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キャスティング会議の終わりと始まり

 会議室を沈黙が支配する。

 さっきまでの堂々とした態度はどこへ行ってしまったのか伊藤さんは死人のように青白くなった顔で終わったと、うわ言を繰り返し、星川監督は星川監督で私の顔を見ては、確かに目元に面影がと何やら独り言をつぶやいて1人で納得している。

 雰囲気的にキャスティング会議どころではなくなってしまった。


 しかし、私に関する新事実が明らかになってからの伊藤さんのビビリ具合はちょっと常軌を逸している気がする。

 ぶっちゃけさっきの態度との落差が激しくて全然自体が飲み込めない。


 「あのーえーと伊藤さん? 何でそんな死にそうな顔してるんですか?」


 いつまでもこんな状態では、キャスティングが進まないので、状況把握のために伊藤さんに声をかける。

 脚本はこれからキャスティング後にまたいくつか変更することになるので、今日決められるところを決めないと企画の進行予定から遅れる事になるのだ。

 オーディションで選ぶにしろ、オファーをかけるにしろ一発で全員から承諾を得られるわけではないだろうし。


 「いえ……会長のお孫さんと知らなかったとはいえ、大きな態度をとってしまったので、もう首をくくるしかないと思いまして。終わったー。私の人生これでおわりだー。会長の孫って完全詰み」


 あれー? この人こんなキャラなの? というか態度が大きいって自覚あったのね。

 なんかカッコつけて仕事の出来るおじ様の雰囲気出してたのに今は死にかけのおじいさんじゃん。

 まぁ、制作費出すわけだから大きい態度を取らないと嘗められるとか色々な事情があったのだろう。

 だから別にそこまで気にするようなことじゃないと私は思っているけど、何でもこんなに怯えられているのだろう?

 私そんなにワガママ系のお嬢様に見えるのかな?


 「別にそんなことで人生終わらないと思いますけど?」


 正直花京院会長の孫だと言われても、会った記憶ないからどれだけ凄い人なのかピンときていない。

 仮にいくつもの会社を子会社に持つようなグループ会社のトップだとしてもわざわざピンポイントでクビをきったりしないだろう。

 社長とか会長とかトップはだいたい現場に関心がない。

 権力的にはできるだろうけど、そんなことをやれば完全ブラック企業認定だ。

 

 「本当かい? 私まだ生きてていいの?」


 私の発言に死ぬ間際に女神を見たような希望に満ちた表情でこちらを見る。

 ここが祭壇とか教会とかだったら完全に祈りを捧げる信者だっただろう。


 「そもそも何で私が花京院会長の孫だったからって伊藤さんが首をくくる必要があるんですか?」


 一番の謎なぜ死を覚悟するほどに怯えているのかだ。

 ママをキャスティングするというのがどこから出た話かは知らないけど、それによって嫌な気持ちになり、不利益を被るのは私だけだ。

 事務所には、のあちゃんの他にも子役はいるし、ママの人気は多分私が娘だと世に出た所で今更大きく人気や世間の評価が変わることは無いだろう。

 結婚と産休という二つを乗り越えてもなお人気が衰えることがなかったわけだし。むしろまだまだ登ってる。

 海外からのオファーの話もあるとかないとか。

 


 会社の利益のために花京院文乃をキャスティングしようと考えたのなら顔面蒼白で死を覚悟することなんて何も無いはずだ。

 伊藤さんは会社の意見を代表して言いに来ただけなのだから、それで怒ってクビになんてならない事ぐらい分かりそうなものだけど。

 それに、私が不快感を示した所で伊藤さんの人生がどうこうなるはずはない。


 「いや、花京院会長はね、孫である君の事をことある事に可愛い初孫だと褒めている。あの普段いるだけで悪霊すらも逃げ出すような迫力のある顔の御方が、孫の話をする時は穏やかな表情になるんだよ。もしも孫に害を及ぼす者がいたら徹底的に滅ぼすと公言している。あの御方は孫や自分の子供のためなら会社の利益すら無視するだろう。そう出来るだけの権力を持っているし、もしも数百億の損害を出しても痛くも痒くもないだろう。あの御方なら1年あれば取り戻せるだろうからな。だからはっきり言っていつ首が飛ぶか怖くてたまりません。あの悪魔の血を引く一族……いえ失言でした。本当勘弁してください」


