【室町編】⑭~UR星5をゲットしました~
目的地についたのは夕刻であったので、私たちは農家で一泊し、翌朝から待望の農園見学が始まった。
私は、始めて見た大農園に大興奮した。
すごい?私のやってる畑なんかと全然違うじゃん。
まず規模が違う。
「あ、川があるわ?」
「用水のための水路です。水も濁っているし気を付けて落ちないようにしてください。」
「鰻がいるじゃん、捕まえて食べようって、あっ」
ずるっ、
どしゃーん!
「富子様!」
「ほら、いわんこっちゃない」
私は、ご期待通り用水路に転げ落ち、全身泥だらけになる。
「どうしよう、着替え持ってきてないし、そろそろ帰る刻限だし」
「農家にいって何か着るものを拝借してまいります。」
菫が農家にかけあってくれた。
「姫様、申し訳ございませんが、このような物しかございませんで」
農家の主人は平伏して装束を差し出した。武士の狩装束である。
「ありがとう、喜んで拝借させて頂くわ」
私は菫に手伝ってもらって狩装束に着替える。
まだ濡れていた髪はまとめて烏帽子の中に入れてしまった。
・・お、以外に似合うじゃん・・
鏡で映してみるに、私の姿は若いイケメン武者という感じだ。
「凛々しゅうございますね。」
しかし私の人生最初に変装が男装とはね。
できれば、菫にも男装させて、二人でいちゃいちゃするのもいいなあ。
私の妄想は膨らんでくる。
「さて、帰るとしますか、お土産もたくさんもらったのでお今にでも分けてやるか」
まだ他に巡検がある義政一行と別れ、私と菫ちゃんは帰路についた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「いやです、お父様!」
「許せ、お今。お家のためじゃ」
有馬の屋敷の近くについた私は門前で有馬持家とお今がいい争っているのに出くわした。
屋敷の門前には立派な車がとめてあり、黒い僧服の男が二人を姿を見やっている。
とたん菫の表情に緊張が走る。
「姫様!周囲に少し気になる気配があります。失礼いたします。」
そういって菫は短刀を抜き草むらの中に消えていった。
私は、馬を進め有馬父子のほうに近づいていった。
「何故、私が烏丸殿なんかに!御父上は、あの恐ろしい噂をご存知ないのですか?」
「あれは、根も葉もない噂だ。准大臣様は立派なお方だ」
「烏丸殿の周りでは時折、百鬼が夜行し、しばし女性の悲鳴が聞こえるとのことです。
准大臣は若い女性を使って何やら恐ろしい実験をしているのです。」
「お今、お前の妄想だ。烏丸殿は当家と同じこの国の由緒ある魔家系の流れだ」
「いや、いやです。」
「有馬持家殿、お今殿、もういい加減にして頂く。」
業を煮やした黒衣の僧は、そういって無理やり、お今を車の中に押し込めようとしていた。
・・お、おいっ・・・
私は思わず、馬を進めて割り込んだ。
「何事じゃ、その娘は嫌がっておるではないか?」
・・しまった・・・
もはや脳内の私はイケメン武士になっているのである。
仕方ないこの口調を続けていくか?
「どなただ?これは当家の問題。口出し無用!」
「そうではあるが、そこの娘。お前はどうだ!」
私はお今に問いかける。
「あ、どなたがわかりませんが、私はいきたくない、恐ろしいところに連れていかれるのは、いやでございます。」
「お今!もう我儘はやめろ、これもお家のためだ」
有馬持家は娘の手を掴もうとしていた。
私はおもわず、今のほうに手を差し伸べた。
「では、そこの娘。わしとくるか?」
お今は、涙をためて私を見つめる。
こいつこんなしおらしい表情ができるんだな。
「は、はい」
ぎゅっ
私はお今の腕をつかんで、片手でひょいと馬の背に載せてやる。
どうだ!
