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 ~ 聖女の恋忘れ ~

作者: どんC

 エレナは小さな瓶を手に取った。

 窓から柔らかな風が吹きカーテンを揺らす。

 猟師小屋のロフトは狭く、小さな机とベッドとクローゼットが置かれているだけだ。

 小さな古ぼけた椅子に腰かけて、さっきから小さな瓶を手のひらで転がしている。

 いつもは粗末な服が入っているクローゼットの中は空っぽで。

 安っぽいワンピースは、古ぼけた小さなカバンに入っている。

 カバンの中にはわずかばかりのお金と身の回りの品と数着の服だけ。

 それがエレナの全財産だ。

 母やエレナの高価なドレスは食費代や母の薬代に化けた。

 アクセサリーもごくわずかながらあったが。メイドのアリーザの退職金になった。

 彼女は死んだ母と自分に良く仕えてくれた。

 ガランとした部屋。

 とても伯爵令嬢の部屋には見えない。

 しかし彼女はれっきとした伯爵令嬢でエレナ・オズボーンと言う。

 彼女が今手にしているのは、下町の薬屋で手に入れた高価な薬だ。

 金貨5枚もした。(日本円にすると50万ほどだ)

 お陰で館を出る為に貯めたへそくりが随分減ってしまった。

 私とボニト様の婚約は解消された。

 修道院に入れられるのか?

 祖父程の年の離れたエロ爺の所に嫁に行かされるのか?

