転生したら「スライム専用のBGMを作ってくれ」と頼まれた!
とりあえず転生した。
場所はもちろん中世ヨーロッパっぽく、そこらへんにスライムやゴーレムがいる世界だ。
まいったなあ〜まずはどうしようか。
僕は気持ちを落ち着かせるために鼻歌を唄った。
「ふーふん、ふんふふっふふふうーんすふ」
「おい君!」
え?
村人がものすごい怖い顔をして近づいてきた。
チャカチャカチャカ〜って小走りな感じがとても怖い。
村人はあっという間に僕との距離をつめた。
「今の歌をもう一回唄ってくれ!」
「歌・・?」
「そうだ!ふーふん、ふんふってやつだ!」
「ああ・・ふーふん、ふんふふっふふお〜...ですかね?」
「違う違う!さっきと変わってる!同じのをもう一回やれ!完璧に再現しろ!」
「えええ〜〜!?」
理不尽だ...
でも・・逆らえる雰囲気じゃない・・この人はどこか、その・・ヤバい・・・
僕は必死で鼻歌を思い出した、思い出しては唄った、そのつどボツを食らった。
リテイクの嵐だ。
たった一回、何気なく唄った鼻歌・・・
こんなことならもっと作り込んでしっかり唄えばよかった・・いや、そもそも唄わなければよかった・・
僕は転生先でなにをやっているのだろう。
「あのお・・」
「なんだ!はやく唄え!」
「なぜ・・そんなに歌にこだわるのですか?」
「お前に話す必要はない」
「あんまりだ」
「しょうがないな。理由はこれだ」
そう言うと、村人は懐からスライムを取り出した。
「スライム・・」
「そうだ、わたしの可愛いスライムだ。もう家族の一員になって15年になる。この子にBGMをつけてほしいのだ。この子がわたしの前を通り過ぎたときに流れる可愛いらしいBGMを。さっき君が唄った歌にビビッときてね。あれこそわたしが15年求めていたBGMだ!わかったらはやく唄え。録音するから」
「あ、ちょっと待ってください、すぐ戻ってきます!」
僕はそう言うと近くにある「宿屋」と書かれた建物に突入した。受付の制止を振り切って一室に入った。その部屋にはカップルが寝ていたが、気にしないで片っ端からタンスを漁った。
やはり!
タンスの中に「ひのきの棒」が入っていた。
僕は「ひのきの棒」を装備して村人のもとに戻った。
「どこへ行っていた!はやくさっきの歌を・・・」
僕はスライムに向けてひのきの棒を振り下ろした。
会心の一撃だった。
スライムは息絶えた。
「スライム〜!くっそ〜!許さないぞお〜!!」
村人が怒りを僕にぶつける前に、もう一回ひのきの棒を振り下ろした。
またも会心の一撃だった。今日は運がいい!
僕は2つの経験値と、2ゴールドを手にした。
幸先がいい。
「ふーふん、ふんふふっふふふうーんすふ」
いい旅になりそうだ!
完
【僕は普通の男の子】踊り子の衣装を着せられて、魔王と戦うことになったんですけど!!」
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タオルになっちゃう女の子と洗濯バサミに生まれ変わる男の子の話、
『あたらしい美少女はいちど洗ってから♪』も連載中です(❀╹◡╹)ノ゛
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