表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/99

Turn01 カノエ/16

 あっぶな……発生の早い鍛錬鋼刃ハバキリじゃなかったら喰らってた?」


「んふふ、いいねいいねカノエ君……さっきのは結構本気でトドメ刺しに行ったんだけどな」


 世良セラの表情は恍惚として、甘い吐息を吐くように言った。刺激に蕩けた表情を浮かべながら、艶やかな殺気を纏う。


 いいとこのお嬢様だと思っている連中に見せてやりたい。完全に変態の表情である。


「このドスパイクめ」


 状況さえ考えなければ中々見られない少女の痴態では有るが、同年代の少女がやっていい表情でもない様な気もする。


 が、そんな世良セラに見とれる隙も逃さず、彼女の半刃半柄鉈槍フィフティグレイブは抜け目無く襲ってきた。

 再び二人の重力刃じゅうりょくじんが交わり、鈍い金属音のようなSE(サウンドエフェクト)と共に、星間物質エーテルが弾け、紫電が刃を走り、蒼い閃光が宙を舞う。


「ふふ、それはカノエ君もでしょう?」


 完全に出来上がっている世良セラの声は弾んでいた。強い相手と見るとこうなるらしい。

 挑むカノエとしては喜ばしいことなのだが、喜んでいる暇など一瞬もなく、世良セラ骨格艦フラガラッハが放つ必殺の斬撃が絶え間なく襲ってくる。


「顔が完全に痴女になってますよ世良セラさん?」


「かな。ちょっと濡れてるかも」


「クラウンシェルん中の音声、カウンターの朱音アカネさんに拾われてっからね?」


朱音アカネさん、今のオフレコでよろしく」


 そんな人に聴かせられない会話の合間にも、連環斬撃ブレードラッシュが飛んでくる。

 攻撃速度で優るはずの、鍛錬鋼刃ハバキリを使っているカノエの方が押されていた。


 流れるように機動する世良セラ骨格艦フラガラッハは、斬り返す隙を潰し、攻撃を繋げる。

 カノエは、気迫に押され、押し付けられ、延々と受け流し続ける状況が続いていた。


 被弾こそ無いものの、絶え間なく撃ち込まれる半刃半柄鉈槍フィフティグレイブの斬撃に、鍛錬鋼刃ハバキリ重力刃じゅうりょくじんがじりじりと削り取られていく。


「反撃ッ! のッ! 隙をッ! ……しまッ!」


――無理に反撃しようとして生まれた一瞬の隙。世良セラが見逃すはずもなく、左碗部の可動式外装甲板(ブルワーク)が弾け飛んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