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彼女は霊を信じない  作者: なつきまる。
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8/9

ライバル。5

「それは?」


「んー? これ? 会長から渡されたピッチっていうの。持ち運べる電話みたいなものだよ。それよりさ、ねっ、ちょっと付き合ってくんない? 少しだけでいいから」



 下から、はにかみながら小さく首をかしげてくる千秋。特に断る理由も無かったので、少年は彼女についていくのだった。



 * * * * * *



「青木さん……ですね? すみません、お待たせしてしまって」



 日霊保本部。地上の一般人にも公開されているスペース内。その中のカフェにて、千秋は男性と少女に頭を下げた。



「いえ、他の方が言うには三十分くらいで着くっちゅう事やったんで、全然待ちませんでしたよ。しかしまさか……国内ランキング首位の方が、これほどまでに可憐やとは。どうです、この後、二人だけでディナーなど」


「あっ、いえ。ご遠慮いたします。娘さん、疲れているようなので」



 ビキッと青筋を立てている千秋。今にも『まず自分の事より娘の事でしょ』とでも言わんばかりに返事をする。



「この度は、ほんまにお世話になりました。あれほど強力な残り五十匹のEsを、一度に相手出来る人がこの世に存在するなんて」



 思い出したように礼を言いだす父親に、ようやく真面目に向かい合う千秋。



「いえ、今回、私はほとんど何も出来ませんでした。お礼なら、彼に言って下さい」


「えっ?」


「彼がいなかったら、今回ばかりは私も命を落としていました」



 わけが分からないような顔をして、少年は千秋と男性の顔を見比べている。



「……彼は?」


「分からん。せやけどおとん、これだけは分かるで。ウチに憑いとったEsとは比べ物にならんわ」


「こ、こらボケ(ゆう)、人をEs扱すんなや。すんません、どうもこいつ、憑かれてから二重人格のように『ウチは特一級霊師や』とか言いだす時もあるもんで」



 切れ長の目を丸くして、千秋は少女に視線を合わせる。どこかで見た事があるような笑顔。そして、よく知っている空気。毎日のように顔を合わせて、そして毎日のように喧嘩して。ただ……



「えっ……? 優ちゃん、今いくつ?」



 いつからか、その見慣れた笑顔が突然途切れていた。『千秋、いつか絶対、自分倒したるわ』が口癖の、千秋の親友。



「高校一年の十五歳。千秋、いつか絶対、自分倒したるわ! それまで、誰にも負けたらあかんで」

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