第143話 デジャブかな
主人公は、自分は臆病だから一人で行動しても大丈夫。
そう思っているのですが、仲間3人と一匹は。
薬草類を採取に行くと魔物が居る。
更に、トラップのように魔物が沸いたりする。
その辺を話すと心配そうなアレン達。
なので「俺は臆病なのに、そんなに心配する必要があるのかね」と言ったんだけど、3人と1匹がため息をついている。
その後は、微妙な雰囲気のままグラード村に到着した。
なんて言うか、俺が圧倒的強者である勇者職だと3人は知らないんだから、それを踏まえての言動が必要なんだけど、それが上手く行っていないのかな。
まあ、今までも戦った魔物のランクを1~2下げて言ったり、採取した魔力草と万能草の数を少なく言ったりと、意識はしてたんだけどね。
もう少し配慮した方が良いか。
と偽装スキルさんに、もうちょっと注意すべきみたい、と丸投げする。
流石、偽装スキルさんはため息もつかずに、対処を始めてくれる感じ。
まあ、偽装スキルさんの小言が増える事になりそうだけどね。
ああ。
交流術スキルさんにも頼んでおこう。
そんな事を考えつつ、走り続けて村に到着したが、更に先に進む事にする。
次は町だし、その向こうが国境の都市だから、まあ進んでおきたいし。
グラード村の雰囲気も剣呑な雰囲気では無かったので、移動途中にまた俺だけが3人と1匹から離れ、薬草類の採取。
更に、Cランク以上の魔物を倒し、生産に必要な魔石とスキルの雫等が入っている宝箱を得る。
宝箱はホーンタイガーを倒した時と、アースジャイアントを倒した時に発生した。
ホーンタイガーの方の宝箱が大ミスリル貨11枚、ミスリル貨19枚、大銀貨26枚、銀貨28枚、スキルの雫、職業の雫、蘇生の雫、スキル消滅の雫、ヒヒイロカネのインゴットⅡ10個。
アースジャイアントの方の宝箱が神硬貨4枚、大ミスリル貨34枚、ミスリル貨33枚、匠の宝玉、魔導士の宝玉、風魔法の宝玉、スキルの雫、職業の雫、蘇生の雫、消滅の雫、若返りの雫、ミスリルのインゴットⅢ20個だった。
そして、ヤルス町を超えて、国境のマリアド市に向かい始めたので、国境を超えるまでに頑張って薬草類を採取しないと、と走り回っていると、ファイアージャイアントが9匹ほどいる。
セラフィーナさんの護衛依頼の時は逃げたけど、勇者のステータスだと多分楽勝なんだろうな。
そう思いつつ偽装スキルで隠れたまま、魔力弾、水弾、風弾を一匹につき4発ほど発生させて撃ち込むと、アッサリと勝てる。
偽装後の忍び職だと、魔法を数十発撃ち込んでも致命傷にならなかったのに。
そう思いつつ、発生した宝箱を回収し、中身を確認すると神硬貨9枚、大ミスリル貨41枚、ミスリル貨22枚、重戦士の宝玉、格納箱の宝玉、スキル保存の宝玉、スキルの雫2個、職業の雫2個、蘇生の雫1個、魔法の袋(特大、収納効率化、時間停止)だった。
更に薬草類の群生地での採取。
それを終えて更に群生地に向かうと、その場所近くで魔物達が争っている。
Cランクでも強めのホーンライオンと、もう一つは何だろう。
FからEランク程度の強さかな。
漁夫の利を……。
なんて失敗はしません。
まあ、ポチと出会ったのが失敗だったかどうかは微妙な処だけど。
戦いが終わったタイミングで接近する。
また、特異種か。
ホーンライオンの。
まあ、角が1本から2本になっているからと言って、特別・特異な力を持っている特異種とは限らないが。
でも、明らかに強いな。
ん。
あそこに隠れている奴が居るのか。
探索スキルの感知結果から『まだ隠れている魔物が居る』と細かく探ろうとした処、明らかに挙動不審になる二本角のホーンライオン。
これは広範囲攻撃が来るかもしれない。
慌てて、隠れたままの全力の突撃で首を跳ねる。
すると、残った22匹のホーンライオンは逃げずに吠えたり警戒行動をしたり。
Cランクだし、剣で戦う訓練をするか。
そう考えて、姿を現しミスリルのショートソードで首を跳ねてまわる。
最後の一匹だけ、偽装後の忍び職で戦ってみたが、結構きついな。
ああ。
強化種ほどではないにしても、レベルアップして強くなっている個体か。
身体強化、限界突破スキルを使いステータスで上回る事で飛びついて来たホーンライオンをかいくぐり、腹を切り裂く。
それで動きが鈍った処で、斧技スキルのレベル上げの為にミスリルの斧に持ち替えて、動きが鈍くなったホーンライオンの頭部に斧を叩きこんだ。
ふう。
最初に倒した特異種から宝箱が発生したので、それと戦利品の回収だ。
隠れている奴は無視で良いのか。
まあ、襲ってきたら、返り討ちだ。
そう思っていたらデジャブ?
俺の前で腹を出して寝ながらこちらを見ている狸。
ああ。
狸の魔物のキラーラクーンドッグの雄か。
「クゥーン」と鳴くと共に目の前に現れたメッセージは『キラーラクーンドッグの特異種を従魔にしますか。はい/いいえ』だ。
はあ。
また、選択を間違えたのか。
それとも、幸運スキルの影響でもあるのだろうか。
従魔はポチでお腹いっぱい。
そう考えて『いいえ』を選択し、去ろうとすると、目の前に回り込んでお腹を出し、こちらを伺いながら「クゥーン」とか可愛く鳴く狸。
そしてまた『キラーラクーンドッグの特異種を従魔にしますか。はい/いいえ』のメッセージが表示される。
いや。
一回『いいえ』選択したら、諦めろよ。
そう思いつつ、もう一度『いいえ』を選択し、宝箱や戦利品を回収し薬草の群生地帯に行き採取を終えて皆の元に帰ろうとすると、また前に回り込んできてお腹を見せて来る。
そして、また、「キューン」との鳴き声と共に従魔にしますか、のメッセージだ。
『狸の魔物の親愛の行動って、お腹を見せる事なの?』と魔物使い学スキルに聞く。
すると、『この魔物にとっての服従の意思表示です』と言う事らしいが。
そう言えば、ポチの時は土下座だったな。
デジャブと言う程状況が似ている訳じゃないのか。
なんて思いつつ『従魔、もう必要ないよね』と魔物使い学に聞くと、『この個体は偽装スキルを持っているので、俺の力を隠すのに使えます』との事。
う~ん。
悩んでいると「クゥ~ン」と更に甘えるような鳴き声を上げる。
面倒だな。
でも、偽装スキルか。
魔物使い学は、どう考えるの?
そう。
従魔にすべきなんだ。
『管理はお任せください』って、ポチはあれなんだけど。
狸の魔物だから、あまり喋らないんだ。
なら、良いか。
そう決断し『はい』を選択した。
主人公は、新たな従魔を手に入れたようです。
鴨と狸。
主人公は、獣系の魔物に人気があるのでしょうか。




