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君の瞳の呼ぶ声がする  作者: 椎名呼瑠
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声のする方へ

みなさんは何もかもを捨てて、自分の気持ちに正直になれますか?

電車には人が溢れ、スクランブル交差点では肩がぶつかっても振り返りもしません。私たちの恋愛も、そんなスクランブル交差点でぶつかった肩のように、世界の中ではほんの些細なことでしょう。そんな些細なことに全てを投げ出して、全力で向き合った時、それは大きな物語になります。



『繊細なまつ毛に縁取られた緑がかった灰色の瞳が揺て_____。。。』



「まーき!真紀ー?ご飯できてるよ?下降りてきなさーい!」


ぱたんと読んでいた本を閉じた真紀は、ちらりと机上時計に目をやった。


「7時か。。。」


高3になり、部活を引退した真紀へと勉強がしやすいように父が買ってきたシンプルな白い置き時計は、ちょうど7時を指していた。その後ろに立て掛けられたパンフレットに目がいく。


「予備校ねえー」


半ば投げやりな声を口から発しながら、パンフレットを手に取る。


『第一志望を掴みとれ!夏期講習受付中!』黒く縁取られた文字が視界に入り込んでくる。


友達も予備校に入るようになり、母が真紀も考えたほうがいいのではないかと心配し持ってきたものだ。

パンフレットを引き出しにしまい、パタパタと階段を下りていく。


長い髪は少し茶色がかって、眉下で切りそろえられた前髪は軽く巻いている。みんなと違わないように、浮かないようにとしているこの髪型は、高校に入ってからずっとそのままだ。色白の顔の、良い位置につけられた大きな瞳はうるうると潤い、一瞬の曇りもなかった。


「真紀、予備校のこと、考えたの?南ちゃんも春から入ったんだってよ?」


「うん」

柔らかいハンバーグの真ん中を箸で割ると、肉汁がじゅわっと溢れてきた。


「考えてるよ。美沙と一緒に来週の日曜日に説明会行ってくる。」



「あら、そうなの!?よかった〜」

止まっていた箸を進めながら、母は安堵したような表情を見せた。



美沙と真紀は中学のころからの親友で、2人は昔からどこに行くにも一緒だった。真紀より少し頭が良い美沙は、真紀に密かに憧れる女の子のうちの1人だった。

真紀はあまり自分に自信がなく、男子と自ら進んで関わろうとする性格ではなかった。そんな思いに反して、真紀に恋心を抱く男子は多く、女子に反感を買うこともしばしばだった。


美沙は、そんな真紀の唯一の理解者であった。


夕食を終え、部屋に戻った真紀はスマホを手にベッドに寝転がった。白で統一された部屋は、真紀がありのままで安らげる唯一の空間だった。


『LINE一件』


開くと美沙だった。



『真紀ー!明後日の説明会なんたけどさ、私ちょっと遅れるかも!ごめん(>人<;)なんか部活に顔出してアドバイスしてくれって言われちゃってさー。。。』


「まじかー。。。」

ごろんと寝返りをうつと、手早く返事を打った。


『おっけー!おっけー!私が代わりに聞いとくよ!』


そのままスマホを閉じて立ち上がると、机に座った。



勉強はそれなりに頑張ってきた。学校ではそれなりに

上位をキープし、部活終わりは毎日図書館に行って勉強していた。そんな甲斐もあってか偏差値はそれなりに伸び、志望校も決まった。しかし部活を引退した今、真紀は中々偏差値が伸び悩み焦っていた。


本を端に避け、英語の単語帳を広げた。












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