いい大人の家出
さぁ第二章です。張り切って行きましょう。
今回の前節は国家についてです。
~~エギナ~~
パライゾ
フェザリオン領、国王:ダイナ・ヌンバ
少し小高い所にある。風の集まる場所でフェザリオンにとっては来やすいのが特徴。エギナの中で唯一空の交通網が完全に整備されている。
ガイア
テライオン領、国王:ダン・オーガ 王妃:チルス・オーガ(チルス・ナイン)
戦争後、勇者ダンが国王となった。それまでは厳しい入国管理が有名だったが今はかなり緩和された。しかし今はそれがちょっと問題になっているとかなっていないとか…。見晴らしいのいい丘に建っている。
ワタツミ
マリオン領、女王:ノナ・エンズ
エギナ唯一の女王国家。海に接した場所にあり、船による輸出入が盛ん。この国が抱えている最大の問題は女王ノナ・エンズが結婚していないことであり、国民からはワタツミと結婚した女王と称されている。
~~エギナ~~
ラピュタ
ウインガー領、国王ピタ・デ・ライオ
谷の隣にある国。一人前の儀式として谷に落として上がってくるという風習がある、がウインガーにとってはかなり楽。織物の生産が高い。
ユートピア
ランダー領、女王:アイ・ドゥ・ネトン
ガドナ唯一の女王国家で絶対王政の国。といっても国としてはちゃんと回っており絶対王政の成功例として他国から高い評価を受けている。
オーシャン
サーペンター領、国王:ニュリタ・バ・ティティ
ワタツミと同じく海に接した国で海運による貿易が主な歳入源。この国は現在海中潜航船を発明しようとしている。
エギナ ワタツミ ワタツミ城
~とある一室~
「わざわざ済まないな、サヤ。」
サヤの前には30代とは思えないほどの貫禄を持つ男が座っていた。礼服を着ていてもその下には屈強な体があることは難なく予想でき、隙がない。しかし男の目は優しく穏やかであった。
「これくらい何ともありませんよ、伯父様。」
そう、この男こそかの四英雄ガドナイトが一人、ガガン・トリアである。今は彼の生まれ故郷であるここワタツミの親衛隊隊長を務めている。
彼は旧友リン・トリューナの娘サヤ・トリューナとの面会のためサヤを自分の部屋に招いたのであった。
「しかしリンの奴、手紙一つをよこすのに自分の娘を使うとは。相変わらず人使いの荒い奴だな、郵便を使えばいいものを。」
そう言って彼は手紙があたかも胡散臭いものであるかのようにを見た。先ほどの穏やかな目が嘘のようである。
「お母様曰く、とても大切なものだからちゃんと届くと保証できる方法をとった、だそうです。」
「ちゃんとねぇ…。
ま、新聞を読んだが、よく頑張ったな、サヤ。」
「……、ありがとうございます。しかし感謝されるわけにはいきません。私一人の力ではどうしようもできなかったですし、多くの人を見殺しにしてしまったのですから…。」
(「悪いんだけど僕のことは黙っててくれない。いや~ガドナの人間、しかもガドナイトってばれるかもしれないから。ごめん。すべてサヤが頑張ったことにして。」
あの時ジュンが言った言葉を思い出しながら言った。)
「 ? …、何があったか知らないが、言いたくないほどつらい経験をさせてしまったようだな。すまない、俺たちがあのとき確実に仕留めておけばこんなことにはならなかった。」頭を下げるガガン。
「!? 頭をあげてください、伯父様(汗
伯父様が頭を下げることはありません。私が未熟だっただけです。守れなかったのも、勝てなかったのも…。」
「? 勝てなかった?」
「いっ、いえ、私一人ではということです。」
「そうか…。
いや、本当にご苦労だった。お前の護衛にも・・・、そうだ!マグアさんが一緒らしいな。悪いが呼んできてくれないか?久しぶりに会いたい。」
「分かりました。では失礼します。」
そういって部屋から出ていき、しばらくしてマグアが入ってきた。
「お久しぶりです、マグア先生。」
「おいおい、先生はないだろ先生は。俺は何も教えてないしあの頃からお前のほうが腕は上だっただろ。いい加減にため口にしろって。」
「いえ、マグア先生のほうが年上であることには違いありませんよ。それに俺はあなたから―――」
