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エギナとガドナ  作者: KEE
運び屋と家出の逃走中
16/17

親衛隊

お久しぶりです。なんか更新速度が遅いからこんなの見てくれる人がいなくなるんじゃないかと思うくらい空いてしまいましたが、めげずに更新させていただきます。



今回の解説は世界が異なるから言える名前の付け方についてです。

【エギナ】

エギナの名づけ方は 「名前+名字」 という一般的な2音節の名づけ方です。ここに入る名字は父親の姓が入ります。

今までで出てきた姓は

トリューナ・オーガ・マウア・エンズ などなど


【ガドナ】

ガドナの名づけ方は我々とは大きく異なるので少し覚えにくいと思います。

 「父の姓+母の姓+名前」となり3音節の名づけ方というわけです。

第一章のボス、デイス・バル・ジーダ

       デイスが父の姓、バルが母の姓、ジーダが名前です。

ジーダが結婚する場合、ジーダは父親なので子どもに父の姓を与えます。同じように母親は子供に母の姓を与えます。

というわけで作中に出てきたコーザは、デイス・母の姓・コーザ というわけです。



以上が名づけ方の違いになります。

もちろん、ジュン・カーザは彼がエギナで暮らすために考えた偽名なので彼の本名は3音節です。彼の本名はこの物語に大きくかかわっているのでここでは内緒です。


2011 7/3 ガガンの名前を間違えてダンと表記していました。

       まさかの名前を間違えるというミスを・・・。反省です。

2011 9/28 副隊長の名はジルトリアです。間違えてすいません。

 パ

 シ

 ュ

 ッ

 !


矢は、かよわき乙女の軟肌を貫き、鮮血を吹き上げる噴水と乙女は化す―――


                                ことは当然なかった。


矢は明後日の方向に飛び遠くの壁に刺さる。


「ほう、まだ立ち上がりそのような方法で反撃に出るとは…。」


「はぁはぁっはぁはぁ。よくよく考えれば武器なんていっぱいあるんだよね。

                        僕の体に刺さっているから…。」

女が王女に放つ前、ジュンが体に刺さった矢を引き抜き女の手めがけて投げつけた。矢には当然返しがある。応急措置としてはこういうのは傷口を広げないために抜かないのが鉄則だ。しかしジュンはそれをためらいもせず引き抜き、避けなければ刺さるほどの速さで投げつけたのである。

そして立ち上がりエナの元へ行き、女とエナの間に立ちはだかった。

                               が、――――

「グッ!」

「!? ジュン!!」

当然代償はある。無理矢理引き抜いた所から大量の血が流れ出る。ジュンは膝をつき、倒れこんだ。

「お前はよく頑張ったが、貴様の命などどうでもいい。」

そう言いながら矢を装填しエナに照準を合わせる。

   

「”二人を隔てる壁となれ 閉じろ光の門よ”『ゴガード』!」

防御魔法がエナを包み、矢を弾く。

「ほう、自分ではなく王女をかばったか。」

「? はぁはぁ…。王女?」

「知らないのか?そこにいるのはこの国の王女

                ノナ・エンズ。

                       ではなかったらわざわざ私が殺しに来ないさ。

不思議に思わなかったのか?たかが女一人にここまで騎士が動くはずがない。お前は騙されていたんだ、この女に。お前は王女誘拐犯として危うく一生を牢屋の中で過ごすことになっていたぞ。」

「っ・・・・。」

ノナ(エナ)は弁解したかった。そんなことはしない、させないと。

しかし王女でありながら軽率なことをした、それに彼を巻き込んでしまった。もしこのまま彼が捕まればその女の言う通りになるのは明白だった。彼を騙したことは事実。いくら自分が弁明しようとも少なからず罪には問われてしまう。彼は私を最低な女だと思うだろう。

もしここでジュンに見捨てられようものなら自分は確実に殺される。腰が抜けて恐怖で口が動かない。いつもそばで助けてくれる彼はいない。ジュンが頼みの綱なのだ。


けれど私はそのジュンをだまし、犯罪者にした。


「王女を助けるヒーローになるのも悪くはないが、それで投獄されては元も子もない。そんなわがままな王女はさっさと見捨てた方が賢明だ。幸い顔はばれていないようだし、今逃げれば何とかなるかもしれないぞ。」

