サバキとユルシ
掲載日:2014/09/30
サバキはいつも人の輪の中にいた。
ユルシはいつもそれを見ていた。
悪人がいる。サバキの仲間を傷つけた悪人。
サバキはサバク。
罰をもって追放する。
「二度と顔見せるな」
ユルシはそれを震えながら見る。
「そこまでしなくともいいのではないか」
「確かに彼の者は悪で合っただろう。でもあそこまでつるし上げなくとも良かったのではないか」
「その前に彼の者を悪と断ぜられるほどに我々は善であったのか」
「彼はただ『我々』ではなかっただけではないのか」
ユルシのコエは届かない。
ユルシは口を閉ざしてしまうから。
悪人がいる。ユルシの仲間を傷つけた悪人。
ユルシはユルス。
そっと彼の前から姿を消した。
「我々にも至らないところはあった」
サバキはそれを冷笑と共に見る。
「それがユルシにはお似合いだ」
「仲間の一人も守れないユルシ」
「我々は躊躇しない。なぜなら我々は正しいから」
「我々は躊躇しない。なぜなら我々を傷つける者は敵だから」
サバキはユルシに言う。冷徹に。非常に。
「次やったらお前をサバク」
ユルシは何も言わない。
黙ってその場を立ち去った。




