王女として、エギナとして、人として
全国3人くらいしか待っていないかもしれないファンの皆様、更新でございます。(もしかしたら3人もいないかも)
そろそろ前書きに書くことが無くなってきました。見てくださった方の中でここが知りたい!っという意見がございましたら答えられる範囲で答えていこうと思います。なので奮ってご感想に良いつけてください。
えっ!?感想の強要ですか?アッハッハ、ご冗談を。私は誠心誠意皆さまの疑問にお答えしようと思った故の行動ですよ。
「メイル、メイル」
「ん?誰?誰ですか、私の名前を呼ぶのは・・・?」
「僕だよ、ジュンだよ。」
「えっ!?ジュンさ――」
「いいの?本当に?」
「? 何のことですか・・・?」
「僕が…、その…、『初めて』をもらって///。」
・・・・・、
「○×△×□!?!?!?」
えっ!?
えっ!?
ええっ!?
ど、ど、っど、どういうこと!?どうしてジュンさんが目の前にいて私の…、その、その…、『初めて』を///
「できるだけ優しくするから。でも…、痛かったらごめん。」
「えっ、あっ、うっ。
わ、私もジュンさんなら・・・・・・、
ジュンさんがイイです(ボソボソ)」
「メイル…。」
「ジュンさん…。」そして椿の花が一輪落ちる―――
「メイル、起きろ朝だぞ!!」
ことはササン・マウア、メイル・マウアの父の声により阻止された。
「ガバッ !?
・・・・・、ゆ、夢・・・?」
「俺はもう出かけるから母さんの面倒を、って
? どうした?顔が真っ赤じゃないか。」
「おっ・・・、お父さんのバカァァァ!!どうして、どうしてあと10分、いや5分長く寝かせてくれなかったの!!あと少しで、あと少しで…。」
「ど、どうして俺が怒られなきゃならんのだ?唯起こしただけだぞ。」
とばっちりもいいところである。そこへ母カテナからのフォローという名の追撃が来た。
「きっと愛しのジュンさんの夢でも見てたんでしょうね。」
「なっ!?お母さっ―――」 ボンッ!!
夢の内容を思い出して顔を真っ赤になり、煙を出した。
「プシューーーー」
「むっ! 俺はそんな得体のしれない運び屋なんかに娘をやるわけにはいかんがな。」
「!? お、お父さ―――」
「まぁまぁ、彼のことはおいおいわかるということで、あなたそろそろ出かけなきゃ。」
「むぅ。・・・・、行ってくる。」
「行ってらっしゃい。」
「…、いってらっしゃい。」
ジュンさん、あなたは今、どこにいますか?
会いたいな。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
夢を見た。とても悲しい夢。18年前の、守りたいものを守れなかったあの日の夢。
友との約束を破り、仲間を裏切りそれで勝手に逆切れしたあの日の夢。
そして、18年前の夢と目の前で闇にのまれる王女がダブる。
「また、僕は守れなかった。」
自分の全力を恐れるがゆえに――――
守れるはずのに守らなかった――――
「はっ!」
はぁはぁはぁ 自分の荒い息だけが部屋の中に響く。
「ここは…、地下室?」
窓がなく音がよく反響し、上に作られた小さな小窓から光がさしているだけの薄暗い部屋からそう判断した。部屋の中には今寝ているベッドと小さな椅子と机しかない。机に上には水を張ったボウルがあり、端に血の付いたガーゼがかかっていた。
「ぐっ!?」ベッドから起き上がろうとしたが痛みが邪魔をした。
鳴らないまでもお腹が空いていることを認識した。光の入り方からして太陽は高くなっている。おそらく昼前か昼過ぎか。方位の分からない今の状況では断言しにくかったが昼近くなのはわかった。
「あれが2時くらいだったから10時間近く寝ていたのか…。ノアさん無事かなぁ…。あの親衛隊の女の人に任せたから大丈夫だと思いたいけど、強そうだったし…。
・・・・・。 よしっ!」
痛む身体に鞭打って何とかベットから降り立つことが出来た。これまた痛みを堪え歩いて扉の前まで来た。
ガチッ、ガッ!ガッ!ガッ!
