表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/99

Turn01 カノエ/11

「初めはアクセサリでも贈ろうと思って、買い物行ったんだけど、小物のセンスって君の方が良いしさ……」


「だからゲームのアクセサリって、駄洒落?」


「そこで笑わないと笑うとこ無いよ?」


「……本音をどうぞ」


「プレゼント考えるのが、だんだん面倒に……」


 言いながら、世良セラは露骨に目をそらす。


「正直でよろしい。もうちょっと女子力とか、そういうの、捻り出そう?」


 少しは可愛いところもあるのではと思ったが、


「女子力でゲームに勝てるなら、幾らでも捻り出せそうなんだけど」


 やっぱり世良セラはただのスパイクプレイヤーだった。


「うーんこの、どこまでもスパイク脳……とにかく、でも――ありがとう。見送るつもりだったから結構嬉しい。さっそく取り付けてみるよ」


 世良セラと雑談をしているのも楽しいが、今は筐体の中、しかも待機モード中なのでサクサクと作業を進める。

 この辺りは店の筐体を共有してプレイするが故の、アーケードゲーマーの規範だ。


 インテリアウィンドウを開き、先ほどプレゼントボックスから出てきた〈アトマ〉のアイコンを、コックピットのインテリアスロットにドラッグする。

――ガション――と言うSE(サウンドエフェクト)と共に計器類の映像が、電磁パルスが走ったようなデジタル演出と共に切り替わり、そこに小さな菫色の髪と碧眼をした妖精と、彼女用の座席が現れた。


「やっぱり私に似て、可愛いね」


「その妙な自信はどこからでてくるんだ」


 そう言ったものの、よく見れば、やはり世良セラに似ているように感じる。


【御用でしょうかヘルムヘッダー】


 視線を認識したのか、〈アトマ〉が世良セラに良く似た声質の機械音声を発した。


「声まで似てんの」


「似てる? あーあー、“御用でしょうかヘルムヘッダー”」


 言うと、世良セラが大仰に物まねをした。


「あー、はいはい。ソウデスネ――折角だから戦闘ナビのコールも〈アトマ〉に変更してと……準備いいよ」


 遊んでいる世良セラを尻目に、必要な設定を終わらせる。


「つれないなぁ――まあそんじゃ、行きますか」


 カノエの準備が済んだのを確認すると、世良セラは目を閉じて、指と首を軽くストレッチ。

 その綺麗な目を開いた時には、再びスパイクプレイヤーの顔になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