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Turn04 ユードラ/13

「私の研究意欲で話が逸れてしまいましたけど、結局、お二人は何の目的でこの惑星レンドラへ?」


 よくよく考えれば、拘束されていないのが不思議な話だが、警戒されていないことに越したことはない。


「何の……と言われても困ります……僕は目的も何も……」


「そう言えば、カノエ様は六千年の間、炭素冷却カーボンフリーズで封印されていたのでしたね」


 ユードラはティーカップの取っ手をつついて遊びながら言葉を探す。


「ディエスマルティスと言うと、六千年前に銀河腕アーム間の転移航路ヴォイドレーン。いわゆる大転移航路グランドレーンを渡った“最初の七隻”の一隻です。確か、クヴァルの始帝ヴァルヴァラがその七隻の指揮を執っていた、とか……クヴァルに追われているのはそういった理由ですか?」


「そのあたりのことも、全然……いや、クヴァルとかは分かるんですけど……」


 ユードラは丁寧に説明していると思うが“こちら”の事情に疎いカノエにしてみれば、名詞の意味をヘヴンズハースの記憶から関連付けて手繰りだすので手一杯だ。


「他には……フィラディルフィアとおっしゃっていましたよね? セラエノとはお知り合い? ユーリはご存知ですか?」


【ああ、彼はフィラディルフィアから離脱した後に目覚めたから、たぶんセラエノやユーリのことは知らないと思うよ】


 また知らない名前が現れる。それに答えたのはアトマだった。


「ではアトマ様。セラエノやユーリから何か言伝などは……」


【ない】


「無いのですか!?」


【うん。バタバタだったしね。ただ、ナインハーケンズに襲われなければ、ここにあるサンバルシオンから大転移航路図グランドチャートを貰って、オリオンアームへ渡るつもりだったみたいなのだけど……】


「サンバルシオンはシンザ同盟の後期開拓船団の船ですから、大転移航路グランドレーンは航行しているはずですけど……当時の大転移航路図グランドチャートが使えますか? もう三千年も前のものですよ?」


【そこはほら、ユーリが……何とかするんじゃない?】


 人差し指をクルクル回して、アトマは得意げに言うが、ユードラはそれを聞いて溜息を吐いた。


「ユーリさんは確かに優秀な航海士リフターですけど……それだと、結局のところフィラディルフィアが無事なことを祈るしかありませんね。どちらにせよ、アトマ様が大転移航路図グランドチャートを引き出せたとしても、骨格艦フラガラッハの質量では超長距離の転移は出来ませんし……」


【そうなのよね。フィラディルフィアが無事なら解決なんだけど……】


「セラエノと連絡が取れないことには、八方塞がりですね」


 そういってアトマもユードラも塞ぎ込んでしまう。カノエが口を挟める話題でもなく、静寂が流れる。


 その沈黙を破ったのは少女の声だった。


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