 溺愛され過ぎなんですけど私。会ったことすらないのに。

 というか数百億の損害を1年でチャラにできるって何? マフィアなの? 悪魔の一族って言われてるし。

 ちゃんとした経営してるよね? 

 今の話だけ聞くと完全に危ない人の話なんですけど。

 そんな頭のおかしい奴が会長ってどうなの? 日本の行く末が不安です。

 というか金と権力で敵を排除するって行動が完全にダメな金持ちの発想じゃん。

 将来はその権力を使ってリアル悪役令嬢とかやればいいんですかね? わかります。

 没落するところまでがワンセットですか? やめときます。

 というか上に立つ人ならそこは家族、親戚より社員を大事にほしいマジで。

 

 「でもこの場でそんな事を言ったとしてもおじいちゃんの耳には入らないのでは?」


 冷静に考えて見ればこの場には私の他には監督とサトーさんと伊藤さん以外はいない。

 そしてここは外部に声が漏れないような作りの会議室だ。

 会長を目となり耳となる存在が入り込む隙間はどこにもないはずだ。失言を漏らしたとしても盗聴器でもない限りは大丈夫なはず。

 

 それにこれまでSPも黒子も見たことない。

 うちにはメイドも執事もいないし。

 可愛いメイドならぜひとも見てみたい。絶賛募集中です。嘘だけど。

 残念ながら漫画じゃないんだからそんなものはいない。奴隷制度でもあれば話は別なんだろうけど。

 我が家にいるのは30歳だよね? と確認したくなるぐらいに無駄に若々しいママぐらいだ。

 父親? やつは死んだ。いや、元気に海外で働いていますよきっとね。心配なのは異母兄弟いないかどうかぐらいだな。

 弟でも妹でときっと仲良くできない気がする。

 

 「いえ、私が報告すればしっかり耳に入るでしょうね」


 普段と変わらぬちょっと冷めたトーンで割って入ってきた声は私の後ろから聞こえてきた。


 「さ、サトーさん?」


 声のした方に振り返って見れば、私のマネージャーのサトーさんはこれまで見たことがないような鋭い表情をして伊藤さんを見ていた。

 それは先ほどまでのサトーさんとは違っていて、なんだか怖いサトーさんって感じがする。

 口調も表情も普段のままなのに何か1つだけ決定的に違うそんな印象だ。


 「ええ、私は紗那さんのマネージャーであり、会長から紗那さんの身の安全を守るようにと命令を受けていますから定期報告用の連絡先ぐらいは知っています」


 「これ以上事態をややこしくしないでよ」


 困ったぞ。私の処理できるレベルをはるかに超えている。

 ナニコレ? どゆこと?

 これなら台本100冊暗記する方が全然楽に思える。

 それかオークと1時間同じ部屋にいるとかの方がマシ。


 「すみません。ですが一応言っておいた方がいいかと。望むならこの男の首を飛ばすぐらい簡単ですから」

 

 冷たい表情から柔らかい笑みに切り替えて私にそう語りかける。

 目が笑ってないから多分これは冗談じゃない。


 「ぜひともやめて伊藤さんも仕事でやってるだけだから。ね? ってそんなことは置いといていつからなんですか? どのタイミングから?」

 

 ぶっちゃけ伊藤さんの人生より、いつからサトーさんが私のボディガードになっていたかの方が気になる。

 予想では事務所に入るタイミングかな? いやその前からサトーさんはママのマネージャーで、私は現場でママがカメラの前にいるあいだ常にサトーさんと一緒にいた訳だからその時から既にって可能性も充分考えられる。

