別離(2)
わたし(作者)、再会型幼馴染が好きすぎじゃないか。なにかオブセッションでもあるのか。
「いつか戻ってくるから」
としーちゃんは言った。
僕はそれを、僕に対する励ましと思おうとした。
僕はほとんど泣いていた。
それでも彼女は僕の頭を撫でてくれて、優しく言ってくれた。
「大丈夫、絶対戻ってくるから。そしたらまた遊ぼうよ」
「遊ぼうよ」の「そぼうよ」の発音のあたりでしーちゃんは崩れていった。決壊した。優しくあろうとしていた彼女も、僕との別れを悲しんでくれた。
泣いた。僕らはふたりとも。
彼女は僕にとって、まぎれもない姉だった。
母のいない僕にとって、彼女はそれに似た……違うな、しーちゃんはどこまでもしーちゃんであって、僕はそれに多分に甘えていた。母性を感得しなかったかといえば嘘になる。けれどそれはどこまでも同年代の親愛をもとにしたものだった。
有体に言えば……僕はしーちゃんに恋をしていたのだ。
笑ってくださるな。
僕だって、一応は人間なのだ。一応。
それが失われると知ったとき。
僕の目の前からしーちゃんが消え失せてしまうのだと知ったとき。
「死に分かれるんじゃないんだよ、ゆー君」
そう彼女は言ってくれた。
「死」という言葉が、お互いにとって重い言葉であることを、よく知った上で、彼女はあえてそう言った。
そう、死ぬんじゃない。
それでも僕の目の前には、彼女の不在が、ぽっかりと穴を開けていた。
もう二度と……
もう二度と、彼女の優しさを、受け止めることが出来ないのだと。
僕は泣いた。
これから「あるべき場所」「いるべき人」のない世界に行くことを。
そしてそれは彼女もそうだった。
僕は不出来な弟であったことは、ここまでで知れることと思う。
最後の最後まで僕は彼女に甘えていた。
頭を撫でられていた。
あ、ひとつ申せば、わたし(作者)は、「星空のメモリア」というえろいげーむが大好きです。再会型幼馴染的に。