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【学園編】⑥ Duet 

「こんにちわ、菫ちゃん」

「いらっしゃいませ。土御門さん、今井さん、セイメイさん」

菫は、玄関で富子と麻衣、そして黒猫に丁寧に挨拶する。

「あ、菫ちゃん、ジャージとかも着るんだね」と富子は少し驚く。

「はい、合宿には、動きやすく汚れていいようにジャージがいいとセイメイさんから伺いましたので。。」

「つ、セイメイ適当な事を。つか菫のジャージ、PRADAだ。庶民は、それ汚れてもいい恰好とは言わんが」いつもの麻衣の呆れ顔。


「トミー姉ちゃんたち、おそーい!」


菫の後ろから桜が声を上げる

「遅いも何も、機材搬入の邪魔だから、時間ずらせって言ったのは、桜じゃんか」

麻衣は、桜の言いがかりに応酬。


「よ、お前ら、揃ったな」

「広橋!なんでお前がいるんだよ!」

麻衣は、部屋の奥から出てきたスーツ姿の女性に目を剥く。

「どうも、こうも、私、お前らの部の顧問だけど。」

「広橋、今までに、部に顔出したことなんかないじゃん」

「今井。いい加減、広橋先生と呼べよ。」


にゃあああああ


すると突然、セイメイが広橋良子に飛びついた。

「あ、セイメイ!良子姉に自分から飛びつくなんて珍しい!」富子は驚く。

「あーよしよし」

セイメイを抱き上げ、顔を近づける良子。

「・・・お前、今日は、どんな了見だよ・・・」

セイメイを声を落として、良子の耳元で囁く。

「どうも、こうも。単なる演劇の指導だよ」

「・・・最近の教師は演劇の指導のために、わざわざコンテンダー持参するのか・・・」

セイメイは良子が服の下に銃器を隠し持っていることを看取している。

「単なる用心のため、万一のためだよ。万一、あーセイメイ怖い、怖い」

「お前、余計なことすんなよ。ふん」

「そっちだって、お前、今日首につけてんのルールブレイカーだろ、そんな特級宝具持ちだしてハルマゲドンでも起こすのかよ」

「にゃんのことかな?可愛いからつけてるだけにゃ」

「ハハハ、まあ、お互い様ってことで、でもなんかあったらちゃんと協力しような」

「勝手にしろニャ」


ペロッ


セイメイは、良子の耳たぶを軽く舐めた


「キャッ!、もおおおお」


良子はらしくもなく、顔を少し赤らめた。


「ふん、未熟ものが」


そういってセイメイは良子の腕を払って飛び降りる。


「じゃあ、みんなこれに着替えて!」

桜がハンガーにかかっているボディスーツを指さす。

「つーか、桜、何これ?最終人型決戦兵器のパイロットスーツ的なこれは?」

「え、何って、六分寺エクイップメンツの3Dモーションキャプチャー用の最新鋭ボディスーツだよ。あ、菫ちゃん、ちょっとじっとしていてね。」

桜は、菫の目にカラコンをつけてさせている

「だとしても、桜、水色ショートのウィッグに、赤のカラコンは関係ないだろう」

ぶつぶつ言いながらも、麻衣も赤いボディスーツに着替えている。

「あーうるさいですね。できた。じゃあ、菫ちゃん、音楽練習室に行きましょうか」

そういって桜は、菫の手を引いていく。

「あ、はい」

「桜、お前の魂胆わかったわ、菫ちゃんにコスプレさせてピアノ弾かせた動画上げるんだろ、お前のチャンネルに」

麻衣は、目を剥く。

「でも、あたしは、菫ちゃんの弾くピアノ聞いてみたいな」と富子

「で、ピアノってどうせスタンウェインとかベーゼンドルファーとかでしょ、もう驚かないよ、そんなんじゃ」

菫のセレブぶりに慣れたつもりの麻衣。

「今井さん、いや、うちのは普通の電子ピアノですよ」

「へー、そうなんだ、意外だな、電子ピアノとか。ってお前これ」

音楽練習室も入った麻衣は、宇宙船のようなピアノを見て、驚きの声を上げる

「まいんおねえちゃん。これ、Rolandのコンセプトモデル『GPX-F1 Facet』だよ。多分、世界に数台しかない。私ももっていない機材だよ」と桜。

「いやあ、これは確かに動画では受けるかもね、まあ、菫、頑張れー、こいつの再生数稼ぎのために」

「まいんおねえちゃんも弾くんだよ、そのための赤のプラグスーツでしょ。」

「いや、それおかしいでしょ、桜、お前自分で弾けよ」

「私は、撮影係りだし、見る専だし。はい。これ譜面。」

「えーとこの曲、『quatre mains』?ああ、あのホモホモしい連弾曲か。これなら弾けるか、私は下弾くね。菫は大丈夫?」

「はい、今井さん、初見ですが、多分弾けると思います。」

桜から譜面の表示されたタブレットを受け取り、長椅子に並んで座る二人。

「ニャハッ、ツンデレ、連弾とか、実は、お前、憧れていたんだろ」

いつのまにかピアノの上に黒猫が座っている。

「うるさい!」

ガン!