 下手をしたら娼館に放り込まれるかもしれない。

 どちらにしろまっぴらだった。

 もうあいつら(・・・・)に振り回されるのは……


 義理の妹(赤の他人)がボニト様に恋をしたのだ。


 母が生きているうちにその親子は館に乗り込んできた。

 愛人とその娘は我が物顔で母親とエレナを離れの猟師小屋に追い出した。

 離れと言っても随分遠い。馬で1時間走った所にある。

 父は事業に失敗して多額の借金を負った。

 それを肩代わりしたのが高級娼婦のプリメラ・クラセだった。

 プリメラには金があった。

 散々男達に貢がせた金が。

 しかし所詮は高級娼婦だ。

 金はあっても地位が無い。日陰の女だ。

 母の家族は皆亡くなり、他に身寄りがない。

 父も似たようなものだ。

 そんな没落貴族にプリメラは目を付けた。

 母は泣く泣く父と別れて館からかなり離れた猟師小屋に住んだ。

 使用人は母の乳母だけだ。

 乳母のアリーザは娘が一人いるが辺境の村で夫と暮らしている。

 近々赤子が産まれる予定だ。

 私達は肩を寄せ合うように慎ましく暮らしていた。

 幸い猟師小屋の近くに大きな森があり薬草が豊富に生えている。

 エレナは祖父から誕生日のお祝いに貰った薬草の本を片手に、薬草を採取して町の薬屋に売って何とか日々を送ってきた。

 エレナの手も髪も荒れたが、仕方のない事だ。

 庭を耕しジャガイモや玉ねぎを植える。

 アリーザの両親が百姓だったので育て方を教えてもらった。


 プリメラの娘のクエンタはわがままで。

 母親と同じ金の髪に緑の瞳の美しい少女だった。

 王族の血を引いているとか、高位貴族の血を引いて居ていると噂されていた。

 確かに貴族の血が入っていると言われればそう見える。

 腹の中は王族並みに真っ黒だからなおさらだ。

 男達はクエンタの虜になった。

 婚約者がいようが、妻がいようがおかまいなしに高価な贈り物を強請った。


 そしてクエンタはエレナの婚約者に目を付けた。


 ボニト様が来る時だけエレナは館に呼ばれ侍女に見苦しくない程度に着飾らされた。

 だから……

 ボニト様は気づいてないのだろう。

 両親が別れた事は知っている様だが。

 エレナも普段猟師小屋で暮らしていることを知らないのだろう。

 ボニト様は侯爵家の次男で我が家に婿入りの予定だった。

 私はボニト様に恥をかかせないように淑女教育に打ち込んだ。

 あまり頭の良い方ではないエレナは頑張ったのだが。

 母からも父からも婚約者からも婚約者の両親からも誉められたことはなかった。

 何でもボニト様の前の婚約者は何でもできる方だったが。

 残念なことに事故で亡くなられたそうだ。

 亡くなられた婚約者とボニト様はとても仲が良くて。

 似合いの二人だと皆が噂していた。

 亡くなられた婚約者とクエンタは外見がそっくりだったと後で知る。

 客室でクエンタを紹介したとき二人が恋に落ちるのを見た。

 二人はそのまま咲き誇る薔薇の庭に出て口付けを交わした。


 エレナの目の前で。


 まるでエレナの事など、存在しないようだった。

 使用人までエレナの事を疎み始めた。

 気が付けば昔からいた使用人は首にされ、新しく入ってきた者達だらけになって居た。

 ボニト様が訪ねてきてもエレナには知らせが来ないことが多くなり。

 ボニト様とクエンタは誰憚ることなく、公園で散歩してたり。

 毎夜開かれる舞踏会で二人は仲睦まじく踊る。


 姉妹の婚約が入れ替わるのは珍しくない。


 人々は噂した。地味で根暗な姉よりも明るい妖精の様な娘を選んだのは当たり前だと。

 ボニト様からクエンタに次々と贈り物が積み上げられていった。

 エレナには婚約者から花もドレスもアクセサリーも手紙も贈られる事はなかった。

 婚約者のボニトは昔からエレナに関心が無かった。

 銀の髪で灰蒼の瞳の彼は昔から【銀の貴公子】と呼ばれ令嬢たちに人気があった。


 一方エレナは雑草姫と呼ばれていた。


 派手な薔薇の花よりも地味な野の花が好きだったからだ。

 ボニトは一度もエレナに微笑んだことが無かった。

 だからエレナは彼の前でいつも萎縮してオドオドとしていた。


【恋忘れ】


 それが薬屋の老婆が言った薬の名だ。

 猟師小屋にはいまはエレナしか住んでいない。

 アリーザ(乳母)は娘の出産で辺境の村に居る。

 そのまま娘夫婦と暮らすことになった。


 猟師小屋は森に近いから薬草が取れる。

 母が病で倒れた時、町の薬師のおばばに尋ねたのだ。

 おばばは薬のレシピ代のかわりに薬草をおろす事を約束させた。

 母は心臓の病があったが、おばばの薬のお陰であまり苦しまずに逝けた。



 母は儚く身罷った。


 その日は朝から小雪がちらつき。

 神父と乳母とエレナだけの寂しい葬儀だった。

 母の亡骸はオズボーン家の霊廟に収められた。

 図らずもその日はボニトとクエンタの婚約披露パーティだった。

 多くの人が招かれ華やかなパーティだったと。

 自称友人と名のる人達から手紙が来て知った。

 その人達から茶会にすら招かれたことが無い。

 乾いた笑いしかエレナには浮かばなかった。


 母は黄色いバラが好きだった。

 黄色い薔薇の花言葉は【嫉妬】

 母らしいと言えば母らしい花だ。

 冬の季節、薔薇は手に入らないのでドライフラワーにした三本の薔薇を母の棺に入れた。

 三本の薔薇の花言葉は『愛しています』だったが。

 黄色いバラでも同じ意味に成るのだろうか?


 三日前に母の葬儀は終わり。

 その次の日に乳母は娘のいる辺境に旅立った。


「心配しないで、私は大丈夫よ」


 エレナは乳母を笑顔で送り出した。

 だからもうこの家にはエレナしかいない。

 ひっそりと静まり返った猟師小屋。

 いつもなら乳母の焼いたクッキーの匂いが漂って来るお茶の時間だ。


「エレナ‼ 居るのか‼」


 乱暴にドアが開けられた。

 エレナはため息をついて玄関に下りて行った。

 玄関には美しい男が立っていた。

 若い娘なら頬を染めて彼を見つめるだろう。

 少し息が荒い。銀の髪が乱れている。

 館からここまで馬を走らせてきたのだろう。

 エレナは久しぶりに見る元婚約者を見た。

 何か月ぶりだろう。

 相変わらず男らしく若々しい。高価な服は彼の身分の高さを表している。

 それに引き換え自分の姿の無様さに嗤える。

 母の喪が明けていないとは言え黒い喪服は袖の所が擦り切れ、所々綻びている。

 黒い靴はよく見ると泥が付いてシミになっている。

 化粉気の無い青い顔。目の下にはクマが出来ている。

 母の事を思い泣いていたので目が赤い。

 おまけに髪はバサバサだ。

 とても婚約者の前に晒す姿ではない。

 尤も元婚約者だが。


「ボニト様お久しぶりです。一ヶ月前に婚約が解消されましたが。手続きに何か不備がございましたか?」


 疲れた声でボニトに尋ねる。


「貴様!! 惚けるのもいい加減にしろ‼」


「あの……何のことでしょう?」


 エレナには彼の怒りが理解出来ない。

 怒りたいのはこっちである。

 母の死を悼んでいるのにズカズカと怒鳴り込んできて、普通なら前触れを出すのが常識だ。

 何時からだろう? 