その女の言う通りだった。自分は見捨てられるのではないか、見捨てられたら・・・。恐怖で体が震えた。


「・・・、ジュ…。」

ノナ(エナ)は唇も震えていてうまくしゃべることができない。死を覚悟したことは今までにもあった。特に18年前、ガドナイトがワタツミに侵攻した時だ。しかしあのときとは決定的に違うことがある。あのときは信頼できる親衛隊が守ってくれた。しかし今はであったばかりの包帯男。

ノナはジュンの顔を見た。どんな顔をしているか気になったからだ。絶望に打ちひしがれた顔をしているのか、私を最低だと睨んでいるのか…。



ジュンの反応は、



「ふ~ん、

        で?」


「!?」

「逆にスッキリしたよ。彼女が王女、ノナ・エンズならあの警備体制もしつこさも納得がいく。というか薄々気づいてたしね♪

で、騙されたとか牢屋暮らしがどうこうだって言ってたね?はっ!僕の罪が一生牢屋暮らし程度で済むなら全然いい方じゃないのっ!

ま、それに悪いけど彼女が誰であろうと守るって約束したし、ここで見捨てたら今度こそ彼に斬り殺される。

                それに…

         人を殺そうとするお前が嫌い!以上!!」                   血の流れる傷を手で押さえジュンは立ち上がった。


「・・・・・。やれやれ、無駄に熱い男だ。少々厄介だがお前もここで死ね。手負いと腰抜け、殺るのに造作もない。」


(今僕にできることはっ!)「”二人を隔てる壁となれ 閉じろ光の門よ”『ゴガード』!!」

ジュンはノナのゴガードの上から自分まではいるほど広いゴガードで覆った。

(時間を稼ぐこと!暗殺は時間をかけられないのが弱点。ろくに動けないならこれしかない。

それに彼女が――――)


「お前の判断は正しい。やはり貴様は危険だ。

ただ、唯一落ち度があったとするのなら・・・・、

                   私が闇属性魔法を使えるということだ。」


「「!?」」 

「二人ともども闇に呑まれろ。」

”闇あるところに光は生まれず 禍々しい夜のとばりは降ろされた 闇に堕ちて囚われろ”『ネコツヤ』


女の周りから生まれた闇がゴガードを喰らいジュンと王女にキバを突き立てる。ジュンは動かない体を動かし王女をかばう。エギナの人間は闇属性が弱点でガドナの人間の方が闇属性に耐性があるからだ。闇がゴガードを喰い尽くしジュンの体を貪る。包帯はなくなりジュンの、ガドナ特有の白い肌が露わになる。

「ぐぅぅ、がぁぁ!!」

「もういいです!あなたこそ逃げなさい!死ぬのは私一人で―――」

「だまれ…。」 

「!?」

「もうこれ以上…、自分だけ生き延びるのはごめんだ。意地でも救ってやる!」

「つまらない意地を張るのは止めなさい!」

「黙れって言ってんだよぉ!!」




女は包まれた闇を見て、

「終わったか、いささか手間取ったがこれで目的を―――」


「阿呆が…。そのセリフはフラグというものだ。」


突如、女の後ろから声が聞こえた。驚いて振り向くとそこには、 

                     剣を振りかざした騎士がいた。



振り下ろされる剣。剣は大人の身長を軽く超える程の大きさだが異常なほど速かった。暗殺者の右肘から先が宙を舞う。

「グッ!」 

その騎士は剣を放し間合いを詰め、

「魔法融合脚 

       夜照月閃クレセンタファイ

騎士の脚が輝き、飛び回し蹴りが撃たれ、脚にまとっていた光が飛び出るように発射された。


ゥビュウ!!


 紙一重で女が避ける

             が、騎士の狙いは別にあった。


かわされた夜照月閃クレセンタファイは女の後ろにあるノナを包む闇を斬り裂いた。





ノナは死を覚悟した。ネコツヤによって二重のゴガードは破られ庇っていたジュンも倒れた。

頭の中に走馬灯が走り大好きだったガガンの顔が浮かんだ。

(ごめんなさい、最後の最後まで我が儘な女だったね)