予想通り扉のカギは掛かっている。内側にカギが見当たらないということはここが地下牢ということも考えられる。
「にしては立派すぎるかな?」
部屋としては質素すぎるが、牢屋と考えると豪華すぎる場所である。何もすることがなく仕方がなくベッドに戻る。
(これって痛みを我慢しただけ損なんじゃ・・・。やめよう、悲しくなってきた。)
そしてやっとのこさベッドに横たわる体制に戻った時、
ガチャ キィーー 扉の鍵が開かれた。
「? まだ目が覚めていないのですか?」
一人の家政婦が入ってきた。手に持ったお盆には昼食?がのっていた。
「この男、もう丸一日も眠りっぱなしで。一日も早くガドナなど追い出してしましたいのに…。王女様の命令が無ければ一刻も早くたたき起して拷問にかけて…。
クッ!何故この男の食事まで由緒正しきジルトリア家が面倒を見なくてはならないのか。」
・・・・。ガドナとばれたか…。よくよく触覚を確かめてみれば包帯も怪我をしたところだけになっている。
それより問題なのはこの家政婦の言動だ。明らかに差別的発言だ。確かにここワタツミは先のガドナイト侵略戦争でエギナの中では一番被害を、国家崩壊まで追い込まれた。
だから今の発言がこぼれるのも納得はできる。できるんだが…、
やっぱり辛い。
ガドナの人間はエギナではほぼ悪役扱いだ。ガドナイトの侵略がエギナのガドナに対する偏見を確立させてしまった。ガドナイトは…、みんなは…。
「マルチダ、そう言ってやるな。王女の命令だ。」
昨日?見た銀髪の女騎士が入ってきた。どうやら僕はこの人のお世話になっているようだ。
「しかしお嬢様!相手はこのジルトリア家の前頭首ギア・ジルトリア様の―――」
「黙れ。」
アミスの声が冷たく響く。自分に投げかけられたのではないはずなのに体が強張った。
「ビクッ!?」投げかけられた本人は完全に畏怖している。
「もう過ぎたことだ。それに戦場の活殺に私情を挟んでは新たな火種を生むだけだ。あの戦争は終わった。悪は滅び平和になった。エギナも…、ガドナも。」
「・・・・・。」
ジュンの心にアミスの言葉がしみた。
「それに、その男、ジュン・カーザとか言ったな。もう目が覚めているぞ。」
「!?」
「前見たときとシーツの乱れが明らかにおかしい。一回起きているはずだ。
で、呼吸のパターンが不確定。つまり自分の意思で呼吸しているということだ。
何か反論はあるかな?ジュン・カーザ君?」
「・・・・、
やはりあなたに彼女を任せてよかった。」
「当然だ。私は幼少のころから女王様をお守りしてきたのだ。あの程度の輩に後れはとらん。」
「ぅんしょっ! つっ!? はぁ~、起き上がるのも楽じゃない。
僕のことはエナさんから
「エナじゃない!ノナ・エンズだ!あと呼ぶ時は女王様と呼べ、ガドナ!!」
・・・・、僕のことは女王様からある程度は聞いているね。」
「ああ。女王様を守ってくれたことだけは感謝する。」
「で、他に何が聞きたい?」
「貴様!!お嬢…、頭首様になんて口を!!」
「構わん。ガドナが礼儀知らずなのは知っている。」 フンッ!
「その言い方はどうかと思うんだけど。」 ギンッ!
「仕方がなかろう。経験則だ。」 ドンッ!
「そうだ!!貴様らが我が国を滅ぼしたあの横暴さときたら!!」 ギャーギャー!
皮肉の応酬でストッパーがいないと話が進まない…。仕方がないのでジュンは折れることにした。
「・・・・・。
そう…だね…。ワタツミは唯一エギナでガドナイトに占領させた国だっけ。」
「貴様、抜けしゃあしゃあと―――」
ギンッ!!! 「ビクッ!?」
少々小言の多い家政婦を一睨みして黙らせる。
「で、私に何の御用ですか?ジルトリア家頭首殿。」
「単純なことだ。ガドナであるお前がどうしてこんなところにいて、どういうつもりで名前を偽り、なんの思惑があって我が女王に近づいた?」
「…、僕は18年前の戦争でエギナ取り残された。名前を偽ったのは生きていくにはエギナ式の名が必要だったから。
女王様に近づいたのは・・・、
偶然?」 ケロッ
「・・・・・。」
「なっ、あっ、ぐっ。 ぐぅぜん…。
口が開けばっ!よくもまぁそんな嘘がポロポロと!!」
家政婦さん、ごもっともです。
「女王様が言うには、そちらから声をかけてきたと聞いたが。」
「そうよ!やはりこの男はあいつらの仲―――」
「そりゃあ物陰を転々と移動しながら怖そうなオジサンたちから逃げている女性がいたら助けるだろ?常識的に。」
・・・・・。しばしの沈黙が流れた。
「ククッ、確かにそうだな。」
「!? お、お嬢様!?何を笑って――」
「下がるぞ、マルチダ。私たちがいたのでは飯もゆっくり食べられないだろう。
丸一日寝ていたのだ。ゆっくり食わせてやる。色々拷問にかけようと思ったが、今日はもう拷問も尋問もなしだ。」
「○×△×□!? お嬢様!!何をお考えに!?」
「マルチダ!いいから下がるぞ。」
「クッ、ソッ!」
バタンッ!!ガチャガチャガシャン!ガチッ ドンッ!