 彼から貴族としての常識が欠落し始めたのは……

 少なくともクエンタに会う前はもう少しまともだった筈だ。


「この魔女め‼ まだ惚けるのか‼ お前がクエンタを害するために町の薬屋に通って毒を手に入れたことは分かっているのだぞ‼」


「私は心臓の悪い母の薬を手に入れる為に、薬師の所に通っていたのです」


 疲れた声でエレナは答える。

 昔から母は心臓が悪かった。彼はそんなことも覚えていないらしい。

 いい加減イライラしてきた。


「ではその手に持っている物は何だ‼ お前の母は亡くなった‼ もう薬は必要ではないだろう‼」


「これは……」


 エレナは自分がさっきから手にしていた薬を見る。

 彼は私の母が亡くなったことを知っている。

 葬儀の花束もお悔やみの手紙も送られては来なかった。

 彼はてっきり知らないと思っていた。

 父やあの女共が母の死を知らせなかったのだと。

 心が凍りつく。

 この男に抱いていた恋心は完全に砕け散った。

 この薬はもう必要ないとハッキリしたが。


「これはただの栄養剤ですわ」


 エレナはそう言って瓶のふたを開け彼の前で薬を煽った。


「ほら。毒薬だと思われたのかしら? 母の葬儀の後、少し体調を崩してしまって町の薬師から買い求めた物ですわ」


 エレナは空になった瓶をテーブルの上に置き妖艶に微笑む。

 栄養剤と聞いたせいか彼女の青ざめた顔に艶が戻ったように見える。

 今まで彼女はこんな顔で微笑んだことはなかった。

 何時もおどおどとして彼の顔色をうかがっていた。

 いつもその眼にイライラさせらせた。

 元婚約者は驚いて目を見張る。

 彼の事を忘れる為に買った薬。

 とても高かった薬は値段だけはあったようだ。

 彼に対する恋心は彼女の中のどこを探しても見当たらなかった。

 元婚約者をゴキブリを見るような目で見ていることにエレナは気が付いた。


「あの娘が私が毒を盛ると言ったのかしら?」


 何時もドキドキしながら彼の顔を見ていた。

 本当に綺麗な顔だった。

 何時も彼の前ではどもっておろおろとしていた。

 嫌われないように捨てられないように必死で無様に縋ってきた。

 何故彼に縋りついていたのだろう?

 父が言ったのだ。

 彼のお屋敷に連れていかれて婚約した時だ。

 流石に婚約には父も母と一緒にいた。

 高位貴族の彼と結婚出来てお前は幸せだなと。

 幼かった私は父に嫌われたくなくて。

 その言葉を受け入れた。

 私は幸せなのだと。

 父に認められたのだと。


 阿呆らしい。


 何故この男が好きだったのだろう?

 何故父が好きだったのだろう?

 顔以外腐った性根しかない男達だ。

 婚約者がいるのに他の女に心変わりした男。

 しかも尻拭いを母親にやらせた。

 エレナに婚約解消を告げたのは彼の母親だった。

 きつい人だった。それは彼にふさわしい妻になる為に必要であった。

 そう思っていた。

 彼の父親は外交で海の向こうの国にいる。

 愛人も何人もいた。

 その為、彼の母は何時も不機嫌だった。

 若い女に対する単なる八つ当たりだったんだと。

 今ならわかる。

 何時この男が私に優しい思いやりを示した事があったか?

 いつ優しい言葉をかけてくれたことがあったか?

 彼の母親からのきつい言葉から守ってくれた事があったか?

 馬車から降りるとき手を貸してくれたことがあったか?

 私の母が亡くなったと知りながら慰めもしない。


 手紙は侍従が書いていた。

 一方的に訪問を知らせるだけの手紙。

 月に一度の訪問は親同士で決められていた事だった。

 いやいややって来るボニト。

 会話も無く30分ほどで帰る。帰りに他の令嬢の所に遊びに行く彼。


 元婚約者はこちらの様子を尋ねた事などない。

 だからエレナは彼の筆跡を知らない。

 私は侍従に必死で彼の好きな物や嫌いな物を尋ねて記憶した。

 侍従はエレナの好きな花や本や食べ物の事など一度たりとも聞いた事が無かった。


 無関心。


 主の態度そのままの態度だったのだ。

 そう言えばあの侍従は家の前で乗ってきた馬二頭を木に繋いで玄関で中の様子を無関心に見ている。

 エレナが殴られても止めはしないだろう。


 あの男から聞いた事が役に立つことはなかったな……

 彼が好きだと言う紅茶を出した。

 彼が読みたがっていたと言う本を贈った。


 無反応。


 わざと噓を教えたのか? 

 主に対しても関心が無かったのか?

 今ではどうでもいい事だ。


「あの娘……お前の妹だ‼」


「全く彼女とは血はつながっておりません。私には妹はおりません。母もこの間亡くなりました。父は母の葬儀にも出なかった。だから父も婚約者も姉妹も私にはおりませんわ」


 エレナは冷たい微笑を元婚約者に向けた。

 ボニトはゾッとした。

 これまでこれほど冷たい微笑を彼女に向けられたことが無かったからだ。

 まるで親の仇のような視線だ。


「喪服を着ているのか?」


 ようやくボニトは彼女が着ている喪服に気が付いた。

 言い訳を言わせてもらえばエレナはいつも地味な服を着ていた。

 侯爵家の婚約者が派手なドレスを纏うのは下品だとボニトの母の口癖だったから。

 ある意味嫌がらせだったのだろう。

 ボニトの母親はエレナより明るい色のドレスを着ていた。

 若作りな女だった。実家から連れてきた乳母にお嬢様と呼ばせていた。

 何かと母とエレナを馬鹿にして。

 口にこそ出さなかったがエレナはボニトの母も嫌いだった。


「ええ。母が三日前に亡くなりました。そうそう三日前にそれは派手な婚約披露宴をなさったとか。ご婚約おめでとうございます。生憎私には招待の手紙も頂いておりませんでしたので。出席はしませんでしたわ。母の葬儀もございましたし。母の葬儀は牧師と私と乳母とで滞りなく行われましたわ」


