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隠れ勇者イサムは今日も嘘つき ~勇気を示さないと強くなれない異世界で裏技を使われ強くなりましたが、面倒事を避ける為に嘘をついています~  作者: 野下大誤
第7章 レギオン討伐依頼編

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第178話 ドーラ婆さんの薬屋

 主人公は、上級のMP回復薬や魔回薬が欲しいと薬屋で愚痴ると、ある薬屋を紹介されました。

 魔女の住処って感じの様ですが。

 王都の薬屋をめぐり、寂れている通りで比較的安そうな薬屋を見つけた。


 そこで上級の魔法薬や魔生薬が欲しいと愚痴ると、ちょっと厄介な薬屋を紹介してもらえるという事。


 まあ、ここでも薬を買えば紹介してやる、という事なので、最低限確保しておこうと思っていた中級のMP回復薬とエリクサーを4本ずつ買って、店を紹介してもらって、そこへと向かう。


 あ~。


 魔女の住処って感じの店ね。


 そう思いつつ、「キィィィ」「カランカラン」なんて音をたてつつドアを開けて入ると、凄い薬と薬草のキツイ匂いだ。


 10年や20年で、こんな臭いにならないだろう。


 と言うか、罠解除スキルが、罠だらけって言ってくるけど、ここは薬屋だよね。


 まあ、薬を盗もうとしたり、住居スペースに行こうとしたりしないと発動はしない様だけど。


 そう思っていると「誰だい」との誰何の声が。


 「薬が欲しくて。マルテインさんから紹介されて来たんですが」


 そう言うと店の奥から現れる猫人族の老婆。


 この人がドーラ婆さんか。


 と言うか、アレンと大差ないステータスに感じるけど。


 3倍職の匠か4倍職の名匠で加齢によりステータスが下がっている状態なのか。


 そんな風に驚いていると「ああ。あの未熟者の紹介か。それで、何が欲しいんだ」とドーラ婆さんは言ってくる。


 「値段次第ではあるんですが、上級の魔回薬、上級のMP回復薬とエリクサーです」


 そう言うと「なんだい。戦争にでも行くのかい?」と眉をひそめて言ってくる。


 そんなに常識外の事を言ったのだろうか?


 そう思いつつ「いえ。トラブル気質の友人が居るので、万が一に備えてなんですけど」と本当の事情を言う。


 すると「そんな事に金を使うのかい」と呆れた感じで言われてしまう。


 なので「冒険者なので、失敗は死って事も多いですからね。それにMP不足には泣かされていますし」と、ありきたりな方の理由も言っておく。


 すると「……。オークションで売るとか、考えているんじゃないだろうね」と、ドーラ婆さんは厳しい表情になり聞いて来る。


 なので逆に「それで利益が出るんですか?」と、俺の方が質問してみたのだけど。


 「……。でるだろうさ。普通は手に入らないものだからね」とまた少し呆れた感じになる。


 「なるほど。じゃあ、お金足りないか」


 そう肩を落としながら言うと「幾ら持っているんだい」と俺の懐事情を確認してくる。


 なので「親の遺産の神硬貨を、早く使ってしまおうかと」とキッチリ有りそうな嘘をいっておく。


 「予算は、1000万GAZUか。オークションで稀に見る上級のエリクサーなんて2000万GAZU以上するんだが」


 その発言に「あ~。やっぱりですか」と落ち込んでしまう。


 すると「上級の魔回薬が80万、上級のMP回復薬が200万GAZUだよ。買うのかい?」と言ってきてくれた。


 だけど、その口調に含む物を感じたので「欲しいですけど」と言ったのだけど。


 「ふん。だけど、売るとしたら、その倍の値段だよ」との事だ。


 なので「どういう事でしょう?」と素直に確認する。


 「うちは、薬師ギルドに入っていないからね。万能草とか魔力草とかが手に入り辛いんだよ。魔石とか魔晶石は、まだ冒険者ギルドや錬金術師ギルドから買う事は出来るんだけど、まあ、高く売りつけられるしね」


 そう言われたので、『万能草とか魔力草は持っている』って言って造って貰おうかどうか考えつつ「あ~」と言っていると「ん。ひょっとして、万能草を持っているのかい?」と持っている事がバレてしまう。


 流石に長く生きている感じだ。


 ここは正直に言わないと売ってもらえないかもしれないと「上級の薬作成に使える様な魔石・魔晶石は持ってないですけど、万能草と魔力草については、持っています」と正直に伝える。


