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エギナとガドナ  作者: KEE
第一章:一つの出会い
7/17

遊覧航海5~待ち続けた男~

はい、一度執筆すると止まらなくなるKEEです。そのくせ一度止まるとなかなか執筆できなくなるKEEでもあります。

前回バトル物と言っておきながらまったく戦闘描写が書けなく、逃げを選択してしまったので今回は頑張って…、書ければいいなぁ。

部屋には誰もいなかった。

入り口でかなり激しい戦闘があったようだが、中のほうは全く荒らされてない…。

しかしジュンは肩で息をしながらも頭のほうはいたって冷静だった。自分でも驚くほどに。



(今までの部屋もそうだった。殺人が行われても金品が荒らされた形跡はなかった。明らかに下っ端と分かるやつがあさっていたが…、この海賊も目的がはっきりしない。

はっきりしないと思ったのは他にもあった。部屋の惨状にしては赤いソレが少なすぎた。4等室では多くて8~10人(子ども含め)がいた。しかし部屋によって飛び散っていた量がバラバラであった。真っ赤に染まっていない部屋はなかったが10人が殺されたにしては少なすぎた。

そして・・・、

子どもの死体を一人も確認していない。これが大きなカギだ。マウアさんやサヤはまだ生きている可能性がある。

あの護衛二人はどうかはわからないが、あのおっさんのほうはかなり強い方だから大丈夫だと思う。


というか、こんな1等室のVIPルームにずっといるはずがない。ここだとあまりにも目立ちすぎる。みんなでこの部屋から脱出してどこか安全なところに隠れてるかもしれない)


こう思うことでジュンの気持ちはいくらか軽くなった。



<ここで>である、<こんな状況で>である。

人によってはこの気の緩みを油断という。ジュンの周りには7人のアサシンがあと2歩まで間合いを詰めていた。




ジュンはこの状況に気づかなかったのか?それとも気付けなかったのか?


無論


そんなはずはない。

人によっては『油断』と呼べるそれは、ジュンにとっては『余裕』の見せつけであった。



後1歩までアサシンが踏み込んだとき、仕掛けていた魔法の罠が発動する。

ジュンを囲むように一つ円が、アサシン全員を囲むようにもう一つ円が形成された。

彼らはすぐさま二重円から出ようとしたが線上に氷の壁ができており出口はなかった。


「君たちは強いよ。でもね、その自信が、僕を過小評価したことが敗因かな。」 

  ピキピキ          彼らの体が凍っていく・・・。

「上には上がいる。僕の体に着いたソレは自分のソレでも乗客のそれでもない。」

   ガキッ、バキッ

「君たちのお仲間が確かにここにいたと、そしてもういないことを証明できるソレだ。」

                 ピキィーーーン

「冥土の土産だ。覚えておくがいい。」                    ビシィ!!

「これが

     Lv4

         だ。」

ジュンの周りに氷の輪ができる。

    ガッシャーーーン

ジュンが氷の壁をこつん、と叩くと7人のアサシンは氷もろとも破片と化した。こうして氷の檻を崩し、ようようとジュンは次の目的地へ向かった。

「ひとまずデッキに上がってみよう。」














「う、うぅ・・、カーザさん・・・。

                    !?

                         はっ!ここは?」

メイルは周りを見渡そうとしたが暗いので何も見えない。星空さえ見えないのだからおそらくどこかの室内であろうと推測した。周りに人の気配が多くありすすり泣く声やむせび声が聴こえる。

メイルは自分が無力であったことが悔しくなった。魔法もダメ体術も剣術もダメ、ただただ誰かも助けを待つしかできない。助けに来る人知り合いということもあるが、自分の無力さで大切な人が危険を冒している。それなのに自分はここで待つことしかできない。その事実が辛かった。

(カーザさん、どうか無理をしないで。)

メイルは祈った。







「う~ん、やっぱりデッキは敵の巣窟か~。軽く見積もっても50人はいるなぁ。ヤバそうな幹部っぽい奴もいるし。ただ、いなくなった人たちがここにいないってことは~~~~~~、下側にいるってことだから~~~~~~、機関室あたりかな?ここにいても仕方がないし、気づかれる前にサッサと―――――。


・・・・・・。


あ~、もう分かったよ僕の負けですよ~!!何だよみなさん僕に気付いていながら気づかないふりをして後ろの4人でバッサリですか、このヤロー!!」

すでに後ろにはモリを構えたアサシンがいた。


「おや?彼らの存在に気付いたのですか?大したものです。ですが――――」

何もないところからナイフが飛んできた。

ジュンはとっさに回避行動をとったが、避けた先にもう一本ナイフがあった。

「!? ぐっ」

右腕で防御はしたがナイフが刺さってしまった。

(動きが読まれてる!?)