「騎士としての生き方を学んだ、だろ。もう覚えたよ、こっちも。お前も頑固だなそんな事だからいまだに所帯が持てないんだぞ。リンも心配してたぞ、その手紙で。」
「・・・・・・・・・、やっぱりソレか。わざわざ娘まで使って届けさせるような代物ではないのではないだろ。あいつめ…。」
「気をつけないと、お嬢様に抜かれるかもしれないぞ。どうやら好きな人ができたみたいだし。」
「!? マジか。リンの時でも思ったがあの性格と付き合えるやつがいるんだな。」
「リンを振ったお前があいつの魅力に気付かないのは仕方がないか。と、お嬢はまだ片思いで止まってる。しかもライバルがいるからな、結婚まで発展するかどうか。」
「俺の時みたいに振り回されるだろうな、そいつ。会ったことはないが同情するよ。」
「で――――――
そんな世間話を聞きにわざわざ呼んだわけではないだろ、ガガン。」
「流石マグア先生、実は―――」
「あの海賊襲撃事件について聞きたいんだろ。」
ガガンはコクリと頷き、
「サヤの話を聞く限り何か隠しているように思いまして。内容によっては女王、もしくはダンに報告するかもしれないが話してはもらえませんか?」
「俺は気絶していたから全てを見ていないがそれでもいいならな―――」
そうしてマグアは時属性魔法とジュンのことを話す。
「なるほど……、それは公にはできないな。ただ内容が内容だ、エギナイトには話させてもらいます。
それよりジュンという男のほうが気になります。サヤと協力してジーダを倒したらしいがサヤは年齢を喰われているから実質一人で倒したことになる。しかも時属性を打ち消した、か…。」
「たしかにスペックだけをみると恐ろしい奴だが、彼はいたって人畜無害な性格だよ。私が保証しよう。それにお嬢様の片思いの相手でもあるしな。」
「!? そんな男に惚れたのか、サヤは。自分より強い奴に惚れやすいのは母親譲りだな。」
「その言葉リンに伝えておくよ。ではそろそろ失礼するよ、お嬢様が痺れを切らすころだ。」
「分かりました。見送りに――――」「いらんよ。」
そう言って部屋から出ていった。
「ジュン・カーザ、か…。
と、手紙手紙。あいつ確認してくるからな。読まないと怒るし。」
親愛なるクソガガンへ
季節はまためぐりこちらは春を迎えました。そちらはどんな様子ですか?
私はあなたの結婚報告を今か今かと待っています。また1年過ぎちゃったぞ!
あなたの不甲斐の無さにはほとほと困っています。
あなたにはノナがいるからって思ってあなたのことは諦めたのに、まだ結婚しないってどうことよ。
諦めた私が惨めじゃない!!今の家庭に不満があるわけじゃないしあなたと結婚しなくてよかったって清々してるからいいけど。
あ~もう、じれったい!!!!!!
「相変わらずの手紙だな。だんだん敬語がなくなっていく…。」
はぁ、とため息をついていると
―――――!?――――――――ヤツガクル・・・。
戦士の勘に何かが触れた。
いや、何かは分かっている。ただそれを口にしたくなかった、認めたくなかっただけである。
バァーーン と扉が勢いよく開かれた。 ヤツガキタ
「ガガン!!明後日式典を開きます。あなたも来なさい。」
扉を盛大に開けた張本人はこの国で一番美しく一番権力のある人、そう、ワタツミ国女王ノナ・エンズであった。艶やかな長い黒髪、程よくぽっちゃりとした体、クリりとした瞳。しかしその瞳は何故か投資に燃えていた。
「分かりました…。で、何の式ですか?」(よかった、普通の内容のようだ)
「決まっているじゃない!あなたと私の結婚式典です!」
「は?」
思考が停止した。
「私は言い考えを思いつきました。先に既成事実を作ればいいのです。ベッドの中でなく国の中に。そうすればあなたも私と結婚するしかない!!」
「・・・・。
姫様らしからぬ発言が垣間見えましたが、リンの入れ知恵だな、あの野郎。」
ちなみにリンと姫は文通している。おそらくサヤは姫様宛の手紙も持ってきたようだ。
※ガガンはノナのことを姫と呼ぶ
「!? リ、リンさんは何にもかかわっていませんよ(汗
そ、そんなことよりわかりましたか?」
「丁重にお断りします。諦めてください(キッパリ)」
「なっ!?