 花の一つも、お悔やみの手紙も送らなかったボニトや父に対する当てこすりだ。

 どうでもいい事だった。

 あの女から花でも届いたら即座に暖炉の火の中に投げ込んだだろう。

 今はあの親子にも元婚約者どころか父にも関心が無かった。

 そう言えば父は城勤めでほとんど家に帰る事はなかった。

 母は夕方になると二階の窓から父が帰ってこないかと、門を毎日眺めていた。

 猟師小屋に追いやられても母は夕方になると外に出て町に通じる道を見つめていた。

 その瞳に父が映る事はなかった。


 哀れな女。


「エレナ薬草はもう馬車に積んでいるのかい?」


 一人の男がドアを開けてエレナに笑いかけた。

 やけに馴れ馴れしいとボニトは思った。

 婚約を解消したとは言え、彼女とは将来義理の兄妹となる。

 その男は黒い髪で温かな琥珀の瞳。日に焼けた肌が労働者という身分を表している。

 身なりからしたら平民なのだろう。

 ここは自分が厳しく口の利き方を教えなければならぬだろう。

 ボニトが口を開くよりも先にエレナは、はきはきと答えた。


「ええ。今月納める薬草は馬車に積んでいるわ。悪いのだけどボニト様これから私は町の薬師に薬草を納めに行かなければならないのです。もうお話が無いのならこれで失礼させてもらいますわ」


 エレナはボニトを追い出した。

 ボニトはエレナにこの様な仕打ちを受けたことに呆然としていた。

 伯爵令嬢なら客に茶の一杯でも振舞うのが普通だった。

 そう言えばいつもそばにいる乳母が居ない事に気が付いた。

 乳母どころか使用人を誰一人見ていない。

 ただボニトはクエンタや彼女の父親に娘が拗ねて猟師小屋に引きこもっているとしか聞いていない。

 クエンタは自分を殺すためにエレナが怪しげな薬を作っていると吹き込んでいた。

 そんなボニトを無視して若い男は老いぼれた馬車の馬を撫でると家の前まで馬車を移動させた。

 エレナは小さなカバンを持ってくると猟師小屋の鍵をかけた。


「ボニト様もうお会いすることも無いでしょうが。お元気でお過ごしください」


 エレナは吹っ切れた笑みを向けるとひらりと馬車に飛び乗った。

 伯爵令嬢らしからぬ行為だ。

 ボニトの母なら眉をひそめて小言を山のように言っただろう。

 彼女の微笑は美しかった。全ての重りから解放された笑みだった。

 ボニトとボニトの侍従はあまりの美しさに思わず見とれてしまった。

 若い男が老いた馬に声をかけ馬車はゆっくりと動き出す。

 エレナがおかしなことを言ったとボニトは気が付いた。


【もうお会いすることは無いでしょうが】


 おかしなことを言う。

 これからもあの館を訪ねるし、クエンタと結婚すれば館に住むことになる。

 結婚式には流石に姉として出席するだろう。

 2人がエレナの言った意味を知るには大した時間はかからなかった。





「あの薬……飲んだのかい?」


 暫く森の中を馬車を走らせながら、若い男はエレナの顔を見ずに尋ねた。

 ちらりと置き去りにした呆けた顔の男達がいた方を見る。


「ええ……高い薬だったけど……飲まなかった方がよかった」


「薬……効かなかったのか?」


 真実の愛の場合。薬は効かない。

 エレナは彼を本当に愛していたのだろうか?

 男の瞳に不安の影がよぎる。


「いいえ。良く効いたわ。でも……」


「でも?」


「薬を飲む前に彼に愛想をつかしてしまったのよ」


「それは……」


「損した気分よ。あの薬は金貨5枚もしたのに。毒薬だろうって言うから。ムカついて飲んでしまったわ。他の子に売ってあげたほうが良かったわ。生活費の足しになったのに」


 エレナは笑う。


「それよりも薬屋に行く前に市役所に寄ってくれる?」


「良いのか? 伯爵家を捨てることになる」


「捨てるも何も……父の借金で領地のほとんどを失って。今あるのはあの館と猟師小屋と森ぐらい」


 エレナは暗い笑みを浮かべた。


「それもあの娼婦が我が物顔で住んでいるのは業腹だわ」


「上手く考えたね」


 若者はのんびりと答えた。


「そうね。皆でグルになっていかさま賭博で父に膨大な借金を作らせて、借金を立て替える代わりにあの娼婦親子が姉妹と偽り父の養子に収まる。姉妹ですって‼ 初めて聞いた時お腹の皮か捻じれそうになったわ。厚顔無恥ってあの女の事を言うのね」