いかにも厳重そうなカギがかけられた。
「…。尋問や拷問って…、やる気だったの!?理由は分からなくもないが…。
てか今日はってことは明日以降はあるかもってこと!?
うひゃ~~~(汗」
~~ジルトリア家通路~~
ジュンのいる地下室(兼拷問室)から戻ってきたアミスとマルチダ。
「お嬢様!どうしてあの男に情けなど!!」
「・・・・・。」
「しかも本来なら隊の宿舎でよいものを、何故我がジルトリア本邸の地下室なんかに?」
「そちらの方が他の勢力の影響を受けず拷問をかけられると思ったからだ。それに攻め立てる能力はワタツミの暗部を務めてきたジルトリア家従長であり私が信頼する拷問部主任のマルチダ、あなたがいたから。それに間違って殺しても内部でもみ消せる。」
「ではなぜあの男に容赦など!?」
「お前が拷問してきた中にはあの眼をしたやつはいなかったようだな…。」
「えっ!? たっ、確かに妙な凄みはありましたが。」
「将兵でもあんな眼ができる人間はほとんどいない。いや、私が知っている以上の眼、あんな眼をしたやつは初めて見た。まるでこちらの全てを見通してしまうかのような鋭いはずなのに攻撃的ではない眼…。
私はあの男に全てを見られてしまうのではないかと恐れた。」
「!?」
「確証はない。実に非合理的だ。
それでも、私はこの戦場で培った勘は間違えてはいないと思う。」
「・・・・・。
お嬢様の勘が外れたことはありません。そのようなお考えがあるのならもう私は何も申し上げません。みっともない姿を見せて申し訳ありません。」
「いいさ。
だが、いつまでも目を背けているわけにはいかぬ。おそらくあの男に拷問の類は無意味。だから少々絡め手を使う。」
(まっていろジュン・カーザ!私が貴様を暴いて見せる!!)
~~地下室~~
「――――――!?―――――― ゾクッ!!
ト、トイレ(切実」
こうして少々?の不安要素を残しながら一日が終わった。
そして次の日・・・。
「少しつきあってもらうぞ。」
「へっ?」
朝一、朝食を運んできたマルチダとともにこの頭首様は言った。
「出発は10分後だ。それまでに食べておけ。」
「ちょっ!?まだ6時前だよね?やっと明るくなってきたばっかだよね?10分!?」
「それではごゆるりと。」 ペコッ
バタンッ!!ガチャガチャガシャン!ガチッ ドンッ!
「・・・・・。でっ、できるかぁぁ~~~!!!」
~~馬車の中~~
「で、こんな早朝に僕に何の用ですか?」
「貴様に会いたいと女王様が申し上げられたのだ。しかし女王様は忙しいお方。こんな時間にしか時間が採れなかった。以上だ。何の不審な点はないぞ。」
「不審な点はないがそれを前もって伝えてくれると嬉しかったんだけどな、頭首様。」
「仕方がない。私も昨日聞いたばかりだ。」
「どうして昨日のうちに伝えなかったんだ?」
「ガドナに会う機会は少ない方がいい(キッパリ)」
「・・・・・。」
こんな空気の中馬車はワタツミ城についた。
~~ワタツミ城 謁見の間~~
カツ カツ カツ カツ 大理石の部屋に靴音だけが響く。
「万が一、いや三に一に不審な行動がみられた場合貴様は子この世からおさらばしていただくことになる。」
「うん、ものすごく信用されてないのは分かった。
で、肝心の女王様は?」
「貴様が気にすることではない。」
「王女様はまだご就寝中だ。」
王座と思われる椅子の横にいる大臣がそうキッパリと申し上げやがった。
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「ねぇ「何もしゃべるな。」
・・・・・。」
「ガガン隊長はどうした?」
「あの男なら今回の襲撃犯割り出しのためもう出かけたよ。」
偉そうな男がそうしゃべりながら入ってきた。いかにも悪人ヅラしている。
「しかし女王さまはまだお目覚めにならないのか、客人を待たせておるというのに!