うっ、うっ、ガガンのバカ~~~~~。」
そう言って泣きながら部屋を飛び出し自室に籠ってしまった。(女王の自室は向かい部屋)
「はぁ、諦めないだろうな…。はぁ。」
~ノナ・エンズ自室~
「うっ、うっ、うっ。お父様、お母様また振られてしまいました。もうこれで24865回目のお断り(数えている分だけで)です。私は諦めるしかないのでしょうか?」
部屋に飾ってある両親の肖像画に泣きついて言う。
「お父様とお母様がなくなってから一人ぼっちで頑張ってきて、諦めずに求婚してきました。
でも、でも、もう限界です。私はどうしたらいいのでしょう?」
(ノナ、諦めるのは早いわ。私だってお父様をゲットするのに三万回は求婚しましたよ。{史実です})
(そうだよ、彼だってもうすぐ根気負けするって、私のように。{史実です})
そんな声が聞こえた気がした。
「わかりました、お父様、お母様。私、めげません!諦めません!!」
そうして、サヤは帰り、夜を迎えた。
ノナは『ベッドに侵入、一緒に朝を迎えましょ大作戦』を失敗し両親の肖像画の前で泣いていた。
「うっ、うっ、ガガンのバカ!いくら照れ隠しだからってあそこまで言うことないのに。」
実に反省していない様子。
この国の国民のために言っておくが、ノナ・エンズは国政はちゃんとやっている。国が傾いているとか豪遊していて財政が破綻しそうとかは一切ない。恋愛に関してこうなのだ。そして女王がガガンのとこを好いていることは国の大臣はもちろん国民はほとんど知っている。特に大臣はガガンと結婚させよう派と国外の有力な人間と結婚させよう派に分かれているため派閥争いが起きているが、女王がガガンしか見てないのでガガン派がかなり有力。ガガンは大臣の説得も聞かないといけない。
「私、諦めません!!(どうしてこの結論に至ったかはさっきと同じ)
こんな時こそリンさんのくださった秘策その2を使うときです!!」
そうして夜は更けていく。
~~朝~~
「ガガン殿!ガガン殿!!」ドンドンと扉を叩く音で目が覚めた。おかしい、いつもはこの時間には目が覚めているのに。不審に思いながらもドアを開ける。
大臣「ガガン殿、合鍵を使いたいのだ。」
「何っ!?どうした?」「いつもの様に女王を起こしに来たのだが返事もないし寝息すら聞こえない」
「? それは妙だな。」
姫の部屋の鍵は姫が持っていて、合鍵を俺と大臣が二分割して持っていて合体させて初めて鍵として機能する。
鍵を作り姫の部屋の錠を解く。
・・・・・・・・・・・・・・・・・、
「くそっ!」誰もいない。いた形跡すらない。
バカなっ、昨日はベッドを死守してその後ドアを挟んで姫と会話して(鍵かけたので)そのあと寝たが…。俺が寝た後か?いや、姫のことに関しては細心の注意を払っていた。何かあったら起きるはずだ。俺の感知能力を超えるやつ!?いや単体ならともかく人一人を連れては不可能だ。
いろいろな憶測が一瞬で頭の中を駆け巡る。
ベッドを見る。 冷たい、使われた形跡がない。少なくとも夜のうちに消えたことになる。
まず混乱を来さぬよう我々だけで捜索する。1日過ぎても手掛かりがなければ問題だが国民にも呼び掛けるしかあるまい。琴は一刻を争う!
「んっ?」
毛布の下に何か紙がある。犯行声明かと拾って読んですぐにベッドの下を調べ、あわてまくっている大臣にこう告げた。
「事件の80%は解決した。」
大臣はその言葉にキョトンとしていたが、ガガンの眼は血走っている。
「あの女ぁぁぁ~~~~~!!!!!!」
ノナちゃんへ
ガガンと落とす方法をまた考えたよ。
作戦1.先に国民に結婚する意志を伝えて逃げれなくする大作戦!!
作戦2.
急にいなくなって心配させてみよう!心配するのは恋心から
大作戦!!!!
あとでどうだったか教えてね♪
あなたの永遠の友 リン・トリューナ より
あ~~~~、主人公でなかったな~~~~、出したかったな~~~~。
大丈夫です!次回はちゃんと出します。まぁ今回出す予定だったんでこの先の展開が読める人が大半だと思いますが第二章もお付き合いください。
感想、誤字脱字の指摘、要望、要求、
批判、誹謗中傷、なんでも聞き取りますォィ。
だけど、イシダケハナゲナイデー