(あの親子は世間では年の離れた姉妹だと言っている。信じている者は少ないが、しかもプリメラはかなり年を誤魔化している)


「代々オズボーン家は女が一人しか生まれない為、婿養子を迎えてきて、娘が成人したらオズボーン伯爵家を継いだ。母には離婚したと言っていたけど。父と母は離婚していない。書類の上ではまだ夫婦で、あの娼婦親子は私の姉と妹になって居るわ。本当に虫唾が走る‼」


 馬車は市役所の前に止まる。

 市役所の役人には前々から話は付けて在り、後は彼女がサインすれば良いだけだ。

 ひらりとエレナは馬車から飛び降りる。


「先に薬屋に行って薬草を納めてきて。私は手続きをしてくるわ」


 18歳になるとこの国では成人と認められる。

 今日エレナは成人となった。


「今日から私はただのエレナになるのよ」


 エレナは笑い足取りも軽く市役所の中に入って行った。




 **** **** **** **** ****



「どういう事なの‼」


 プリメラは吠えた。

 豪華な応接室は彼女の趣味でけばけばしい。

 30代のプリメラのドレスは少々胸が開き過ぎているが、役所の男は鼻の下が伸びることはなかった。

 けばけばしいテーブルに書類が広げられている。

 役所から来た男は澄ましてさっき言った言葉を繰り返した。


「エレナ・オズボーン嬢が貴族の地位を陛下に返上いたしました。これによりオズボーン家は貴族ではなくなり、この館も猟師小屋も森も陛下に返還されることになったのです。もちろんデボシオン・オズボーン殿もプリメラ・オズボーン令嬢もクエンタ・オズボーン令嬢も今後オズボーンを名乗る事は許されません」


「そんな……馬鹿な……オズボーン家の家長は私だ‼」


「デボシオン殿何か勘違いをなされているようですね」


「勘違い?」


「貴方はエレナ殿が成人するまでの仮初の家長でしかないのです。オマケに賭けに狂い莫大な借金をしました。本来ならオズボーン家から追い出されるのが普通ですが、奥方は貴方の事を愛しておられた。でもその奥方も亡くなり。エレナ殿は無能が人の上に立つべきでは無いとオズボーン家を陛下に返上する事にされたのです。今後この館は陛下が管理する事になりましたので一ヶ月以内に退去願います」


「こんな‼ こんな‼ 横暴なことが許されるわけがないわ‼」


「横暴な事ですか?」


 役所から来た男は眼鏡をくいっと上げると冷たい目で三人を見た。

 彼の弟はプリメラに入れあげて家の金や亡くなった母親の形見を彼女に貢いで、捨てられた。

 弟の亡骸が川で浮いていたのは三ヶ月前の事だ。

 事故か自殺か口封じに殺されたのか。

 デボシオンを賭博に誘ったのは彼の弟だった。


「本来の主である心臓の悪いロティシャ様とエレナ様を追い出してオズボーン家を乗っ取ろうとしたことですか? エレナ様の婚約者を寝取った事ですか? 全く血の繋がりの無いクエンタ嬢をオズボーン家の跡取りにしようとした事ですか? オズボーン家の初代聖女様は女の子を一人お産みになられました。魔王との戦いは激しく生きて帰ってきたのは聖女ダリア様と魔女ノエル様だけでした。聖女のお産みになったお子様は亡くなられた王太子アルケンアス様のお子様だったのか? 聖騎士デルアス様のお子だったのか? それとも魔導士デモノス様のお子だったのか。聖女様も魔女も何も語らなかったけれど。聖女様と魔女には爵位が与えられたのです。それがオズボーン家です。不思議なことにオズボーン家は女子が一人しか生まれません。魔王の呪いなのか。聖なる血筋を広めない神の介入のせいなのか。貴族ならみんな知っている話です」


「陛下の温情です。無駄に騒げば牢屋に入ることになりますよ。特にプリメラさん貴方2・3件の殺人容疑がありますが……」


 プリメラは黙った。

 あの事だろうか? デボシオンを罠にかけた時、若い男も引き入れた。

 彼も借金まみれにして。でもあれは自殺なはず。

 それとも、彼女の頭の中に複数の男の顔が浮かぶ。

 私が殺した訳じゃないわ。皆借金で自殺しただけ。


「お姉様……」


 クエンタがプリメラに駆け寄ろうとした時メイドが来客を告げた。

 男は激しくドアを開けた。

 とても貴族の御子息とは思えない振る舞いだ。


「一体どういう事だ‼」


 クエンタの婚約者は声を荒げた。


「どうもこうもオズボーン伯爵家は無くなったのです」


 市役所の男は事実を告げた。


「私はオズボーン家に婿養子として入ることになっていた」


「それはエレナ様とご結婚された場合です」


 役所の男は呆れた顔でボニトを見た。

 こいつ頭大丈夫か?