 

 「気になりますか? どうして私が花京院会長と関わりがあるか」


 「いや、それよりキャスティングの方が気になります」


 だが、お仕事の方はもっと気になる。

 ほら私、根っからの社畜だし。

 もともとお金持ちのお嬢様なのは知ったから、今更花京院家の資産が数百億ほど増えても気にしない。

 だって想像つかないし、恩恵にあずかったことないし、おじいちゃんも父親も顔すら知らないから信じきれてないし。

 花京院ってそんなにある苗字じゃないにしろ、もしかしたら別の人可能性だってある。

 おじいちゃんの話ママから聞いたことないもの。

 住んでるマンション以外に私ってお金持ちだなぁーって感じられる要素はオークを含めた数名のお偉いさんとの会食と、大量の習い事の体験入学ぐらいしかない。

 それも子役になってからはほぼなくなった。

 私の着る服のハイブランド染めはママの趣味だから関係ないし、父親は現状の情報では海外勤めのサラリーマン以外知らない。


 なにより目の前に仕事のタスクが溜まっているのに放置する意味が分からない。

 この後でも全然問題ない話はコーヒーでも飲みながらゆっくりやればいいと思うんだが? もっと言えば星川監督も伊藤さんも忙しいんじゃないの?


 「なのでそろそろ会議を再開していいですか?」


 「それはもちろん紗那お嬢様がおっしゃるのなら」


 たった今伊藤さんのその発言で、権力は私の元にやってきた。

 星川監督は私をどうしてもキャスティングして映画を撮りたいから多少のこちらに都合を合わせてくれるだろうし、サトーさんは元々味方で、伊藤さんは私に逆らえば人生がふっ飛ぶと思っているので実質権限がなくなったようなもの。

 つまりこのキャスティングは私の発言で回って行くことになる。

 伊藤さんよ媚を売りたいのか何なのかよく分からないけどしれっとお嬢様呼びに変えたな。

 なんかお金持ちぽいし今までそう呼ばれたことなかったから新鮮でいい。なのであえてスルー。

 

 「紗那さんを許可なく下の名前で呼ぶなどやはりクビを飛ばしておくべきでしょうか?」


 サトーさんボソッと言ってるつもりだろうけど、丸聞こえだから。

 というかこれまで監督さんとかスタッフさんに紗那ちゃんって呼ばれる度にそんな事思ってなのこの人?

 物騒だからむしろこっちをクビにすべきなのでは? いや優秀だし、ママの次ぐらいに信頼してるけど、そのうち暴走してなんかやらかしそうだし。

 もうちょい様子見しよう。変えてとかクビとか言ったら伊藤さんみたいになりそうだしね。


 「ひとまず花京院文乃は事務所的にもマネージャー的にもNGです。よろしいですね伊藤さん?」


 ちょっとサトーさん私まだ何も言ってないんですけど?

 なんか勝手に進め始めたんだが?


 「は、はい。会社にはスケージュールNGだったと伝えておきます」


 おぉ、け、権力凄い。これが噂の禁断の力なのか。一瞬で最有力候補が消せた。

 でもそれでいいのかな? 確かに花京院家が持つ権力をチラつかせれば私に都合のいいキャスティングになるだろう。

 でもそれって悪役のやることではなかろうか?

 それでほんとにいい作品ができるのだろうか?

 ずるして主演を勤めて私はこの先、同じような状況になった時権力に頼らずいられるだろうか?

