終えた。


 なので、家に帰ろうと準備をしていると、長年の友人達がやって来て話しかけて来る。


 「いよいよ明日だな。イサム」


 夕方前の日の光を浴びながら、そう俺に言って来るのは幼馴染で同い年のアレンだ。


 赤い髪の体格のしっかりした好青年って感じ。


 そのアレンに遅れること3か月。


 俺は明日、成人となる16歳の誕生日を迎える。


 なので、日付が変わるタイミングで『成人の祝福』と言われる選択の提示とそれに基づく力の提示・取得とがなされる。


 その選択は、先ずその人が転職出来る職業が提示されるんだけど、その内容で今後の人生が決まってしまう、ともいえる程の事だ。


 職業によって、取得し易いスキル(技能・魔法を使える力)と取得出来るスキル数も決まるし、腕力、知力と言ったステータスの強化も決まるから。


 この世界は残酷だ。


 魔物と戦える冒険者向きの職業に就かないと、数十キロ以上離れた隣の市町村に行く事すら、命がけになるのだから。


 いや。


 冒険者向きの職業に就けたとしても、運が悪ければアッサリ死ぬことになるか。


 そんな事を考えていると「貴方の両親は、斥候と魔法使いだったでしょ。しかも、お父さんの方が戦士と斥候職に、お母さんの方が神官と魔法使い職に就けたんだから、大丈夫でしょ」と、気軽な感じで言って来るのも同い年で幼馴染のミリア。


 中肉中背で茶色い髪をショートカットにした活発な女性って感じ。


 「両親に色々と教わっていればスキル取得の為の経験値が得られ、スキル取得の可能性は上がるけど、成人の祝福で得られる職業に両親の就ける職業は影響しないって学校で教わったけどね」


 俺がそう答えると「でも、断言は出来ないって話だったし。しかも、職業だけでなくどんなスキルが得られるかも一生の問題だから」と何故か自信なさげに言って来るのも同い年で幼馴染のシャロンだ。


 少し背は小さめで、だけど出る処が出て引っ込む所は引っ込んでいる、おっとり目と言うか引っ込み思案な感じの女性だ。


 そのシャロンの発言にどう答えようかと考えていると「お前でもう最後だからな。これで、やっと冒険者(魔物を狩ったり依頼を受けたりして、報酬を得て生活する者)になる為に村から出られる」とアレンは感慨深げ気に言って来るが。


 「成人の祝福で冒険者向きの職業を得られた3人はね。だけど、俺だって戦闘に不向きな生産者職しか得られない可能性はあるからな。半分の人がそうなんだから」


 「ああ。その時は、余程のスキルが手に入らない限り俺達3人で冒険者になる事になる。それは、恨みっこなしで」


 アレンはそう言って来るが、アレンが成人の祝福で魔法戦士職を得た事をきっかけに、3人は付き合っているからな。


 正直、お邪魔虫になりそうな俺が冒険者に向いた職業を得たとしても一緒に行きたくはないんだけど。


 俺達、この村に住む両親に死なれた孤児で同い年の7人の内、冒険者向きの職業を得た人は、一緒に冒険者としてパーティを組んで村から出て生活しよう、と言うのはもう2年以上も前から繰り返ししてきた約束だからな。


 嫌だけど、しょうがないか。


 アレンにはお世話になったし、ミリアとシャロンは嫌っている人達では無いし。


 そう考えつつ「ああ。だけど、どちらにしても俺も明日村からは出るから、王都かその近辺の都市までの警護を御願いな」と、3人にお願いもしておく。


 「やっぱり、村から出るんだ」と、ミリアの方が心配そうに言って来る。


 「村で唯一の雑貨屋ですら、物を普通に売ってもらえなかったからな」


 俺が過去の嫌な事を思い出しながら言うと「今なら普通に売ってくれる気もするけど」とアレンが言って来るが。


 「アレンが居なくなったら、これ幸いにとまた2倍の値段で買えとか言ってくる気がするし」


 「まあ、村から出るのは手伝うよ」と、好青年のアレンは俺の頼みを断る事が出来ない様だ。


 だから、『人が良過ぎる』といつも心配させられるんだけど。


 そう思いつつ「ああ。依頼料は払うから」とけじめをつけておく。


 それにしても、明日の成人の祝福はどうなるかな。


 出来れば魔物と戦う事が十分可能な職業とスキルを手に入れたいけど、職業の方は神が決めている又は素質で決まるって話で本人の努力は関係ない又は影響は極わずか、って過去の検証ではなっているそうだからな。


 両親が生産者職で農家だったアレンは魔法戦士職だし、同じくミリアも大神官職だし、やっぱり親は関係なさそうだから。


 不安でしょうがない。


 そう思いつつ、3人と別れて家に帰る事にした。

 次を第0話とし、職業制についての設定を掲載します。

 先に進むと本文にもその内容は出て来るので、内容が面倒だと思う人は前書きの結論を見て読み飛ばしてください。


 なお、期限とされている12日までに、ある程度投稿したいので、キリが良い処まで数時間ごとに投稿する予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