 そう言えばオズボーン家を継ぐから騎士団を辞めたのだったな。

 つまり彼は今無職だ。


「私はクエンタと結婚する」


「クエンタ様はデボシオンさんの養女です。エレナ様がオズボーン家を潰された今、デボシオンさんは平民です。よってプリメラさんもクエンタさんも平民です。因みに侯爵家を継げない貴方も平民ですね」


「エレナは‼ エレナは何処に居るんだ‼ エレナと再び婚約すればいい」


 呆れた発言が彼の口から出てきた。

 彼は幼少の頃からエレナが彼を好きだと知っていた。

 だからぞんざいに扱っても許されると思っていた。


「そうよあの女にオズボーン家を潰す事を取り消させなければ‼」


 この家に入り込むためにどれだけの金を使ったと思っているのだ。

 プリメラは怒りで鬼のような形相だ。

 博打で借金を作らせる為に貴族を金や体を使って操り。

 時間と金がかかっているのだ。

 やっとこの家に入り込み贅沢が出来ると思っていたら。

 思ったほどオズボーン家には金が無かった。

 ドレスに宝石に靴に帽子にまだまだ元が取れていない。

 高位貴族の茶会や夜会にも招かれず。

 怪しげなパーティの申し込みしか来ない。


「書類は正式な物として受領されています。取り消しはできないでしょう。第一にあなた方はエレナ嬢が何処にいるのか知っているのですか?」


 皆沈黙した。


「そうだ‼ 薬屋に薬草を納めると言っていた。薬屋に聞けばいい」


 ボニトはあの日エレナが薬草を納めるために都に向かったことを思い出した。


「伯爵令嬢が薬草を薬屋に収めていたのですか? エレナ殿は偽名を使われていたのかも知れませんね。伯爵令嬢が働くなど、伯爵家の恥ですからね。それにその薬屋の名前をご存知ですか? この王都にどれだけの薬屋があると思っているんですか?」


「お前は……お前は知らないのか?」


 ボニトは横柄な態度で市役所の役人に尋ねる。


「生憎と書類の手続きをしたのは別の者でして、私はただここに退去命令を告げに来ただけです」


 男はしれっと嘘を告げる。

 男は最初から知っていた。

 弟の死を切っ掛けにプリメラやオズボーン家の事を調べていたのだ。

 そして彼らの絶望を見るために何食わぬ顔でここにやって来た。


「あんたがあの子を閉じ込めていなかったからいけないのよ‼」


「猟師小屋に二人を追い出せと言ったのはお前だぞ‼」


「私ただの平民と結婚するなんて嫌だわ‼」


「お前だって平民だ‼ しかも私生児で父親が誰だか分からない‼ こんなことならエレナと結婚しておけばよかった‼ お前のせいで両親や兄弟に縁を切られたのだぞ‼」


 4人が言い争いを始めたが。

 市役所の男はもう一度、一ヶ月後に館から退去することを確認させると館を後にした。

 男がニンマリ笑っていたことを4人は知らない。



 ***   ***   ***



「それにしたってあの薬は無いわ~~~」


 エレナはおばば様に愚痴る。

 優雅に紅茶を飲むおばば様は本来の姿に戻っている。

 黒髪の妖艶な女の姿だ。瞳は年老いた猫を思わせる金色の瞳だ。

 おばば様の正体は200年前の魔王退治のパーティメンバーの一人【爆炎の魔女ノエル】なのだ。


「良く効いただろう」


「効きすぎて前世の事まで思い出したわ‼」


 そうエレナの前世は【聖女ダリア】だったのだ。


「本当に最悪だったわ。ボニトって前世は【アルケンアス王太子】じゃん‼ あの女ったらしで旅の途中に売春宿に泊まりまくって人に性病の治療させやがった‼ 下半身男でおまけにあいつの侍従は気取り屋の【聖騎士デルアス】父親は【魔導士デモノス】おまけにクエンタは【神官長】でプリメラは王子狙いに引っ付いてきた【巫女プリメラ】あたし呪われていたのね‼ 」


「酷いパーティだったね~~~~」


 ノエルは過去を思い出して遠い目をした。

 何が酷いって【アルケンアス王太子】【聖騎士デルアス】【魔導士デモノス】【巫女プリメラ】兎に角この4人は使えなかったのだ。

 まさか旅の半分で4人が死ぬとは思わなかった。

 困った魔女ノエルは4人をゾンビにして肉盾にした。

 彼らはゾンビになった方が問題を起こさず役に立った。

 手足がとれても縫い付けるだけで済んで、ダリアの力を温存できた。

 この旅にはダリアの幼馴染みの【薬師のイワン】が荷物持ちとして同行していた。

 彼は【錬金術師】のスキルがあったため凄く役に立った。

【体力回復薬SSS】【魔力回復薬SSS】【魔石刻印SSS】に爆炎の魔法陣を刻みそのおかげでノエルは魔王軍の三分の二を消し炭に出来たし【神聖薬】で荒れた土地を浄化した。