それもこれもオルノス、貴様らが甘やかし過ぎなのではないのか?」
「なっ!?言いがかりはよしていただこう。今回のことはこの男が女王様を助けたことを盾にして無理矢理決めつけたこと。女王様は承諾してはおられない。」
「!? ちょっ、まじ「何もしゃべるな!」
そうはいかないっしょ。話が全然違―――」
「何を騒いでいますか?みなさん。」
とても透き通る声がその形容を具現するように響き渡った。
「!?」
「すいません。でも、女性の支度はある程度時間のかかってしまうものなのですよ。だから許してください。」
一国の女王とも思えない低姿勢に家臣たちは声を荒げた。
「お、王女!?この男にそのような気遣いは無用でございます!!」
「それについては私も同意見です。聞けばこの男ガドナであるとか。得体のしれないガドナなど処刑、よくてエギナ追放ですぞ。」
二人の大臣がそれぞれ自分の意見を言っている。
「この男について正体がつかめないのは私も同意見です。正直このような男は見たことがありません。危険だと判断します。」
おー、おー。凄い言われようっとジュンが呆れながら驚いていると
「黙りなさい!!」
「ビクッ!?」ジュンを含む全員が止まった。
「この方は私の命を守ってくださいました。それでなくともこの方のおかげでいろいろこの国の裏路地も知ることが出来ました。
ガドナが何ですか!私も一国の主です。そのような人がいることは知っています。ガドナの人もガドナイトの被害で大打撃を受けました。国の政事を司る者がガドナ=悪という考えを持つとは愚の骨頂!
エギナイトの勇者にて現ガイア領国王ダン・オーガが和平の道を目指す決めたのに我が国がこのようでは恥さらしではないか!!」
「しかし王女さm、女王様!こいつはガドナイトに所属していたと吐きました!!」
「「!?」」今度はジュンを除く皆が固まった。
「・・・・・。(やっぱそういう展開になりますよね~)」
「…、そうですか…。
私は18年前ガドナイトにこのワタツミが滅ぼされたことは忘れられません。あの戦いで父上様、母上様、ギア・ジルトリア、他にも数多くの人の命が奪われました。それを忘れることも蔑ろにすることはできません。
…、しかし、
18年前ならジュンさんはどう考えても10代前半。少年兵のはずです。どのような思惑でガドナイトに身を置いたのかは知りませんが子どもに正しい理解などできるはずがありません。
ガドナイトだから処罰するなんて物騒ではありませんか。確かに罪を償ってもらわなくてはなりません。しかし私は罰を与えるよりも更生させたい。それがガドナイトに勝る唯一の手段だと思います。
理想論と言われればどうしもうもありませんが、私はそう信じて生きていきたいのです。」
「・・・・・。」
一同は静まり返っていた。
(正直おてんば娘がそのまま大人になったような人かと思ったが、ちゃんと女王やってるんだな。)
「ジュン・カーザ。」
「?」
突然女王様に声をかけられた。こっちに声かけられるとは思ってもみなかった。
「申し訳ありませんでした。本来ならこちらからお伺いをするべきでしたのに。私の我が儘で滞ってしまった公務を片づけていたらこのような形に―――」
「いえいえ、勿体ない言葉ですよ。(やっぱ僕から申請したことになってるのね)
それに…、
いろいろ、色々ありがとうございます。」
「こちらこそありがとうございました。」
「「・・・・・。」」(なんなんだこの空気は!?)
「一つ聞いてもよろしいかしら?」 一つトーンの下がった声だった。
「? 何でしょうか?」
「…、ジュンさんはどうしてガドナイトに?」
その顔はなんて聞けばいいのか迷いながら困った表情をしていた。ま、当然か。
女王様からの印象はイイヒトになっているから何故ガドナイトにだったのか不思議なんだろう。
「僕は・・・、
私はエギナが見たかった。」 「!?」
「ガドナは暗闇の世界、そう称されるのが納得するほどここと比べれば暗い世界です。僕は当時エギナの存在が信じられなかった。光に満ちた世界というのが想像できなかった。僕、私にとってここはおとぎ話に出てくる楽園のような世界です。
僕はそれが見たかった。」
((胡散臭い話だな。))
「・・・・!?」
大臣たちは同じようなことを考えたがアミスは衝撃を受けた。彼女にとってガドナは侵略者であり母国を滅ぼし大切な兄を奪った相手である。そんなガドナがこんな考えをしていることなど思ってもいなかった。嘘だと思った。しかしジュンの眼をみると信じざる負えなくなってしまう自分に戸惑いを感じた。
「そうですか。では遅くなりましたが
エギナへようこそ、ジュン・カーザさん。エギナの一人間としてあなたを歓迎します。
「・・・・!? ありがとう(ボソッ
ありがとうございます。ノナ・エンズさん。」
僕はこの時の彼女の顔と自分のほほを流れた涙を忘れない。
だんだん後書きに書くことがなくなってきてさびしい気分です。
そこで簡単な次回予告でも
「へっ!?やるの!?…、僕が!?」
「はぁ、はぁ、はぁ。強い…。」
「悪いね、伊達男さんよ。あんたに会うのは初めてだが負けるわけにはいかないでね。男としても、親としても!!」
ひれ伏す僕に立ちはだかる者は確固たる執念!!
「僕は…、死んで償えるほど軽くない。」
「ジュンさーーーん!!!」
ま、こんなかんじになればいいなぁ~~。