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【破壊神復活編】⑤ シスターズ

第8層は大きな空洞となっていた。

「竹林龍三!」

良子はその空洞の中ほどに立っていた白髪の男を睨みつけた。

「お前ら、何故ここに!?7層から無傷でここにか?」

龍三は驚いた。

中央昇降機を使って第8層へ直接降りるためのパスコードは限られたものしか知らない。

それ以前の問題として第8層の存在自体が外部には漏れていないはずなのだ。

彼女たちは、作戦命令通りに第7層に降りる。

第7層には神経性ガスや爆薬などの多数の罠が仕掛けてあり、さらに30名近くの精鋭のクローン兵士を配備したのである。

いくら永園菫が並外れた戦闘力を持っているとは言え、非戦闘員である有馬や六分寺を庇いつつ無傷でここに到達するなどあり得ない事なのだ。

彼女たちを体よく痛めつけてから、ここに連行して、最後は竹林初美の手にかける。

そういう計画であったのに・・・


・・・あるいは内通者がいるのか?・・・



「運よく快速に乗れたのでね」と富子が軽口をたたく。


「堪忍なさい!龍三!」良子は拳銃を構え、その銃口を龍三に向ける。


「えっ?菫?菫?」しかし、富子が突然の菫に異変に気付く。


「も、申し訳ありません・・・」顔面蒼白になった菫は、地面に膝をついていた。


「ハハハ、残念だったな、こいつはそもそもオリジナルの末裔だ。さればSUMIRE NETWORKの影響からは逃れられぬわ」


「SUMIRE NETWORK?」良子はさきほど麻衣の呟いた言葉を反芻する。


第7層から駆けつけたクローン兵たちが特務調査小隊を取り囲む。


「うそ??」クローン兵たちの顔を見て驚く良子


「菫???」富子も目を疑った。


永園菫と瓜二つの容姿のクローン兵たち。


その姿に驚きつつ、そしてその姿から彼女たちの戦闘力の高さは容易に想像できた。

諦めて手を上げて銃を捨てる。


「どういう事なの?麻衣?」良子は、こんな状況であるのに、一心不乱にタブレットを操作している麻衣に尋ねる。

「さっきからのハッキングで知ったのだけれど・・・」案の定、麻衣はおおよその経緯やら状況やらを把握していたようだ。

「今から20年前に竹林重工と進化研の共同チームが、ある極秘プロジェクトを発足させた。

国際的に禁止とされているデザインベイビーを使って最強の兵士を作るというプロジェクト。

そして、そのデザインベイビーたちのコードネームが、「すみれシリーズ」。

元となったDNAは、うん、そうだよ。菫ちゃんの先祖、初代永園菫のものだよ」


「竹林龍三は、将軍霊廟で、私たちのご先祖様の墓を暴いたというの!?」富子は驚く。


「富子、ああそうだよ、そこのジジイは禁忌を犯したんだ。

その後、すみれシリーズは、改良を続けていくわけだが・・・

その彼女たちの長年にわたる戦闘記録を蓄積し、解析して、適切な戦闘プログラムとして最適化し、彼女らクローン兵の脳にフィードバックするネットワークがある。

それがスミレネットワークというものなんだよ。

ちなみにクローン兵たちは、メッセンジャーRNAを接種させられて、5Gでネットワークに接続している。」


「でも、メッセンジャーRNAは今は禁止されているじゃない。私たちは接種していないはずだわ」良子は疑念を呈す。


「そうだね。でも菫は一時期、進化研に出向していたでしょ。多分、その時に打たれたんだよ。まあ時間がたっているから効果は薄れていて、菫を制御することはできないにしても、それが彼女の神経に影響を及ぼしているんだと思う。

いま、この空間には信じられないくらい強力な5Gが飛び交っているよ。

だから、ここが、実験場所だったんでしょう?ねぇ竹林龍三」


「さすがは、有馬自慢の娘だな。短い時間によく調べたもんだ。殺すのは惜しいのお。当社に転職せんか?」龍三は感心さえしてる。


「・・・龍三様・・・」


今まで無言だった静香がおもむろに口を開いた。


「静香!お前は黙っていろ!」その声に龍三は苛立ったようだ。


「龍三様、こんな事をしても無駄です。あの方は戻ってきません!」


「うるさい!」


「あの方は、静香様はもうおりません、こんなことしても無駄なのです」


「黙っていろと言っただろう!そして何を言っている?ここにいるではないか。私の可愛い静香が。静香よ、いま元に戻してやるからな」

そういって龍三は、傍らの少女、初美と呼ばれていた少女の頭を撫でる。

「ど、どういうことなの??」富子たちは驚愕している。


「静香、いや藤堂さん、話してもいいかな」すでに事実に一番近い場所にいる麻衣は静香に目配せする。


「ええ、麻衣、構わないわ」


「死んでいるんだよ。もう死んでいる。15年前に竹林静香は死んでいる。

だから竹林家はすでに断絶しているんだ。それを隠すために、まず竹林の外戚の藤堂家の娘、藤堂茜を竹林静香に仕立てた。

そして静香の娘として竹林初美に家督を譲らせた。もちろん初美は藤堂さんの実の娘ではないよ。あの子についての情報は殆どなかった。

でもクローンでもなさそうで、人間でもない何かなんだと思うけど・・・

まあ、龍三は竹林の家を守るためにそういった策を弄しながらも、一方では自分の最愛の娘が死んだ事実を受け入れることができなかった。

龍三の精神は徐々に病んでいったんだよ。

そこを付け込まれたんだ。そこの男に。ねぇ、みんな、もう、あいつが誰だか想像はついているるよね」


そういって黒衣の僧服の男を指さした。


「安倍晴明!」富子は久しぶりにその名を呼んだ。


「ハハハ、龍三殿、このものたちは面白い。頭が狂っているのは、むしろこいつらです。あなたの静香様は、そこ、あなたの隣におられますよ。もうすぐです。

さあ、早く、静香様、いや初美様をして、あの女を、初美様の母を、静香として殺してやってください。

初美様をして自ら親殺しをさせる。それがあの子の心を取り戻すための唯一の方法なのですよ。」安倍晴明と呼ばれた男、波留明は動じない。


「そ、そうであった!初美!殺せ!あの女を、お前の母を殺せ!お前の手で殺せ!」龍三は高ぶった気持ちを少し落ち着かせたようだった。


「わかりました、おじい様」少女は小さく頷いた。


たあああああ


長刀を構えたその少女は、驚くべき速さで藤堂茜に飛び掛かってきた。

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