Episode 1-3
「ちょっと!何するんですか!」
「馬鹿っ!そこは登録した奴じゃないと入れないんだよ!
部外者が入ったら感電死するぞ?」
「えっ?」
止められた手を離そうと思っていたウィルは驚いて後ろを振り返ると、黒髪で真紅の瞳を持った青年がウィルの手を掴んだままこちらを見て立っている。
彼が着ている服は死神のような漆黒の色に包まれておりウィルは一瞬で彼が何処の者かは直ぐに判断がついた。
「貴方、ソルドの方ですか?」
「ああ。というかお前もじゃあ……?」
「はい。今日からこっちに転勤してきて手続き等をしようと思って……」
彼がそう言うと黒髪の青年は何かを思い出したようにポンッと手を打って彼を見据えた。
「あー、あれか。そういえばあいつが一人こっちに転勤で来る奴がいるからなって言ってたな。なんだ、お前のことだったのか」
青年はふんふんと頷き一人で何かぶつぶつ言っているようだった。
悪気はないのは分かっている。
だが、ウィルからしてみれば、彼の口調はとても不愉快に感じていた。
その時にウィルが青年はムスッとした表情を浮かべているのに気が付き、どうかしたのか?と聞き返したが、
「何でも無いですよ」
と彼は素っ気無く言うだけであった。
どうやらこれ以上言っても仕方がないと判断したのか、黒髪の青年はそれ以上何も言わず
門の扉に手をかざし、そう言うことなら本部に案内するから、と言い、彼の手を取って共にソルド本部へと入っていったのだった。