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誰かにとってのプロローグ
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これが〝今の〟私にとってのプロローグ。
どれだけ時間が経とうとも、いつだってその時のことは鮮明に思い出せる。
それは償いようのない罪で、変えることのできない事実で。
だからそれを背負って私は今日も前に進む。一歩を踏み出す。
あの経験が私を強くした。
ーー違う。
目を逸らしてはいけない、なかったことにしてはいけないんだ。
ーーそうじゃない。
『あいつらと出会えたことを、とても……感謝してる』
ーーそうだ。
例え、思い出すのが辛いことであろうと、自分の弱さと向き合うことであろうと。
2人と過ごしたあの時間は、かけがえのない幸せなものだったんだ。
これは、失って傷ついて、でも前を向いて一歩を踏み出す。
そんなーー弱くてちっぽけな、だからこそ尊い人間の物語だ。