第179話 欲しいアクセサリーと強くなる方法
主人公は、念願の上級の薬を手に入れたようです。
その後も、物がそろっているであろう王都という事で、色々な店を廻ってみたいと思っていたようですが。
薬屋では、欲しい物が買えた。
まあ、成人の祝福を迎えたばかりの忍び職だと持っている筈のない大量のお金と薬草類を隠したままの取引だから、十分な量買えたとは言えないけど。
でも、MPが必要な時に、MPを大量に確保できるようにはなったと、少し安心。
どうせ姿を偽装して行ったんだから、もっと買えば良かったとも思ったが、ドーラ婆さんは『在庫があったかな』なんて言っていたし。
その発言の前にも、欲しい薬の種類を言ったら『戦争にでも行くのかい』なんて事も言われたから、あれが限界かな。
そんな風に考えながらの街ブラ。
その後は、装備品も良い物が欲しいと武器屋や防具屋にも行ったんだけど、これと言うものが見つからず、見るだけで終わってしまった。
後は、付与術により力の付与されたアクセサリーとかを見に行こうかと思ったけど、もう暗くなってきたので、隠形と偽装スキルで隠れてから移動し、姿の偽装を解除して元の自分に戻り、宿に戻る。
すると、宿の受付で食事はアレンの部屋に運んだので、そこで食べてくださいと言われた。
なので、アレンの部屋に行くと7人全員と2匹が居る様だ。
ドアを叩き、ドアを開けてくれたミリアに越しに奥を見ると、皆でお酒を飲みながらの食事を楽しんでいる様だ。
アレンなんかはもう出来上がっているし。
ポチとフクは、俺を確認すると『食べて良いですか』との思念伝達してきた。
なので、了承すると一心不乱に食べ始める。
俺が帰ってくるまでオアズケ状態だったようだ。
酔っぱらった状況のアレンに対し「はあ」と溜息をつきながら、空いている椅子に座ると「すまない。先に始めていて」とシーロが謝ってくる。
「いえ。一人でこの時間まで買い物をしていた俺が悪いですから」
そう言うと「ほら。イサムは気にしないし」とアレンが言っている。
まあ、確かに気にしないけど。
そう思っていると「何を買って来たんだ」とシーロに言われたので「主なのは相場の確認と掘り出し物の確認だったから。でも、残念ながら、掘り出し物は無かったよ」と、流石に2千万GAZU以上の薬を買って来たとは言えないので、嘘を言っておく。
「そうなんだ」とシーロが言ってくるので「本当は、付与術付きのアクセサリーとかも見たかったんだけど、あの時間からでは、薬と武器と防具しかチェックできなかったよ」と言って置く。
「付与魔術付きのアクセサリーか。お金持ちなんだな」とシーロが言ってくるが「いや。買うのではなく、お金を貯める目安の確認だよ」と言って置く。
「どんなのが欲しいんだ」とマルセロが聞いて来るので「俊敏・MP・器用UPの効果とか、全ステータスUPとか全耐性UPとか。欲しいスキルがノーマルランク以上で付与された物とかも欲しいかな」
「へ~。随分な値段になりそうだけど」と少し驚いたと言うか引いている感じのマルセロ。
「ああ。だけど、具体的な金額を知りたくてね」と嘘ではない言い訳をしておく。
「ちなみに、スキルは何が欲しいんだ」とシーロは興味がある様だ。
「色々だよね。例えば、料理スキルとか」
そう思いついた欲しいスキルを言うと「ん。美味しい物が食べたいのか」とシーロに不思議そうに言われる。
「いや。戦利品の魔物の肉に料理スキルによる保存処理をした方が高く売れるでしょ」
「あ~。そっちか」と、シーロは納得した感じに。
「美味しく食べられる様に熟成させた上で半年とか1年とか保存期間を伸ばしたら、倍くらいで売れたかな」と実際にあったことも言っておく。
「なるほどね」とシーロ達は言ってくるが「他にも、売っていないだろうとは思うけど聖魔法とか戦利品向上とか学習とかか」と他にも欲しいモノを言っておく。
「聖魔法は兎も角、戦利品向上とか学習とかは売っていないだろうな。貴重な力過ぎる」とマルセロが指摘してくる。
「だね。空歩や瞬動スキルなんかもそうだろうな」と俺も追随しつつ、更にほしいスキルを上げておく。
「確かに欲しいけどな」と、マルセロも同じような事は思っている感じ。
「まあ、農業スキルなんかも安いのなら持っておきたいし」と、今度はお手軽に手に入る方も言っておく。
「引退後の為か」とシーロは一応と言う感じで確認してくる。
「そう」
「先の事まで考えているんだな」と言うシーロにかぶせる様にマルセロが聞いて来た。
「なあ。イサムは何でそんなに強いんだ?」
「ん。強いかな?」
「ああ、強い。3倍職の忍び職と言う前提があったとしても、まだ成人になってから一月もたっていない人の強さじゃないよ」と強さを認めない俺に対しマルセロは呆れた感じで言ってくる。
だけど「そうだっけ?」と惚けておく。
「ああ。ナタリアは、移動中は周りの警戒の為に風探知魔法で周りを確認しているんだ。そしたら、Eランクの魔物を数十匹一人で倒したって」とマルセロは指摘してくるが。
「ああ。倒したのはポチとフクだけど」と微妙な訂正はしておく。
「従魔の力は、主人の力でもあるだろう。
それにイサム自身、弾系の攻撃魔法が幾つも同時発動可能なレベルになっているんだろう。
俺達だと4元素魔法を使えるのはナタリアだけだけど、成人の祝福からもう5か月経つのに、未だ一つもそのレベルになれていないんだぞ。正直、強すぎる。
その強くなる方法は、皆の為に公表すべきじゃないのか?」
そう言ってくるマルセロの表情を確認すると、自分の為に知りたいと言う訳では無く、本当の人族の為に役に立つ情報なら皆に公開すべきと思っている様だ。
それに『真面目だな』と思いつつ苦笑していると「な。変な事言ったか」とマルセロは怒るのではなく、冷静になった感じで言ってくる。
「いや。そう言う類の話しじゃないんだよね」と言うと、マルセロはアレンの方に視線をやった。
これは、アレンがある程度話したんだ。
そう思っていると「いや。俺はイサムの了承が無いと話せないって言ったんだよ」との事。
そんな事を言えば、勘ぐられるのくらい分かるだろうに。
単に、彼等にも教えたい、と言う事か。
そんな風に思っていると、シーロが申し訳なさそうに言ってくる。
「……。すまない。俺達犬人族は、人間族より耳と鼻が良いんだ。まあ、個人差は大きいんだけど。
それで、今朝宿を出発する時にしていたアレン君と君の会話が聞こえていてね。
強くなる為にしている事を教わりたいんだが、我々には言えないような事なのかな?」
犬人族も猫人族も耳が良い筈だから、ミリアやシャロンと話しているタイミングでアレンに文句を言ったんだけど、やっぱり、聞かれていたか。
「教えるかどうかは、リーダーが判断したら。それで何かあったら、リーダーが責任を取ってくれ」とアレンに丸投げする。
「い。良いのかよ」とアレンは言い淀むが。
「アレンが、話しても話さなくても勘違いされそうな状況にしたみたいだからな」
そうアレンが原因だから責任取れよと言ったんだけど「いや。イサムが話してくれよ」とアレンは俺に話すように振ってくるが。
主人公は、友人となったシーロ達に自分達のスキル上げについて、教えるのでしょうか。