麻衣は、低音の鍵盤を激しくたたく。

「ヒキャ!」

突然の大音量と振動に思わず飛び上がるセイメイ。

「お前!、また動物虐待を!」

ブツブツいいながら、ピアノから降りるセイメイ。


・・くそ、この黒猫は、本当になんでもお見通しだ・・・


天才と言われていた麻衣は、もちろんピアノの腕前も相当なものだった。

名のあるコンクールで優勝したことも何回もある。

通っていたピアノ教室でも、同じ年齢の子供たちが、楽しそうに連弾をするのを横目でみながら

厳しい教師の個人レッスンを続けていた


・・ああ、わたしもみんなと連弾とかしたいなあ・・・


・・ずっと、そう思っていたんだよ・・・


・・だけど、特別な存在だったわたしは・・・


・・だから、今こうして・・・


ぐすっ


「あのう、今井さん、どうされました?、もしかして私と連弾するのが、嫌なのでしょうか?」

「菫、バカ!あ、ごめん、違う、そんなことないよ、人と連弾するの初めてだし、ちょっと嬉しくて・・」


・・・やばい、私、本当の事言ってる、素直になってる、完全にキャラ崩壊してる・・・


「これも、つっちーが悪い」

「えー、なんで私?」思わぬ飛び火に驚く富子。

「つっちーが、私と連弾してくれなかったから」

「あいにく、楽器の心得がないものでして、、ですのでここで一曲」

「そんなのいいから、早く始めてよ。それと菫おねえちゃんは、まいんおねえちゃんのこと、お姉さまって呼んでね」

「あ、はい。わかりました。これも演劇のための練習なのですね。六分寺さん」

「そうだよ、練習、練習」

「それでは、始めましょうか。お姉さま。」

「おうよ。では321」


2人は演奏を開始する。

さすがに2人ともプロ顔負けの演奏者で息もあっている。


???、ん、でも、この譜面?


麻衣は、以前、この曲を弾いた時と何か違和感を感じている。


えっ?下のパート、こんなに高い音弾く曲だった?


同じように上のパートを担当している菫も、時折、低い音を弾くために手を伸ばしくる


度々、腕をクロスさせる2人。


「あっ、ごめん、菫」


右手がぶつからないように上げた麻衣の右腕が、菫の胸にあたる


「ん、あ、大丈夫です。お姉さま」


菫は可愛らしく少しほうを赤らめている


横目で菫の恥じらう顔を見て、麻衣も思わず、ドキッとする


・・そうか、そういうことだったのか・・・


・・この曲にないはずの演奏者の腕クロス、六分寺くんの狙いはこれか・・・


・・流石は、我らが演劇部長。そしてガチ百合の専門家・・・


・・ピアノの連弾でのイチャイチャとか。百合もんに定番じゃないですか、なぜ、それに気が付かなかった・・・



「うわああああ。たまんない、きゃあああ」


案の定、カメラを回している桜は、絶叫している。

興奮して鼻血を出している。マンガかよ?


「ニャハハハ、まじうける」

・・くそ猫が笑っている・・

こいつが笑っている理由はもう想像がつくわ


「くそ猫が言いたいことは、私の腕が菫の胸に当たるのに、」

「せやせや」

「何故、菫の腕が私の胸に当たらないかだろ!」

「ご名答にゃ」

「はい、はい。そうですね。私には、あたる胸がありませぬからね。」

「おお、分かってるにゃー」

「しかし、よくも毎回毎回、人の美乳をこけにすることしか考えませんね。くそ猫さんは」

だけど、内心くやしい麻衣は、めいっぱい胸を突き出すが、菫の腕は一向にあたらない。

麻衣の右腕は、なんども菫の胸にあたり、その都度、菫は小さな声を上げる


なんとか演奏を終えた2人。

菫は、なぜか顔を真っ赤にしている。

で、麻衣はどーかというと、こっちは、始めての連弾で嬉しいはずの気持ちは、いつのまにか霧消して、敗北感に打ちのめされている表情。


「お姉さま、何かよくわからないけど、ごめんなさい」

「そう、菫が悪いよ」

「あ、あのう、私のどこがいけなかったんでしょうか」

「私に断りなく、また胸が大きくなったのが悪い」

「あの、その、それは、、」

顔を赤らめてしどろもどろになる菫。

「ひどい難癖やニャ、ツンデレちっぱいは」

「まいんおねえちゃんも、菫おねえちゃんの胸を責めるな!」

「菫ちゃん、それいつものまいんの照れ隠しだよ。気にしないで」

「ごめんなさい、お姉さま、私、どうすればいいか」

「じゃあ、今日は一緒にお風呂入る。それで許してあげる」

「あ、はい。お姉さま」

「うわっ、菫おねえちゃん、キャワ!尊い、尊すぐる」

「桜、お前はぜってーくんな、さすがに撮影はダメだから」

「えええええええ?」桜は不満そうだ

「あと、セイメイも一緒に入れよ」

・・セイメイも一緒なら・・・

・・でも、この猫は、こういうこと意外に気にするから拒否るだろうな・・・

・・つまらないことを考えた、そして言ってしまった・・・

麻衣は自省する。


「ええで、菫さんもよければ入るニャ」


「えっ?」


セイメイの意外な言葉に驚く麻衣。


「あ、はい。喜んで」

嬉しそうな菫。、


「はーい、皆さん、お風呂の支度ができましたよー」

といきなり都合のいい富子のセリフ。

「はあ、つっちーいないと思ったら、そんなことしてたの?他人の家で」驚く麻衣。

「そりゃ、合宿にはお風呂はつきものでしょうが、ぐへへへへ」桜は嬉しそうだ

「まあ、そうでしょうけど、じゃあ、菫とのお風呂はつっちーに譲るわ。お風呂の支度してくれたんだし」

「ありがとう、まいん。じゃあいこう菫ちゃん、セイメイも」

「ツンデルはやはりまだ自信ないか・・・」

セイメイが麻衣の目を見て納得したように呟く。

「そうだね、私にはまだ・・・」

麻衣は表情を曇らせる。


・・何に自信がないかなんて聞けない・・


・・こいつは、いつも図星なことを言うからいやだ・・・


・・私はつっちーとは違うんだ・・・


・・まだ菫と正面から向き合うことなんて・・・

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