「観念して出てきたと見せかけて、油断したところで起動詠唱省略の魔法でかき回し逃げるか、我々を打ち取るかの計画でしょう?バレバレです。

痛みでしばらくは起動詠唱省略はできないでしょう。」

「くそっ・・・。」吐き捨てるように言った。

起動詠唱省略はかなりの集中力がいる。ナイフがもろに刺さってしまったので痛みで集中ができないのである。

(しかし、いまどうやってナイフを…。)

「まぁ、あなたの実力と勇気に免じて取引をしませんか?命を助ける代わりに我々の仲間にしてあげましょう。今我々には力が欲しい。あなたはぴったりだ。」

「ふん、誰が―――」


        「止めておけ、コーザ。」

                    白髪の御老体が杖をつきながらゆっくり現れた。


(!? 何だ、あのおじいちゃんが出てきた瞬間空気が重くなった!?)

「!? 何故ですか、父さん?ここまで実力のある男は珍しいのに・・・。」


「確かに腕は立つようだが群れる行動を好むような男ではあるまい。こういう自由奔放なやつは屈服させて仲間にしたのではいづれ組織の崩壊につながる。

この俺、デイズ・バル・ジーダが言うんだ、間違いない。」


「デイズ・・・・、バル・・・・・、ジーダ・・・・・。どこかで聞いたことがあるような?

  !?  なっ、またか!?」

再びどこからともなくナイフが飛んできた。顔をそらし切り傷を作ったで済んだ。

「無駄ですよ。仲間に引き込めないと分かった以上はあなたは単なる危険分子です。今日はアレがあるので忙しいのです。今すぐ死んでください。」

ジュンは必死に避けるが、やはり避けた先にナイフが待っている。それに加えてコーザが斧を持って突撃してきた。

接近すれば斧の一撃をくらい、離れれば謎のナイフで体力を削られる。丸腰のジュンは少しずつ傷を増やしていった。

「くそっ、魔法を使っているはずなのに・・・はぁはぁ、起動詠唱省略か?いや、それにしてはあのコーザっていう男から魔力が感じられない。はぁはぁ、いくらなんでもあれだけ派手に動いてその上で起動詠唱省略してるとすると具象化するほどの魔力があの男から感じれてもいいはずだ。いや、まず第一に今考えていることは机上の空論だ。はぁはぁ、本来ならできるはずがない。・・・はぁはぁ、何なんだ?、はぁはぁ。

それに加えて周りのやつらも気になる。巻き添えを食わないために参戦してこないが、あからさまに何かの準備をしている。コーザも忙しいって言ってたしな。はぁはぁ。」



「ほらほら、考え事もいいですが気が反れましたよ。」

ジュン

「!? しまっ―――」

バックステップをしたが左足が逃げ遅れた。

ジュン

「ぐあぁ!!」斧の重い一撃が入った。切断まではいかなかったが骨まで少し斬られた。

倒れたジュンにナイフが襲いかかる。



             ガギンッ!


