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【学園編】②★ 2位じゃダメなんでしょうか?

期末試験が終わり、試験の順位が貼り出されている。

わたしにとっては、大切なイベントだ。


・・・まあ、わかっているけど、一応、順位を確認しとくか・・・

そんなことを考えていると、わたしのほうに猛烈な勢いで走ってくるやつがいる。


「まいーん!わたし、やったよ!なんとか赤点回避だよ!」

わたしの幼馴染の土御門富子だ。

「おい、つっちー、そんな事でかい声で言って恥ずかしいぞ・・」


・・・さておき、わたしは、順位を確認する・・・


総合1位 永園菫(特進コース)

総合2位 今井麻衣(普通科)


まわりでひそひそ声が聞こえる


・・・また、1位は、あの人だわ・・・

・・・あの人、人付き合いほとんどしないんでしょ・・・

・・・なんか勉強ばっかしてる感じで、感じわるいよね・・・

・・・あんまり喋らないし、機械みたい・・・


「ねぇ、まいん!いつものやつやんないの?」

「ああ、わかっているよ。つっちー、永園にLINEしてここに呼び出して。」

「まいん、もう呼んでるよ」


一人の美少女がわたしたちに向かって歩いてくる。


白く艶やかな肌に澄んだガラス細工のような青い瞳。

大きな瞳に長いまつ毛と整った鼻筋。

光沢を放つ金髪。

すれ違う人が誰もが見とれてしまうような美少女。

特別進学コースの永園菫ながそのすみれだ。

しかしその表情は冷たい、というか無機質というか、儚げだ。

挿絵(By みてみん)


「土御門さん、今井さん、こんにちわ」その美少女は丁寧に、そして優雅に会釈する。

わたしは、永園菫を指さし叫ぶ。

「永園菫!今回もこのあたしを差し置いて1位とか許さないわ!」

「まいんは、ゲームばっかしてたからね」

「この天才美少女の今井麻衣が、あなたに負けるなんて何かの間違いだわ!」

「まいん、自分で天才とか美少女とか、それ恥ずかしいよ。」

「今回は、たまたまヤマが外れて負けたけど、次回は負けないからね!」

「まいんも、ヤマに頼っているんだね」

まわりで笑い声が起こる。


・・・今井さんのこれ、いつ見ても面白い・・・

・・・まいまいって、完全、ぽんこつ負けヒロインだよね・・・

・・・まいまいに悪いけど、これ、ほんとまぬけで毎回笑える・・

・・・まいまいさん、これで何敗目?・・・

・・・ポンコツ姫!次こそ、がんばれ!・・・


私は、周りを見て言う。

「お前ら!ポンコツ言うな!そして覚えてらっしゃい永園菫!くそ!」

私は、その場から走って立ち去る。

「ちょっと、まいん待ってよ」

つっちーが追いかけてくる。

「あ、あの、今井さん?」

きっと永園菫は、いつも通りの困惑顔だろう。



↑↑↑はい、ここまでがテンプレ。


「ねぇ、今日うちくる?お祝いしようよ。祝、私の赤点回避!」

「ああ、いくよ。」わたしは答える。

「あとさー、永園さんだけど・・」

「あ、はいはい」

つっちーはなんか言っていたけど、適当に相槌を打つわたし。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ツンデレ、お前、また2位か、よかったニャ」つっちーの部屋に入ると生意気な黒猫が話かけてくる。

「セイメイなんで知ってんだよ」

「お前の嬉しそうな顔みれば、わかるニャ。それに一文字のイントラにも上がってんだろ、試験結果。」

「別に嬉しかないわ。また永園菫に負けて。それと女子高のイントラ見る猫とかまじやばい。スートカーかよ」

「ああ?保護者として仕方なくなんだが、まあお前も、少しは永園とかいうやつに感謝しとけニャ」


・・・うん、そうだね、こいつには、お見通しか・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

わたしは、高校に入学して最初の中間試験の結果発表の時を思い出す。



試験結果の発表。


昔から大嫌いな瞬間だ。


私は、総合順位が張り出された掲示板を見る。


どーせまた・・・


えっ??


