表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/71

【室町編】⑯~その話詳しく聞かせてもらってもいいですか~

「またお会いできましたね。」


先ほど私に竹槍を渡してくれた農民が近づいて言う。

声の調子からどうやら若者のようだ。


「さきほどはどうも。あなたから頂いたこの竹槍のおかげで烏丸資任を打ち果たすこともできました。本当にありがとうございます。」


「そうですか、しかしあなたとはもっと前に会っておりますよ。」


「はあ?」


「花の御所の庭園で」

そういって男は、ほっかむりを脱いだ


「な、成仁親王様!」

その素顔をみて大きな声を上げたのは、義政様である。


「ああ、あの時、花の御所でお会いした方。」

私が前世を思い出す直前に出会った少年であった。

あの時は心ときめいていたかもしれないが、いまや百合となった私にとってはどうでもいい。


「では、失礼します。」


「お、おい、富子!お前、なんだその塩対応は?」

良子が慌てて私の首ねっこを捕まえる。


「ハハハ、構いませんよ、久しぶりにお会いしましたが、富子さんはやはり面白い人ですね」

成仁親王は気さくに微笑む。


「しかし皆さま、よく頑張りましたね、富子様、良子様、それと・・」

「成仁親王様、こちらが菫。いつも私を助けてくれる戦闘の達人です。

こちらが桜。山名宗全様の娘、元春姫です。

でこの性格な悪そうなのがお今。有馬持家様の・・」

「そうですか。しかし皆さま、やはり本当によく似ておりますね。」

「やはりとは?」

「富子様、良子様、お今様、桜様、薫様。


結論を先に申しますと、


実は、あなた方5人は、わが父、彦仁(後花園天皇)の落胤の五つ子なんです。」



・・マジかあ・・・


・・なんとなくそんな気がしていた・・


・・何故だか分からないのだけれど・・


・・もちろん、「五つ子」である事のほう・・


「ちょっとその話詳しく聞かせてもらってもいいですか」


「わかりました。

私が父から聞いた話、日野重政殿、有馬持家殿、そして今しがた亡くなった烏丸資任から

聞いた話などを統合してお話いたしましょう。」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「わが父、彦仁に愛された一人の白拍子は、五つ子の娘たちを出産しました。

そして白拍子は生まれたて赤子たちを連れて、彦仁の元を離れてしまいました。

まもなく白拍子は病に倒れてこの世を去り、幼き五つ子たちは取り残されました。

彦仁と白拍子の仲を知っていたある公家が、それを哀れに思い五つ子のうち2人を娘として引き取りました。それが日野重政殿です。」


「まじかあ、じゃあ、もしかして私が良子の姉かもしれないってこと?」

「富子、うるさいわね、世の中には既成事実ってもんがあんのよ」

「いやいや、こういう事はちゃんとしないと」


「良子様、富子様。その白拍子は、五つ子の生まれた順に沿って名前をつけており、

赤子には、その名前が記されていた御札がつけてあったそうです。

良子様は、元のお名前は一乃いちの様、富子様のお名前は三花みかとのこと。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あとの3人は、有馬持家様に引き取られました。

お今様は、二紀にき、二女になります。四女は、桜様でお名前は四織しおり

菫様は、五女で五芭いつはです。

しかし、桜様と菫様は、その後に烏丸家に養子に出されることになります。」


「えっ桜ちゃんは、烏丸家の養女だったの?」

「私の父上は山名宗全様です!烏丸資任なんか父でなんでもありません!」

桜ちゃんは、珍しく語気を荒げた。


「そして烏丸家に引き取られた2人ですが、菫様はすぐにならず者に攫われた。」

ならず者と言いますが、実際は有馬持家様が雇った伊賀者です。」


「ち、違う。私は攫われてなんかいない、あの時、、、」


「菫ちゃん?」


菫ちゃんがこんなに取り乱したのは初めてであった。


「わ、私は、桜の妹なんかじゃありませんっ・・・」

菫ちゃんの瞳から大粒の涙がポロポロと零れ落ちる。

桜ちゃんも目を潤ませる。


「・・五芭・・・私なら大丈夫だよ・・」

そう言って桜ちゃんは菫を優しく抱きしめた。

そういて二人はしばらくの間、無言で涙を流していました。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ああ、色々とびっくりしたけど、これで伏線は全部回収された感じですね」


「はあ、伏線がなんだかわかりませんが。。」


そういって私たちは、成仁親王と義政様と別れて帰途についた。



・・・あれ、あと何かもう一つ重要なことが・・・


・・・あ、そうだ!、私たちにはあらたな・・・




『義理の弟ができました』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