「ごめんなさい。回復に時間がかかってしまったの。」

「若いの!まだ生きてるか?」

「お嬢様がわざわざ助けたんですよ、だから勝手に死なないで下さいよ。」


「サヤ、マグアさん、シルド・・・。」ナイフは防御魔法Lv1ゴガードに防がれていた。


「おやおや、誰かと思えばさっきのやつらですか。探す手間が省けましたし、エサが戻ってきたし一石二鳥ですね。ここでまとめて―――」

「おいっ、コーザ。後がつかえている。あまり浪費するなよ。」

「分かってますよ、父さん。」


「どうしますお嬢様?あのナイフの謎解けましたか?」

「全然。まったく何なのよ、あれは。」

「まぁ、とにかくなんか動いてみないことには始まりませんよ。」

シルドとマグアがコーザに突っ込んでいく。どうやらサヤ達もあの不思議ナイフに苦戦したらしい。


「意気込んで戦っているところ悪いんだけど、ここは僕に任せて君は機関室に行ってくれない?」

「はぁ?何言ってるのよ、あんた。ボロボロになったから体力も魔力も使う回復属性を使ってまで助けに入ったのに、無駄骨じゃない。」

「謎が解けた。」

        「えっ!?」

「やつはコネクトしている。複数の…、魔源石と…。」

「!? なっ、なんて無茶な!その方法は―――」

「やつも長くはつなげるつもりはないようだ。一撃一撃が確実に殺しを纏っている。持久戦もいいが人質のいるこちらの方が不利だ。だから・・・。」

「だから?」

「魔源石とあいつの繋がりを切る。やつの攻撃を止めるにはそれが一番手っ取り早い。

あとおそらく・・・・・、たぶん機関室に人質が、マウアさんがいる。頼む。」

「・・・・、ふぅ、分かったわ。その代わりちゃんと倒してよね。」



「話し合いは終わったかな?君の護衛たちは退屈でしょうがない。」

二人とも謎のナイフの攻撃に翻弄されて傷ついていた。

「二人とも下がってください。僕が戦います!」

「ほう?また君か。回復魔法で立てるようにはなったようだが、なぁ。」余裕たっぷりの態度で言う。

「いや、僕は回復魔法は苦手でね。」

(集中だ!!こんな程度の傷に邪魔はさせない。

      僕にはやらないといけないことがある…。マウアさんを助けなきゃいけない!!)

「喰らえっ!」コーザが斧を振り落ろす。 ソレを右ステップで回避したジュン。

「ふっ、はぁっ!」

コーザは待っていたかと言わんばかりな顔をした。そして



 シーーン 何も起きなかった…。



「な、何だと。なぜ―――

            うっ!?」

ジュンの周りに物凄い魔力が集まっている。


”海より深く山より高い欲望よ貪欲に喰らい尽くせ”

               防御属性Lv2『アパイト』魔力吸収魔法


「ぐっ、き、貴様が魔源石とコネクトいて、はぁ、莫大な魔力をつかい、がっ、変化属性Lv4『クリメンソーセ』を、ぐぬぅ、起動詠唱省略で使いナイフを生成、はがぁ、

後は動属性Lv4『マリクグツネット』で動かせば終わり。なら、その魔力の供給を断てばいい!!」

「ふん、それがどうしたのですか!!私はその膨大な魔力を常に消費するという方法とこの特殊な鎧のおかげで維持していました。

ただ吸収するだけの貴様では器が耐えきれなくて自滅するたけだぞ。その上魔力の放流が激しくあなたの実力でもアパイトを止めることはできないでしょう。貴様は丸腰の隙だらけ。問題外です!!」

斧を振り上げて突進してきた。



やつは勘違いしている。

僕には無理だって!?舐めるんじゃないよぉ!

「ぅ、ぅうおおぉぉぉ~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!」

アパイトで奴の魔力供給を断ちながら駆け出した。

「動いただと!?いや、もう遅い!!」


確かにもう回避は間に合わない。

いや、もう回避はしない。戦う!!


     素手VS斧   


「終わりだぁぁーーー!」

               そんなことはない!!

「武器ならここにある!!」

それは

           右腕に刺さったナイフ


ジュンもダッシュし、コーザと0距離になる。0距離ならば斧は使えないがナイフは十分使える。

すれ違いざまに切った。コーザの利き腕の腱を。

後ろで斧が落ちる音がした。

「大した奴だよ、あんたは。まさかLv4の起動詠唱省略、しかも変属性と動属性を同時になんて…。この船の魔源石分と、その鎧…、魔源石製に装着された魔源石分の魔力でモノを言わせて使うとは。自分の体も顧みずに…。」

「えっ!?なにを言っている?この父さんがくれたこの鎧なら制御できる。

父さんはこの鎧があれば大丈夫だと言っ――――――

                                  グギャァ!?」

コーザが急に苦しみ出した。

右腕から出血してるが、実はそれどころではない。コーザの腕を切ったことに安心してジュンはアパイトを止めてしまった。いまだ船の魔源石とコネクトしているコーザは流れてくるその膨大な魔力に耐えきれなくなった。急いで鎧に着いている魔流変更機を操作しようとするが、利き腕が使えずうまく操れない。止められない魔力の流れで体が悲鳴を上げた。口がうまく動かなくて魔法を唱えて消費するという方法もとれない。