総合2位 今井麻衣(普通科)


私は、思わず、目を疑った。

そして私の目から涙があふれてきたんだ。


総合1位 永園菫(特進コース)


・・・永園菫って確か特進の金髪碧眼の子か・・・


周囲の女生徒たちのコソコソ話が耳に入ってくる


・・・やはり一位は、永園菫さんね・・・

・・・あの人、友達も誰もいないんでしょ・・・

・・・勉強ばっかしてる感じで話しかけにくいよね・・・

・・・なんか、お高くとまっていて感じわるいよね・・・

・・・あんまり喋らないし、人間じゃないみたい・・・

・・・私たちと住む世界が違うって感じだよね・・・


掲示板から少し離れた場所に、一人の金髪の少女が立っていた。


もちろん彼女には誰も話しかけない。



その姿は・・・



・・・ああ、あれは、ちょっと前までの私だ・・・



そして今・・・



・・・誰も私の話はしていない・・・



わたしは、常に学年トップであった。


小さい頃から天才とか秀才とか言われて。


特別な目で見られ、いや見られているような気がして


常に窮屈で、疎外感を感じていて、いやでいやでたまらなくて・・・


でも、私には、幼馴染のつっちーがいた。


私を特別扱いせずに普通に接してくれる唯一の親友がいた。


だから、なんとかここまでこれた。


だけど、永園菫に、そういう人はいるんだろうか・・・



ちなみにわたしは、性格が悪い。


「意地が悪くて、賢して、わざとらしい」って、いつもつっちーに言われている。


その通り。自覚してる。だから、その時、こう考えたんだ。



・・・もしかして、次の試験では、私が1位になってしまうかもしれない・・・


・・・そしたら、また、昔みたいに戻っちゃうのかな・・・


・・・それは、絶対にいや!・・・



そして、私は、彼女に向かって叫んでいた。


「ちょっと、あんたが永園菫!この天才美少女の今井麻衣が、あなたに負けるなんて、ありえない!今に見てらっしゃい!」


そう、私はなろうと思ったんだ。


「永園菫のポンコツライバルキャラ」に。


そうすれば、なんかみんな面白がってくれるんじゃないかな。たとえ私は1位になっちゃたとしても。


でも、あたしが1位になるかもしれないというのは全くの杞憂だったけどね。


えっ?永園菫の友達になってやろうなんて気?そんなのあるわけないでしょ!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「でも、ほんとまいんは憧れちゃうよ。勉強もできるし可愛いし、それに比べてあたしなんかなんの取柄もない」

つっちーがいじけているので、わたしはちょっとは、励まそうと思う。

「まあ、私が、頭がいいのと可愛いのは当たり前なのだが、つっちーだっていいとこあんじゃん」

「何も、ないよー、私なんか」

「土御門とか、苗字がかっこいいとか」

「全然かっこよくないよ、小学生のときは「ドゴモン」って言われていたし」

「私より胸、大きいじゃん」


・・・本当のつっちーのいいとこ、そんなの誰にも言わない、本人にも・・・


・・・それを知っているの、わたしだけにしたいから・・・


「ツンデレは貧乳だしニャ」セイメイがうれしそうにDISり始める。

「おい、猫、貧乳とか、あまりにもデリカシーに欠ける表現だぞ!」

「お前、Google先生に聞いてみろ!貧乳が一番一般的な言い方だろ!他にどういう言い方あるんだよ」

「シンデレラバストとか・・」

「ニャハハ、シンデレラバスト?もうそんな言葉、誰も使ってないだろ。

まあ、何?そのシンデレラバスト?的なお前にもそのうち貧乳フェチの王子様でも現れるの?ニャハハ」

「うるさいぞ、猫」身体的特徴をDISりネタにするとか最低の猫だ!

「ニャハハ、身分を隠したお前が王子様から逃げる時に、貧乳ゆえにブラがずり落ちて、それを拾った王子様が、国中の女性にそのブラがフィットするか試すんか。あほ丸出しニャ!

そしてその国でもっとも貧乳なお前が見事、貧乳フェチ王子のハートを仕留めるんか。

ニャハハハ、ロマンスやニャー、シンデレラストーリーやニャー」

「この下品猫、こうしてやる」

わたしは、その下品な猫を抱き上げて、私の豊満!な胸に押し付ける!

「やめろ!ツンデレ、いたいニャ、骨があたるニャ!」

「謝れ!全国200万のシンデレラバストの女性に謝れ!合計400万個のシンデレラおっぱいに謝れ!いますぐお前のチャンネルで謝罪配信しろ!新聞に謝罪広告だせ!」

「うるさい!じゃあ、こうしてやるニャ!」

なんと、その黒猫は私の腕から抜け出し、器用にも私のブラのホックを外す。

そしていつの間にか、その口に私のブラを咥えているのである。

「てめえ、くそ猫!返せよ!」この猫は痴漢行為までするのか?

「見たか!スティールスキルニャ」

そういって黒猫は、器用に窓を開けて、ベランダに出る。

触れてなかったけど、つっちーの家はマンションの5階だ。

黒猫は、手摺に上った。

「ニャハハハ、ここまで来てみろ、ツンデレ」

「セイメイ、危ないよ!あっ」

つっちーがそういった瞬間


!!!!!


セイメイは足を滑らせ、真っ逆さまに地上に落ちていく!


挿絵(By みてみん)

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