 これまでの経験からいくつかの疑問が頭に浮かぶ。

 もしもママと共演すれば2世バレのバットエンドの可能性が高い。花京院家の権力でキャスティングを直接いじればそこから何度も権力に頼って悪役令嬢エンドが待っているだろう。

 いくら社畜でも人間の心は忘れていない。楽が出来るなら楽したい気持ちも少なからずある。

 楽を選ぶなら悪役令嬢エンドだろう。権力とお金が消えない限り悪でも正義になるから問題ない。

 だったら私が出す答えは決まってる。


 「いえ、その必要はありません。役に相応しいと思う人をキャスティングして下さい」


 「さ、紗那さん?」


 サトーさんの動揺した声が聞こえた。

 そりゃそうだよね。マネージャーの仕事は担当を遠くまで羽ばたかせる事。その障害になるものを極力排除し、間違がった方に進もうとするのを止めるのが止める事だ。

 今で言えば2世バレを防いで私がこの映画で一定以上の評価を得られるようにする事になる。

 だから私の発言に対して一番反応する。

 だってこの場は私の都合のいい様にしかならないのだからママの起用を避けておけば多分この映画は失敗しないはずだ。

 スポンサーだって実質私の親戚がやるようなものだから宣伝はバッチリ成功だろうし、星川監督が脚本を書きメガホンを取れば才能に溢れる役者の方から寄ってくる。

 そして私は何の憂いもなくさらに大きく羽ばたける。

 ママの起用しないだけでこうなる未来はほぼ確定する。

 その可能性を自ら捨てるような発言すれば動揺しないわけがない。

 サトーさんから見れば楽に成功する道があるのにそれを選ばないように見えるはずだ。

 

 

 俳優を目指すと宣言したオークは未だに名前のある役を貰っている気配はない。いやそこまでヤツの事を気にしたことはないから見落としている可能性はあるけど少なくとも、現場で一緒になったこともない。

 それはきっとコネも権力もお金も持っているはずなのに、アイツは多分それらを使わずに頑張っているんだろう。あれだけ太っているんだ甘やかされないはずないし。

 

 のあちゃんはそれらを一切持たずに私より早いペースで才能と努力だけで映画の主演まで登りつめてきた。

 ママは無名の少女から2度目のスキャンダルを乗り越えてトップ女優になった。


 なら私は? 最初に約30年分のアドバンテージを貰って、天使級の可愛いさを貰っている私はこれ以上ズルをして彼ら彼女らに並んで時、トップになった時素直に喜べるのだろうか? 

 きっと本物の輝きの眩しさに目を逸らす事になると思う。消えない罪悪感の内に抱えてみんなと接して平気でいられるわけはない。

 ここで楽な方を選べば私は子役で終わる。権力を行使し、楽な方に流される悪役令嬢みたいな性格の悪い誰からも恨まれ嫌われる役者になるだろう。

 それか罪悪感の中で引退を選ぶ事になるだろうと前世から続く経験が確信じみた結論をはじきだした。

 努力は必ず実を結ぶなんてことは優しいことはないが、努力しなければ身を滅ぼすことだけは誰にでも起こりうる。

 勉強しないで定期考査に臨んだことのある人間や準備をせずに大切な日を迎えた人間ならよくわかるだろう。

 ろくな結果にならないって事に。

 もしも運良く凌げたとしても運はいつまでも続かない。

 だからここで権力を行使して、私にだけ都合のいいようなキャスティングをするのはダメな気がした。

 何より前世を含めて私は権力の使い方を全然知らない。

 どんな武器だって使い方誤ればただの殺人の道具になる。どこかで聞いた言葉がふと脳裏を掠めた。


 「星川監督、あなたが主演に選んだ花園さなは、ひたむきに演技を極めようとする子役ですよね? 相手役が誰であろうと変わることなく臆することなく自分に出来る最高の演技しようとする。そうですよね?」