その時、

   闇は斬り裂かれ光が指した。



威風堂々とした女騎士が立っていた。

月夜に映えて煌めく長い銀髪。細い顔立ちに不釣り合いな赤い鎧。男性でも使いにくい巨大な剣。美人と呼ぶには相応しくない殺気の籠った眼。そして左足の金の脚甲。

「ア…、アミス・・・・。」

ノナは無意識にそう呟いていた。


「ぐっ、親衛隊副団長アミス・ジルトリア!貴様かっ!!」

「我が女王に狼藉を働いたこと、その身を持って償うがいい。ガドナの売女が!」

剣を拾い暗殺者に切っ先を向けて言い放つ。

「どうして…、どうしてこうもタイミングよく現れるのだ、貴様らは!!」

「お前の敗因は時間をかけ過ぎたことと、その男だ。」

「!?」

「その男はいち早く私の存在に気づき、貴様の注意を私に向かないようにわざとオーバーリアクションをしていた。

そしてもう気付いただろう。ここはもう私の部下が包囲した。私の部隊は気配を絶つのが得意なのでな、私が攻撃を仕掛けてから囲むよう命令したから到底貴様みたいなガドナのクソ程度では感知することなどできん!」

「ちっ!分が悪い。ここは―――」

「逃がすと思うのか!!」巨大な剣の薙ぎ払いが暗殺者を襲う。

だが、ジャンプでかわされ

             「“闇に堕ちて囚われろ”『ダアブト』」

闇魔法がノナに向かって放たれた。当然アミスは防御に回らざる負えない。

ノナを庇い振り返った時にはあの女の姿は見当たらなかった。アミスは追いかけたかったがノナのそばを離れるわけにもいかないので叶わなかった。

「やつを逃がすな!!」

周りを囲んでいた部下に命令する。しかし捕まえられはしないだろう。それほどの実力者である。


「ア…、ジルトリア。ありがとうございます。」

「そんな、私の身に余る光栄。私はただ職務を全うしただけです。あなたの脱走を止められなかった汚名を払うために。」 

「ア、アミス~(汗」 

少々皮肉交じりのセリフだったがアミスだから許されるものである。これは親衛隊副隊長という肩書ではなくノナとアミスは幼い頃からの知り合いで年も近く同性ということから王女の侍女兼護衛をしてきた。身分という壁がなければ親友同士になっていた仲なのである。



「はっ!ジュンさん!?」

すぐに自分を信じ最後まで庇ってくれた人のことを思い出し自分の膝の上で倒れているジュンを気遣った。

ジュンは多数の矢傷と闇魔法による浸食をうけ重体だった。

「いけない!アミス、急いで誰か医者を!」

そう言いながらアミスの方を振り向くとアミスは目を見開き何かに驚いたような顔をした。

「? アミス、どうしたのですか?」

「・・・。女王様、どいてください。」 ジャキン!!剣が鈍く鳴る。

「!? ア、アミス…。何を…。」


「その男を斬ります。だからどいてください。」 ガシャン!!アミスは構えた。


「なっ、何を言っているのですか!この人は私の命の―――」

「その男の肌、闇魔法を受けてその程度の傷…。

      間違いありません。その男はランダー、あの暗殺者と同じガドナの人間です。」

「ガド、ナ…。

       で、ですけど彼は――」

「王女を守るふりをして内部に侵入する作戦の可能性があります。」

「アミス!それは考え過ぎです!!第一彼が暗殺者なら私の首を狙う機会はいくらでもありました。」

「あなたは危機管理能力が低すぎます!今さっきガドナに命を狙われたばかりですよ。そうやって油断を誘っているのかもしれないのに…。

                           ごめん!」

アミスはジュンをつかみ王女から離れたところに投げ飛ばした。

「あっ!」

ノナは立ち上がろうとしたがまだ腰が抜けていてうまく立てなかった。

「はぁぁぁ!!」

巨大な剣を振り上げジュンを真っ二つにするべく打ち下ろす。

「ダメェェェェ!!!!」

ノナの叫びが夜の闇に染み込んでいった。


   ドゴォーーーーン  爆音と剣圧が広がった



ジュンを狙う凶刃は、


          一人の男の剣で


                 止められていた。

「ふぅ。何やってんだ、アミス。」


「ガガン・・・、隊長・・・!?」 「ガ・・・ガン。」

「もう一度聞く。何をやっている、アミス!」

さっきより強い口調で言う。

「聞こえてきた声から判断するに、我らが姫を守ってくれたナイト様を、姫の制止も聞かず殺そうとしたみたいだな。」

ガガンは思いっきり皮肉をこめて言い放った。実はガガンとアミスはそこまで仲はよくないのである。

「そ、それは…、こいつがガドナの人間だから…。王女の命を狙ったものの一味の疑いがあったので…。

     隊長までどうしてこいつをかばうのですか!」

最後は開き直ったように言った。

「庇うつもりはなかったさ。ただ姫がこっちにいるとの報告があって向かっていたらいきなり男が目の前に飛んできて、あとから剣を振り下ろすお前が来たのでな、切られたくなかったから止めただけだ。結果的に助けることになったが意図して助けたわけではない。

