折り紙の話
子供の頃、よく遊んでいたのが折り紙。それは今も変わらなくて、家には昔よく使っていた折り紙の本だけでなく、大人用の激ムズい折り紙本を持っている。祖母が折り紙の達人なので昔からよく習っていたのだが、いくら練習しても祖母の技術に追いつかない。
それでも基礎的なことからしっかり教わった小学生の時。祖母から譲り受けた技で作り上げたのが綺麗なお花の形だった。コンパクトに可愛らしさを表現できるのだが、この折り紙を完成させるのに3枚も必要である。でもそれほど難しいわけではなかったので、それを上手く組み立てて作り上げたものを小学校でよくクラスの子に見せていた。女の子が集まってくれるのがシンプルに嬉しくて、自慢げによく作っていたものだ。
クラス内でちょっぴりそれが話題になっていたが、所詮時の勢いで終わると思っていた。だがある日、そのお花の折り紙が音楽室にたくさん装飾品として飾られていた。気付けば他学年までにも広がって、学校公認で使われるまでに至った。どこの折り紙本にも載っていた記憶がなかったことから、学校に影響を与えるような折り紙を教えてくれた祖母のことをとにかく誇らしく思った。なんでもない自分がヒーローになれる瞬間を手にして、すごく嬉しかった思い出だ。
それ以降もちょこちょこ折り紙は折り続けていた。弟からの誕生日プレゼントは折り紙だった年もあるし、自分としては不器用だからこそちょっぴり誇れる趣味である。
そんな中、塾の運営のお仕事をしていた2021年のある日。同僚の社員さんの趣味が折り紙だと知り、意気投合した。そこで見せてもらった写真に映っていたのは、僕のものとは比べ物にならないくらい、高度な折り紙の作品の数々だった。多分この方なら、うちの祖母と渡り合えるのではと感心した。こんなことを思い返しているうちに、やっぱり僕はおばあちゃん子なんだなと思う。
祖母が教えてくれた折り紙の1つに、鶴の箸置きがある。と言っても、鶴なのか、白鳥なのか、クジャクなのか。ちなみに僕はクジャクだと思っている。これが未だに僕の代表作の1つだ。必要な折り紙はなんと割り箸を包むあの長い紙。よくファミレスなどで見られるあの紙だ。これを上手く折り進め、綺麗な箸置きを作る。料理が来る前まで、大体いつも僕はこれを折っている。
今度はドラゴンでも作ってみようかと思っている。折り始めたら奥が深い折り紙の世界。ぜひこれを読んで下さる皆様も、好きなものを創作してほしい。