Turn02 セラエノ/8
「セラエノ船長とユーリ副長が、アトマさんときゃっきゃうふふしてる間に、採掘用アンカーユニットの設置は確認済です」
「周辺警戒網、異常ありません」
「続いて、固定作業に当たるエルアドレ一番艦、二番艦、出撃しま……す?」
オペレータ達が、チョップポーズのまま聞いていたセラエノに作戦状況を告げる。最後に、丁度タスクを進行中だった女性オペレータが歯切れ悪く聞いた。
「どうぞ。やっちゃってください」
「了解。骨格艦エルアドレ、出撃しちゃってください――あ」
セラエノの言葉尻がうつってしまった管制官の女の子が、自分の言葉に気づいて小さく声を上げたが、そのまま開き直り、何事もなかったように業務を進行する。
「たまには船長もアストライアで出ませんか? 腕、鈍りますよ?」
大型モニターが、エルアドレのヘルムヘッダー、ライゼン=リンドブルムの顔を映すと、黒髪の洒落者は気さくに船長へ話しかけた。
「そうしたいのは、やまやまなんだけどね」
セラエノが顎を送った先には、ユーリが目を光らせている。
「ライゼン隊長。今は作戦行動中です」
「相変わらずユーリ副長は堅いね。そんなんじゃ嫁の貰い手なくしますよ?」
「やかましいです。とっとと発進してください」
ユーリはライゼンの尻を蹴るように言った。
「へいへい。それじゃ、骨格艦エルアドレ一番艦、二番艦、採掘作業に行ってまいりますよ。ジュディちゃん、発進許可よろしく」
「エルアドレ一番艦、二番艦、発進どうぞ」
管制官のジュディが告げると、戦術モニターに記されたフィラディルフィアの前方下部から、二つの光が飛び立つ軌跡が記された。