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Ein Band der Rache -another story-  作者: 雨音ナギ
Episode 2 アレンの過去
8/15

Episode 2-2

翌日。

空は晴天に恵まれ、絶好の射撃日和となり、フュリー達三人は歩いて数十分ぐらいの場所にあるヴラーダ射撃場へと足を運んだ。

この射撃場はここ一番の大きな射撃場と言われており、また休日と重なったことから早朝にも関わらずたくさんの人数で賑わっていた。

フュリーとニコライは気にすることなく人の輪の中へ入っていくが、アレンはその場に立ち止まってしまった。

数年引きこもっていたアレンにとってはあまりの人の多さに足が竦んでしまってしまったらしい。

それに気がついたフュリーは彼の方を向いて尋ねた。


「アレン?どうしたんだい?」


「いや……ちょっと人ごみが怖くて……。ほら、ここ数年家からほとんど出てなかったし……」


アレンは少し怖いのか下を俯いている。

その様子をみたフュリーは彼の手を優しく取り、ゆっくりと歩いていく。


「あっ……」


突然の出来事にアレンは驚いた様子で目を白黒とさせた。

その様子を見たフュリーは小さい子どもに語りかけるように優しく言葉を紡ぎだす。


「大丈夫。私がついてる。アレンは何も怖がる必要はないよ。ほら、行こう」


その言葉に安心感を持ったのかアレンは差し出された手を取り、フュリー達の後をついていく。

彼はさっきの言葉に安心したのかさっきのように目を白黒させないようになったようだ。

一方、ニコライは受付で三人分の一日分フリーチケットを買い、一番奥の射撃スペースへと向かった。

さっき彼が人ごみの中が苦手と言っていたのを考慮してこの場所を選んだのだろう。


ニコライは自分の愛銃を取り出し早速準備を始めた。

フュリーも自分用の銃とアレン用の銃を取り出して組立てた後、アレンに銃を渡した。

アレンの銃はフュリー達の銃より若干小さめで持ちやすいように改良してある。


「いいか、良く見てろ?」


まずは手本を見せようとフュリーは遠くにある赤い的に向かって銃を構える。

息を整えて引き金を引くと見事、赤い的は粉々に打ち砕かれていた。


(す、凄い……)


アレンは内心驚きを隠せずにいた。

それに加えてあの銃を撃つときの凛とした眼差し……。

吸い込まれるような綺麗な目。

とても神秘的で直ぐにでもやってみたいとアレンは内心うずうずしていた。

興味を持ったアレンの表情を見てフュリーは嬉しそうな表情を浮かべている。


「どうだアレン?やってみるか?」


アレンは軽く頷くと、銃を差し出し、各部の名称から持ち方・使い方まで、フュリーにすべて教えてもらっていた。

ニコライは、時折そんな様子を微笑ましそうに見ながら遠くにある自分の的を確実に撃っていく。


「よし、基本的な知識はこのぐらいだ。まずは撃ってみよう。

肩の力を抜いて。的にだけに集中するんだ。……銃の反動は結構きついからな。ちゃんと持ってないとひっくり返るぞ。

狙いが定まったらゆっくりと引き金を引く。急いで引いたら的がずれるからな。そうだ……。」


アレンは言われた通りの指示で銃を持ち狙いを定める。

そして心を落ち着かせながら引き金を引いた。

銃声音が鳴り響き、突然の反動に驚いて躓きそうになるが持ちこたえて、遠くにある的を見た。

自分が初めて撃った弾は、赤い的に当たらずともその近くを貫通していた。


「おお、最初にしては中々上手いじゃないか。普通は近くにすら寄せれるもんじゃないぞ」


その褒め言葉が嬉しくて、アレンは弾を詰め替えて何度も的を狙って撃っていた。

最初より反動も落ち着いてきたのだろうか、正確性も増してきており、

10発中8発ぐらい赤い的に当てれるようになった。

さすがにこれは予想としてなかったのかフュリーは驚いた様子を浮かべている。

ニコライも彼と同様、隠れた才能に気がついたようだ。


「まさかこの短時間で此処まで上達するとは思わなかった……」


「彼なら立派な猟師になれそうだな。本当、初見で此処まで命中率がいいといずれ上達して猪でも熊でも仕留めて家に持ち帰るんじゃないか?」


そう二人は笑いあいながらアレンの銃の手さばきを見ていた。


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