私の日々の農作業での鍛錬のせいかを見たか。
「娘、しっかりつかまっておれ、いくぞ」
私は馬に鞭を入れた。
「待たれよ。これを」
そういって有馬持家は、私のほうに巾着袋を投げてよこす。
私は、ずっしりと重い巾着袋を受け取る。
「餞別だ。お今、達者で暮らせ!」
私は後ろを振り返ることなく馬を疾走させた。
背中を通じて、お今が震えているのがわかる。
・・あっ胸あたってる・・
・・いい匂いがする・・
・・こいつも本当は柔らくて可愛いらしい女の子なんだな・・・
後ろから馬を走らせてきた菫が私たちに追いついた。
「とみ、いや殿!
やはり伏兵がおりました。
私のほうで始末しましたが万一のためこのまま全速で参りましょう。」
・・・殿?もしかして菫も私の妄想に付き合っていてくれてるの?
・・・いやいや、まさか。
・・・そうか
・・・お今が私に気づいていないことが菫には分かっているのか・・・
・・・確かに今、私が富子であることがばれるとお今は暴れだすかもしれないな
・・・ここは、とりあえず無事逃げおおせるまではイケメン武士のふりをしとくか
私たちは、馬を走らせて有馬の屋敷からさんざ離れた場所でようやく馬を止めた。
「大丈夫です。追っ手はきておりません。」
「もし、お侍様、私は有馬持家の娘、今と申します。」
すこしほっとしたような表情でお今が声をかけてきた。
・・知ってるよ・・・
「命を救ってくれてありがとうございます。よろしければお名前を・・」
ばさっ
私は、おもむろに烏帽子を取り、髪を降ろした
「えっ、うそ、富子なの??」
「ジャーン、正解。私でした!」
お今は、顔を真っ赤にして目に涙をためている。
「バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカ!
私の大嫌いな!大きらいな!大きらいな!大きらいな
日野富子、富子おおおおおおおおおお」
・・・勝ったな・・・
お今は私に抱き着いて、わんわんと泣き出した。
私は、お今の頭を優しく撫でてやる。
よっしゃあああ!
私は心の中でガッツポーズをつくる
「お今、お前行くとこ、あんのかよ?よければうちに来るか」
「ど、富子にそう言われるなら、ひ、行ってやるわよ」
お今は、涙でぐしゃぐしゃになった顔に満面の笑みを浮かべて答える。
「そうじゃなくちゃね」
私はお今を強く抱きしめた。
「富子様はいったいどれだけたらしこめば・・・」菫は、独り言ちていた。
ま、そんなこんなで私にまた家族が増えました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ときに魔法豪族の有馬持家さんの娘お今さん」
「その言い方やめなさいよ」
「あんた、魔法使えるの?」
「当たり前じゃない!私を誰だと思っているのよ」
「どの魔法が得意なの、地の魔法とか?土人形を動かせるとか」
「うーん、できるかもしれないけどやったことないなあ」
「じゃあ、水とか、指から水ピュっと出せるとか」
「ああ、あれやった時受けたなあ、でも得意ってほどでは」
「火とか?」
「これが一番実用的かも、でもこれが得意なのか」
そういってお今は指先に火を灯した。
良子がすかさず、たばこをくわえると、お今はそれに火を灯す。
「あ、どうも、どうも」
おい、どうもじゃないだろ
「風とかは?」
「夏には、役にたつわよね、これ」
そういうと涼やかなここちよい風が流れてきた。
「ねえ、空ってなんなの?」
「エーテルというか宇宙そのものというか、ちょっとここでは使えないわ」
「えっお今、もしかして地水火風空全部使えるの?」
「まあ、そうね。器用貧乏ってやつかしら」
・・まじか!・・
「5大属性すべて使える人なんて聞いたことありません!」桜も驚いている。
「その確率は無量大数分の一と言われています。」菫も続ける。
そんなすごいの?
もしかしてこれ、ウルティメットレア★5ってやつ?
「お今、お前どんだけ課金したの?」
「お金なんて使ってないわよ。生まれつきよ」
「まじか、あとそうそう、お今、私の仲間になれよ」
「えっ、何、今更?もうなってんじゃん」
期せずして私は五大属性全部もったウルティメットレア★5をゲットしていたのであった。




