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休日の過ごし方を決めよう

 「この家こんなに広かったんですね。知りませんでした」


 掃除を1通り終えると、全体を見回しながらサトーさんは頷きながらそう言った。

 確かに最初にこの部屋に来た時より広く感じる。

 8割近く使わない服で埋め尽くされていたのだから、当然といえば当然なのだが。


 「これでようやくお昼のハンバーガーが食べられますね」


 「ええ、もうお昼というよりおやつの時間ですけれど」

 

 時刻は14時46分。

 おやつの時間と言ってもいいだろう。

 ずいぶんと時間がかかってしまったものだ。

 いや、あの量を2時間で片付けられたと喜ぶべきか?



 テーブルを挟んで向かい合い、ハンバーガーを食べ始める。

 冷えきってパンが少しモサモサするけど、食べられなくはない。

 普段からいい食材ばっかり食べているせいで口が肥えているのか、正直美味しいと心のそこから言えないが。


 「サトーさんが普段から綺麗にしておいたらこんなに時間かからなかったんですけどね」


 始めるのはもちろんさっきの会話の続きだ。

 サトーさんにはしつこく言っておいた方がいいだろう。

 片付けをしない人間はしばらくすると必ず元の状態に戻すから。

 経験者は知っている。


 「私的にはセーフだったんですが。紗那さんが綺麗好きだったとは、思わぬ誤算でした」


 「私、そんなにガサツに見えるんですか?」


 「そういうわけではないですが。なんと言いますか、そういうのを気にしないような私と同じタイプのような気がしたんです」


 サトーさんの嗅覚は意外と鋭い。

 魂の奥から放たれるガサツオーラを見抜くとは。

 今はもうすっかり、ママの影響で床の水滴一つまで綺麗に拭き取るような性格になっているけど、社畜の前世はゴミさえ捨てておけばいいというサトーさんとほぼ同じスタンスだったので、その指摘は正しい。

 やっぱりサトーさんの目は才能を見抜く一流マネージャーそれだ。

 まぁ、ロリコンでなければ完璧だったのだが。



 「さてと、ハンバーガーも食べ終わりましたし、本読みでもしようかな。サトーさんテレビの音量少し下げてください」


 いつものように時間に追われることなく、ゆっくりとハンバーガーを食べ終えると、もう夕食までやることはない。

 掃除は終わっているし、サトーさんはゲームとかやる人じゃないのでゲーム機なんて置いてない。

 寝に帰るだけと豪語するだけあってシンクに洗い物が溜まっている事もないし、なんなら冷蔵庫すら見当たらない。

 そうなると、もうやることはセリフを声に出して読みいつでも演じるキャラを降ろせるようにしておく必要がある。

 私は役作りこむより自然とそうなっていく憑依型とでも呼ぶべき感じなので、とにかく降りて来るまでセリフを声に出して読む事にしているのだ。


 「紗那さん、休日の意味知ってますか?」


 しかしサトーさんはリモコンに手を伸ばすことなくやや批難するように渋い顔でそんなことを聞いてきた。

 

 「それは休み明けの仕事の準備をする時間ですよね?」


 当然のように社会人としての休日を答えると、渋い顔は険しい顔に変わる。

 え? 私何か変な事を言ったのかな?


 「紗那さん、この2日間は働き過ぎな私達の身体を休めるために、与えられた休暇なので、くれぐれも仕事をさせないようにと、社長と文乃さんから言われているので、台本は暗記しているのならしまってください」


 「でもそうするとやることがないんですが?」


 社畜過ぎて、休日の正しい過ごし方が全くもって浮かばない。

 前世から休みといえば仕事の準備以外に使って来なかった。

 それに今は幼女なのでふらふら出歩いたり出来ないので、どこかに出かけるなんて事も出来ない。

 ママお仕事忙しいし、パパは顔すら思い出せないぐらい長い期間会ってないし。

 ママ曰くハーフのイケメンなんだとか。

 スキャンダル対策とかでママとパパのデートの写真とか一切ないし、家族の写真も実は1枚もなかったりする。

 私が生まれてすぐに海外転勤になったのだ。

 つまりパパは海外生活5年目軽く過ぎている。

 これまで1度も帰って来ていないので、そろそろ我が家で死亡説が流れそうだ。

 入学式ぐらいは帰って来てくれるといいな。


 「私も残念ながらスケジュールの調整と企画書作り以外の過ごし方を知らないんですが、同僚は休みになるとよく温泉行っていましたね」


 私が全く関係のないパパに思いを馳せている間にサトーさんも記憶を辿っていたらしく、オフの過ごし方の選択肢に温泉が出てきた。


 「今から温泉に行くのはちょっと遅いのでは?」


 しかし15時を過ぎて今から日帰り温泉となるとそこそこ大変だ。

 行く場所を決めて、電車に乗り目的地で、ゆっくりと過ごして帰る。

 いくらサトーさんがスケジュール管理のプロとはいえ、それは厳しいと思う。

 それに私は幼女なのでピリついた現場にいない限り基本的に、22時には体力の限界を迎える。

 こればっかりは転生していようと延びることはないらしい。

 

 「そうですよね。それなら紗那さんはどこか行ってみたい場所とかないですか?」


 行ってみたい場所か……。

 転生してから現場と家の往復しかしてないし、遊園地とか行ってみたいとは思うけど、はじめは家族で行くものだと思うからナシだな。

 他の娯楽って言うと、何があるだろう?


 「本日はなんとクレーンゲームのプロ、つかむさんに技を教わり一人一つの景品をとってもらうという企画です」


 考えて込んでいると、テレビに少し昔の番組の再放送の音声が聞こえてくる。

 私が生まれる前に人気だったその道のプロに習うというタイトルの深夜番組で、今日はゲームセンターでクレーンゲームの景品を技を使ってとる回らしい。


 「ゲームセンターとか休日を過ごすのにぴったりじゃないですか?」


 「奇遇ですね紗那さん。私もそう思います」


 この番組を見て技を学び、私達は近所のゲームセンターに向かう事にしたのだ。

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