 口からは自然と言葉が出ていた。

 判断材料にするというよりは、出した結論が間違っていないか確認するための発言。

 カッコつけて見たものの背中ぐらいは押して欲しい。

 前世と違うところは後ろに支えてくれる人達がいるかどうかだから。


 「あぁ、そうだね。僕が主演にしたい花園さなは演技に対して真面目で正直で見てるこっちをもっと頑張らないとって思わせてくれる子役……女優だね」


 だから私は女優になる道へ繋げるために修羅の道を進む。

 ズルせず一歩ずつでも前に進み、いずれママの上へと至るため、前世から変わらない愚直さで乗り越える。……努力が私の使い慣れた武器だ。



 着々とキャスティング会議は進んで行くはずが、なぜか名前のあるちょい役は決まっていくが、メイン級の役はほぼ手付かずのまま会議終盤のような空気が流れ始めてきた。

 なんとなく社会人ならわかるだろう。終わりの見えてきた感じで進行役がちょっと元気を取り戻して締めに入ろうとする独特の感じ。


 「ひとまずここに上がった候補にオファーを出すとして残りのまだ決まっていないところはどうなるのかね星川君」


 「オファーをかけなければならないようなキャラはいませんね」


 「それじゃあやっぱり、予定どおり残りのキャストはオーディションということになるのかい?」


 「え? オーディションですか?」


 伊藤さんと星川監督の会話を聞き流していると気になる単語が出てきたので顔を上げて会話に参加する。


 「はい、紗那お嬢様。この星川という変わり者は新作映画を作る度にオーディションを開催する男です」


 「伊藤さんだって毎回こっそり覗きに来たりして楽しんでるでしょうが。……オーディションは僕のこだわりですから。既に人気のある人たちを使って新鮮味にかけますし、何より面白くない。まだ見ぬ新しい才能と才能のあるものがぶつかって新たな1面を引き出す瞬間を一番最初に見るために映画を作ってるんですから。自分の作品では制約の許す限り新たな風を取り込むのが楽しいんですよ。そうだサトーさん。せっかくだからさなちゃんにも審査を手伝った貰う事できませんかね?」


 ただ今ご紹介にあずかった変わり者の星川さんはいつものやや落ち着いた雰囲気からめんどくさい人が纏う変人オーラを撒きながら何やら語り始めた。

 サトーさんと伊藤さんは長年業界いる勘が働いたのかそっと目を逸らしてやる過ごす事に決めたらしくホワイトボードを眺めたり携帯にメールが届いていないか確認し始めた。

 まだガラケーって生きてたんだ。

 久しぶりガラケー。何年ぶりかな? 

 と伊藤さんのガラケーを眺めながら思い出に浸っているとサトーさん声が耳元でした。


 「どうしますか?」


 「審査されることはあって審査する機会はあまりないしやってみたいです」


 女子固有のスキルぼーっとしているように見えてて意外に話を聞いてるを発動させておいたおかげで話は進む。


 「決まりだね。伊藤さん今回もよろしくお願いしますね」


 「言われるまでもない。この映画が失敗したらクビ飛ぶだろうし。だから星川君絶対成功させよう。来年には息子の高校入学と娘が大学に行くから仕送りも必要になるからクビになるわけに行かないんだ」


 キャスティング会議は終わった。

 だが、キャスティングは新たなステージへと至る。

 第2回はオーディション会場でか。

 というか伊藤さん結婚してたのか。しかも子供まで。

 ママ経由でおじいちゃんには変な事しないように言っておくことにしよう。

 社畜的にそんな理不尽を許しては行けないと思う。

 あっ、サトーさんがちょっとよろけた。もしかしてちょっと狙ったとか?

 でもあんな怖い雰囲気で色々言っちゃってるしどのみち脈なかったと思うんだ。

 大丈夫だよサトーさんにもきっといい人現れるはずだよ。

 このセリフを言われた人で結婚した人聞いたことないけどね。

 ちょっと可哀想なものに向ける天使の微笑みで片付けを始めるサトーさんを眺める。

 ガチャと扉が開いてラブコメしてた社員さんが入ってきた。

 そういえばこっちは始まったばかりでしたね。

 

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