                   しかし…、ガドナだとはな…。」

「ではどいてください。」

「アミス!やめなさい!!」

「…、悪いが姫がそれ(ジュンを斬ること)を望まれてない以上ここを俺がどくことはない。お前は剣をしまえ、下手をすると姫の命令を聞かなかったということで反逆罪に問われても知らんぞ。」

「グッ!」

「そんなに疑わしいなら姫に近づけさせなければいい。そいつは王女誘拐の罪がある。軟禁したり逮捕したりしようと思えば何でもできる。」

「ガ、ガガンまで何を言うんですか!?」

「・・・。分かりました。ではこの男は私が預かります。私の隊の宿舎にでも置いておきます。隊長は王女を城まで送り届けてください。」

「いいだろう。くれぐれもやりすぎないようにな。うっかり殺して情報が聞き出せなくなるなんてオチは笑えないぞ。」

「わかっていますよ。今のところは王女を守ってくださったナイトですから。しゃべられる程度に傷の手当てはしますよ。」

「流石ジルトリア家当主、よくわかっていらっしゃる。」

「ちょっと二人とも!彼に何かあった場合は許しませんよ!」

「ご安心を。まだ(・・)何もしませんよ。」

まだ(・・)、ねぇ。まぁいい。それより帰りますよ。姫。」

「アミス、彼に手を出してはいけません。絶対ですよ、絶対!

もう。・・・・・・・・・・、

    !?」

「? どうしました、姫?」

「//////、まだ立てない…。」

「へっ!?」

「こうなったらおぶってもらうしかないわね(キラーン」

「な!」

「ノナ!!

  違う、

 女王!!何を言っているのですか!いい加減この男は諦めてください!だいたいもっとおしとやかに(ブツブツ。」

「その通りです。ちゃんと女王としての資格を―――」

「女王の命令を聞けなかったら反逆罪にしていいんだよね?隊長さん。

 そしてアミスは早くジュンを助けてあげて。本当に死んでしまう。」

「「・・・・。グッ、分かりました。」」

「それでよろしい。」



こうして女王の恋の大作戦は終わりを迎えた。新たな影を残して・・・。



「ムフフ、ダンの背中ひっろ~い♪」

「あ~もう!節度を持ってくれぇ~~~!!」

いやはや、気がついたらもう7月っすね。暑い暑い。

流石にジュン君メインのストーリーではないのでジュン君が空気化していく。

今回は新キャラのワタツミ領親衛隊副隊長アミス・ジルトリアについてちょっと補足を。

どうしても彼女の裏設定を話しておかないと次の話でこんがらがってしまうかもしれないこととそれを説明する場面が作りにくいということで後書きに書きます。


代々ジルトリア家は親衛隊隊長を送り出してきた由緒正しき軍人家系。アミスはその末裔。18年前のガドナイト侵略戦争においては14歳で直接戦いに参加はしなかったがワタツミ陥落時はノナが逃げる間の護衛を全うした。この際アミスの異母兄弟で同世代では一番の使い手だった兄(享年17)が死亡し、頭首はアミスになった。

今まで女性が党首になったことはあったがそれは同世代で最強だったからであり繰り上がりで頭首になったアミスに不満を持つ者もいる。そして本人もそこに負い目を感じている。

それに加えてアミスの母親は正妻、兄の母親は側妻。そのことも本人は気にしている。


とまぁこんな裏設定を考えてました。他にもノナの母、つまり王妃はワタツミ陥落のときにお亡くなりになっています。国王はもうちょっと前の攻防戦で戦死しました。

もうこれだけで一話分作れそうなんですけどやっぱり面倒くさいのと余り本編にかかわらないので割愛です。

もし過去編、ガドナイト侵略戦争を書くときになったら筆を取るかもしれません。



【魔法解説】

ない・・・だと!?


【魔法融合】

魔法融合脚 『夜照月閃クレセンタファイ

       光属性魔法+蹴り 光をまとわせた脚で蹴る。

       アミスは回し蹴りをすることで光を発射し近中距離攻

       撃にしている

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