 「なら、それをここで売りな」と強い口調で言われるが「値段は?」とちゃんと聞いておく。


 「魔力草2単位で、1単位で造れる上級魔回薬と上級MP回復薬を売ってやる。

  勿論、それ以外にもお金は貰うがな。

  値段は、私に渡す薬草類とは別に、魔石・魔晶石代と作成依頼料で上級魔回薬を3錠が300万GAZU。上級MP回復薬も1本300万GAZUだな。

  残念ながら、私じゃ上級のエリクサーは造れないから、そっちは無しだ。

  後は、万能草を20万GAZUで、魔力草は2万GAZUで買ってやるよ」


 「俺も薬学のスキル上げに使うつもりなんで、そんなには売れませんが」


 「ほぅ。薬学スキル持ちかい。なら誤魔化せないって事か」


 「そうですね。薬関係のモノは限定鑑定出来ますから。まあ、でなければ、高い薬なんて初めての店では買えませんからね」


 「分ったよ。なら1000万GAZUの神硬貨1枚と万能草20単位、魔力草40単位で上級魔回薬30錠、上級MP回復薬5本でどうだい?」


 うわ~。


 なんか、途端に安くなったな。


 倍の額だって言う前の金額と比較しても安そうなんだけど。


 と言うか半分以下か。


 なんて言うか、お金より万能草や魔力草が欲しいって感じなのかな。


 だったら、万能草と魔力草の買取価格をもっと上げればいいのに。


 まあ、買取価格についても、薬師ギルドの監視とか有るのかな。


 それとも薬学スキル持ちの後輩だという事で安くなったりしたのだろうか。


 そんな事を考えている間も険しい表情でこちらを見ている。


 俺にとっても好機かな。


 そう思ったので「その倍の取引は可能ですか?」と聞いてみる。


 「あ。あんた。そうか。神硬貨も1枚とは言っていなかったか」と驚いた感じになった。


 まあ、2億円相当の遺産を親から貰った事になるんだもんな。


 そう思いつつ、ここは変に思われても薬を手に入れるべき、と決断。


 あまり違和感が強いと売ってもらえないかも、と「ええ。命を狙われる原因となりそうなモノなので」とも言っておく。


 「ああ。その用心深さは大事だよ。だけど、在庫があったかな」


 そう言って奥に入っていったけど、直ぐに戻って来た。


 その間に俺は、店の入り口の広い処で格納箱から木製のコンテナを取り出す。


 取り出したコンテナは、薬草保存棚の引き出しが付いている物で、人前に出す様だから保存処理もしてある薬草類を入れてある。


 そのコンテナの薬草保存棚を引き出し、中の万能草40単位、魔力草を80単位取り出してカウンターに置いておく。


 そして、更に格納箱スキルから取り出した袋から神硬貨2枚を直接ドーラ婆さんに渡す。


 すると、向こうは木箱に入った上級魔回薬60錠、上級MP回復薬10本を渡してきたので、木箱ごと貰っていいかを確認し、木箱ごと格納箱スキルに格納する。


 「ふう」と溜息をついていると出しっぱなしの俺のコンテナの中身を確認していたドーラ婆さんは「生き残りたいなら、万能草20単位と魔力草20単位も出しな」と言ってくる。


 人に見せる様に在庫の5分の1程度しか入れていない薬草保存棚だったとはいえ、100単位を超える万能草や200単位程度の魔力草を入れてあったコンテナの中を見られたからな。


 手に入らない薬を大量に安く売ってもらったし、その対価として出したコンテナ内の全部の薬草を譲っても良いくらいだから、素直に応じるか。


 そう思いつつ出すと、更に中級エリクサー5本と中級万能薬を15錠渡される。


 物々交換か。


 値段から言うと、随分俺の方が得をしている感じだけど、上級や中級の魔法薬や魔生薬を造れる人にとっては、お金より原材料の方が貴重だったりするのかな?


 そう思っていると「後は……、万能草と魔力草を30単位と寄越しな」と更に言ってくる。


 その要望に素直に応じると紙に包まれた。蘇生の雫5つを渡される。


 660万GAZU相当の薬草で、5つか。


 確かに、最安値だと1つ100万GAZUとかとは聞いたけど、一個132万GAZUか。


 最低価格よりは高いけど、普通に買うより安いんだろうな。


 と言うか、蘇生の雫なんて、人が大量に死ぬような事態が有れば数千万GAZUでも買えない消費マジックアイテムだ。


 そう思っていると「これは貸しだ。生きていたら、また数年後にでも万能草と魔力草を売りに来るんだよ。MPだけ回復させる事に執着し、治療について考えない、馬鹿な冒険者」との事。


 それが不器用な忠告だと理解する。


 まあ、交流術スキルをONにしてあるからね。


 だから、「ええ。生きていれば。この国に来られる様なら、また来ます」と言って、嘘の名前も本当の名前も告げずに、店を後にした。

 主人公は、念願の上級の薬を手に入れたようです。


変更点:

 ドーラ婆さんの薬屋は、防犯の為のトラップがある描写を追加。

 ドーラ婆さんのステータスは高いと言う描写を追加。

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