 イワンこそ勇者じゃね? とダリアとノエルは思っていた。

 魔王城での戦いは熾烈で4人の盾ゾンビに爆弾を括り付け魔王城を破壊した。

 名誉の戦死である。尤もとうの昔に死んでいたが(笑)

 伝説では4人は魔王と戦い雄々しく散った事になっている。

 伝説とはいい加減な物である。


「あれ? 私聖女なのにあんまり役に立ってない?」


「それでも魔王軍の三分の一や魔王を浄化して倒したし。イワンの子供を妊娠していたからあまり無理が出来なかったしね~~~」


 イワンはノエルとダリアを王都に送り届けると亡くなった。

 最後に魔王は聖女ダリアに呪いをかけていたのだ。


「お前の最愛の男は死ぬ」と……


 その時イワンは生きていたから呪いは効かなかったと思っていた。

 三日後、ベッドに横たわるイワン。


「今度産まれてきても君にプロポーズするよ」


 イワンの手を取りダリアは言う。


「絶対貴方を見つけるわ」


 ボロボロと涙がこぼれた。


「嬉しいね。ダリアが一番好きなのは俺だったんだから」


「ごめんなさい。ごめんなさい。私のせいよ。私があなたを愛したから……」


「謝るな。愛しているよ」


 イワンは死んだ。

 伝説では彼の事を語られることはなかった。

 王や神官長がわざと彼の存在を消したのだ。

 本当はダリアやノエルも消したかったのだが、返り討ちに遭い。

 半年後に亡くなった。世間的には心労が重なって亡くなったことになっている。





 森の近くの猟師小屋で紅茶を楽しむエレナ。

 いい香りだ。流石都で一番お高い茶葉だ。

 茶菓子はパウンドケーキでこれも都で人気でなかなか手に入らない。

 館と森が売り出されるとおばば様(魔女ノエル)はすぐに買い取ったのだ。


「でも、不思議ね。前世の能力は何故封印されていたのかしら?」


 そうエレナも後の4人も全く前世の力の発現が無かった。

【魔女ノエル】は不老長寿だったから力は持ったままだが。


「あんたは神に呪われていたのか? それとも神に祝福されていたのか?」


 魔女ノエルは魔女らしく意地悪く笑う。

 そして窓の外を見て立ち上がる。


「それじゃ。お邪魔虫は退散するかね~~~」


 ノエルは転移の呪文を唱える。

 魔女はいつも気まぐれにやって来て、気まぐれに帰る。

 トントンとドアをノックする音が聞こえる。


「どうぞ」


 エレナはドアを開けて男を招き入れる。

 ボニトが居る時にエレナを迎えに来た若い男だ。

 おばば様の孫になる。

 男は笑って薔薇の花を差し出した。

 黄色い薔薇。

 エレナも母と同じで黄色いバラが好きだった。

 薔薇の花の数は5本。

 花言葉は『あなたに出会えてよかった』


「やっと会えたね」


「貴方も思い出したの?」


「ばあちゃんに薬を飲まされて、でもこの気持ちはイワンとしての気持ちじゃない。俺は聖女ダリアではなくエレナを愛している」


 ソリスは跪きエレナに求婚する。


「どうかこの後の人生を俺と共に生きてくれないか?」


「私でいいの? 爵位も土地も持参金も何も持っていないのよ」


「エレナがエレナである限り。俺は君を愛し続ける」


 ソリスはエレナの唇にそっとキスをした。

 風が吹きお節介な魔女の笑い声が聞こえたような気がした。







                ~ Fin ~



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 2020/1/30 『小説家になろう』 どんC

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 ~ 登場人物紹介 ~


 ★ エレナ・オズボーン

 聖女の血を引く伯爵令嬢。灰色の髪とアースアイ(茶色に青い瞳)。代々聖女の血を引く者は灰色の髪とアースアイで女の子を一人しか産まない。父親の賭け狂いのせいで没落して今は屋敷(かなりでかく立派)と猟師小屋と森を持っていたが、父が母と離婚をしてプリメラと一緒になったため猟師小屋に追い出される(世間的には体の弱い妻を療養させるために森の近くの別荘に行かせたことにしている。)

 母の心臓の薬のレシピと交換に森で摘んだ薬草を薬師のおばば様に卸している。

『恋忘れ』もおばば様から買った。

 聖女の生まれ変わり。


 ★ ロティシャ・オズボーン

 エレナの母。心臓が弱く。ろくでなしの夫のせいで若死にする。


 ★ デボシオン・オズボーン

 エレナの父親。賭け狂い。そのせいでオズボーン家は没落する。

 プリメラとクエンタを世間的に養女にするが実態は愛人と連れ子である。

 屋敷から追い出された後はプリメラに捨てられて下町の賭博場で喧嘩をして刺され死亡する。


 ★ プリメラ・クラセ(オズボーン家の養女になる)