ジュンはコーザを助けようと鎧を外そうとするが鎧が頑なにそれを拒んだ。

ジュンがもう駄目だと思った時魔力の流れが消えた。

ジュンはサヤがコーザと船の魔源石のコネクトを切ったのだと安心した。


だがまだ何にも解決していない。

海賊は残っているし、親玉も無傷(御老体だけど)多くの人は殺され、船の乗組員も生存しているかどうかわからない。こんな状況で無事辿り着くのか不安だが、まずは目の前の敵をどうにかしなくては。

倒れそうな体を必死で支えジーダを睨む。


その眼に気付いたのか、ジーダは弱くなった足腰を何とか支えながら拍手で迎えてきた。

今の自分と同じような足腰を見てこれなら勝てるかと思った。

「素晴らしいな。圧倒的不利な状況でコーザを倒すとは。」物凄いオーラが籠っている。

(やはりこの人どこかで見たような・・・?)

「と、父さん。どういうことですか?この鎧を付けていれば安心だって、平気だって。なのに、なのに、右腕だけじゃなく左腕も足も動かないんだ!」

「そうか、それは大変だな。だがもうそんなことは考えなくてもいい。

時は満ちた!! 準備は整った!!」

ジーダの周りに具象化された魔力が見えた。

ジュンは何が起きるのか警戒した。


”舞台の上で踊る役者 その華やかな姿は艶かし されどそこは舞台にあらず 

                           哀れな傀儡師よ我が手の上で踊り続けろ”

           動属性Lv4『マリクグツネット』

コーザ「と、父さん。まさか!?」

コーザ甲板に運ばれた。いや、叩き連れられたと言った方が正しい。

「お前の鎧は単なる制御装置ではない。この儀式には必要なキーなのだ。そしてそのためには少々の犠牲がいる。息子よ、お前の死は無駄にはしない。」

「「!?」」

「船をも動かす巨大な魔源石が2つ、処女・童貞の若いエサ、新月の夜、そしてこの魔法陣!!」

ジーダを中心にしてデッキをすべて範囲とするような巨大な魔法陣が現れる。


”すべての時をはらむ数多の星々よ、すべての時を示す母なる太陽よ、すべての時を刻む一繋ぎの歴史よ”


「こ、この起動詠唱はっ!?」


~機関室~


「ありがとうございます、サヤさん。」

「ごめんねぇ~ジュンが助けに来なくて~(笑)」

「そ///、そんなことは期待してません//////」

「でも急いだ方がいいのは事実だよ。あの男でさえ中ボスポジションなんだから。」

「はいっ」

二人が外に出ようとしたとき魔源石が仄白ほのじろく光り、機関室全体を包み込むような巨体な魔法陣が現れた。

サヤはその魔法陣に書かれた文字を見て驚いた。

「この魔法陣は・・・!?」




ジュン&サヤ

「「全く次元の異なる魔法アウトサークルスマジック」」



”若き血潮ををすすり過去にすがることの溺れる哀れな乞食に大いなる時の慈愛を”

「さぁ、伝説の魔法よ甦れ!!」














船が光に包まれた。















ジュンが目を開くと、

コーザがきていたマントを羽織り、しっかりした足腰で立つ

{若返った}

      デイズ・バル・ジーダ

                であった。

はぁ~~~~、これを書いているといつの間にか夜が明けてしまう…。

リアルを大切にできないKEEです。

今回は・・・、今回 も バトル物になりきれなかったです。改めて文字で伝えることのむずかしさを知りました。


魔法解説

氷属性Lv4:チルスラグヤ 

ジュンが最初に使った魔法です。氷属性歳強で今回のように設置式で罠を仕掛けることも可能。地面に◎のラインが現れ線で囲まれた空間がすべて凍り砕け散る。ラインが完成したことは氷の壁が完成したことを示すため、気づいた時には逃げられない。

変属性Lv4:クリエイソーセ

時空片の変換により物質を作るという魔法の原則の中を極限まで高めた魔法。粋なところに好きなものを作れるといえばどれだけすごいか伝わると思う。

防属性Lv2:アパイト”海より深く山より高い欲望よ貪欲に喰らい尽くせ”

魔力を吸収することで防御する魔法。

動属性Lv4:マリクグツネット”舞台の上で踊る役者 その華やかな姿は艶かし されどそこは舞台にあらず 哀れな傀儡師よ我が手の上で踊り続けろ”

ある対象の行動を完全に支配する魔法。抵抗することも可能だが無力に等しい。四肢の動きはもちろん、浮かすこともしゃべらせることも呼吸をさせないこともできる。

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