とある村人の非日常
ガタガタッ...
馬車が音を立てながら村へと続く道を行く。街での商売を終えて数日、やはり人が多いところというのは疲れる。ふと空を見上げてみると今日も日差しが刺すように強い。
「帽子でも持ってくるべきだったかな」
そんなことを呟いていると少し向こうに人影があった。こんな暑い日に珍しい。しかもこんな辺ぴな道は村人たちでも街にいくときぐらいでしか使うことは無いだろう。そう思って近づいていくと一つの違和感に気づいた。
あれ、倒れてないか?
馬車を少し離れた場所に留めて近づいた。そこには目立たないような色をした布やフードを被っている人がうつぶせになって倒れていた。どうやら村の人ではなさそうだ。
「おい、だいじょうぶか?」
そういいながら俯せになっている人を仰向けにする。そしてその行動のあとに俺は目を疑った。
「お、女?」
一瞬体が硬直した。華奢な顔つきをしていてフードからちらついている髪は透き通るような蒼色をしている。年齢はおそらく17、8位でおそらく俺と同年代だろう。
ってこんな冷静に分析している場合じゃ無かった。俺はその子を馬車の荷台に乗せて村へと急いだ。