 高級娼婦。クエンタは15歳の時の子供。どっかの貴族の子供。

 世間には年の離れた妹と言っている。

 大金を使いデボシオンを罠に借金を建て替える代わりに養女になる。

 オズボーン家を足がかりに王族に取り入る予定で、王族が通う学園にクエンタを通わせる。


 ★ クエンタ・クラセ(オズボーン家の養女になる)

 プリメラの娘。母と同じ金髪で青い瞳の美女。

 ボニトに恋をするがエレナがオズボーン家を潰したのでただの平民になった彼を捨てる。

 金持ちの恋人を見つけるがボニトに無理心中されて殺される。


 ★ ボニト・ブルサ

『白銀の貴公子』と呼ばれてご令嬢にちやほやされる。

 エレナの元婚約者。聖女は元平民の村娘だったため母親はエレナを平民上がりと馬鹿にする。

 その影響でエレナを自分にはふさわしくないと思っていた。

 派手な容姿のクエンタに魅かれ。ただの貢君になる。

 侯爵家4男。元騎士団に勤めていたが。オズボーン家に婿養子に入る為真面目な勤務態度では無かった。


 ★ アリーザ

 エレナやロティシャに仕えるメイド(乳母)

 辺境にいる娘が出産する為娘の所に居る。

 退職金をかなり貰っている。


 ★ 薬師のおばば

 その昔。勇者と共に魔王を退治した魔女ノエル。

 不老長寿。都で薬屋をしている。

 普段は婆さんに化けている。

 ソリスは孫と言う事になっている。


 ★ ソリス・ゾワルフ

 伯爵家の四男で町の薬屋を継ぐことになって居る。

 エレナが好き。



 ~ 前世の勇者パーティ ~


 ★ 聖女ダリア

 エレナの前世。パーティのうち4人が使えなかったのでかなり苦労した。

 薬師イワンとは幼馴染で恋人だった。

 魔王の呪いでイワンが死んでしまい。生きる希望を無くすが、子供が出来たことに気づき生きる希望を見出す。後に女の子を一人産む。田舎者でお転婆。


 ★ 魔女ノエル

 不老長寿でイワンが死んで呆然としているダリアに代わり王と交渉(脅して)して伯爵位を手に入れる。王や神官長が暗殺者を向けるが返り討ちにして王弟と共謀して排除する。

 弟の息子を養子にしてゾワルフ伯爵家を継がせる。

 本人は王都で薬屋を営み。ダリア親子を見守ってきた。

 男運が無いのは魔王の呪いと言っている。


 ★ アルケンアス王太子

 王家に伝わるパチモンの聖剣でいい気になっていたが、旅の途中で魔族の中隊に殺される。

 足手まといだったが。魔女ノエルにより改造ゾンビとなり肉盾で役に立った。

 最後は爆弾を括りつけられて魔王城を破壊し玉砕した。


 ★ 聖騎士デルアス

 役立たず。気位が高く。イワンを馬鹿にしていたがイワンの方が役に立つことに気づき、イワンに当たる。旅の途中で死亡。王太子と同じ改造ゾンビで肉盾で爆死。


 ★ 魔導士デモノス

 最初は役に立ったがプリメラに骨抜きになり、ただただダリアを殺そうと画策するようになる。

 彼も改造ゾンビの後爆死する。


 ★ 巫女プリメラ

 聖女ダリアが気に入らない。おまけにイワンには鼻にもかけられず無視されたことに逆恨みして、王太子や聖騎士や魔導師を使いダリアを殺そうとするが、逆に自分が張った罠に落ちて魔族の中隊に殺される。

 その後ノエルにより改造ゾンビとなり人類の平和の為に魔王城を爆破し死亡。

 人を呪えば墓穴四つの女だった。プリメラ・クラセの前世。


 ★ 神官長

 クエンタの前世。親のコネで神官長になった。

 自分の娘の巫女プリメラを勇者パーティにねじり込む。ダリアを亡き者にしてプリメラを王太子と結婚さそうとする。兎に角ダリアとノエルの足を引っ張る事に情熱を傾けるが、結局返り討ちに遭い。呪い返しで死ぬ。


 ★ 薬師イワン

 ダリアと幼馴染で恋人。天才。魔王を倒した陰の功労者。平民だったから王と神官に嫌われ居なかったことにされる。魔王の呪いのせいで死亡。ソリスの前世。


 ★ 王

 出来の悪い王太子を溺愛していた。無能だったので遅かれ早かれ排除されていただろう。

 天才薬師イワンを嫌い存在を消す。





年末から風邪をひいて中々進まなかった作品です。楽しんでいただけたら幸いです。

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