運の話
僕は雨男だな、と思う。
周りからもそう言われるし、実際大事な日はいっつも雨だ。とはいえ、周りの人もいたりするから、雨男だなんて誰なんだか分からないのだろうけど、さすがにファーストソロライブの日に大雨が降った日はどう考えても自分の運だと思ってしまった。
でも僕が生まれた10月10日は、毎年高確率で晴れになる日であることが気象情報であるらしい。たしかに自分の誕生日の日は高確率で晴れている印象だ。しかしそれ以外のターニングポイントとなる日は大体雨。そんな自分がちょっと好きなのもダサい。
とは言うものの、実はここ最近運が良い。年始のおみくじは毎年ずっと大吉を出し続けていて、最後にそれ以外がいつ出たのか覚えてないくらい。この間は大好きな声優さんのプレゼント抽選イベントに行って、当たる確率が超絶低い直筆サイン入りボールを手にした。当選が困難なアーティストのライブイベントにも何とかギリギリで当たった。後日そのイベントに落選した人はすごい数だったという。びっくり。
こんな風に並べてみれば、思ったより外へ行動を起こしてみるのも良いなと思う。とにかく腰が上がらない。時間を無駄にしたくないと思う性格のくせに何もしない。そんな奴が面倒臭がらずに毎年おみくじを引きに行ったり、ダメ元でイベントに申し込んでみたりすれば何か奇跡が起こるかもしれないと期待すればちょっと上機嫌になれる。大外れになっても執着心のないものには「そりゃそっか」で済むレベルだし、そこへ足を運んだことを後悔するほどの出来事でもない。むしろ外に出たことの清々しさすらある。
ただ、ライブの日に雨が降ることは可能な限りないと良いなと思う。お客さんに申し訳ない気持ちがある。でもそんな足元の悪い中、わざわざ会場に来てくれるお客さんへしっかり感謝できるから、当たり前だと思わない、慣れないようになるための訓練になる。
雨が降らないことで最大限に楽しめるのは、僕の場合、動物園に行くこと。晴天の日に動物園に行くと本当に気持ちが良い。二十代後半にもなると、僕としては何が焦らないコツなのかが見えにくくなる。他人とのペースと比較してしまいがちになる。でもそれが動物園の上空が晴れ晴れとすることで時の流れが急にゆったりに感じる。雨だとこれはダメなのだ。
自分を調整したい時、運が結構絡んでいるから、せめてその運に振り回されないように時間を肌で感じるようになれると穏やかな気持ちでいられる気がする。