医者
朝起きてから、体調が悪い。頭が痛いのと吐き気がする。
俺は近所にある医者に行くことにした。
医者 「…それで、今日はどうしました?」
白衣に身を包んだ医師が診察をしてくれる。良かった、思っていたよりもまともそうだ。
俺 「実は、朝起きてから頭痛が酷くて…」
医者 「…そうですか」
医者はそう言うと、テレビの電源を入れ、ドラマを観始めた。
※ ※ ※
俺 「…あの」
医者 「何でしょうか?」
俺 「診察はどうなったんでしょうか?30分くらい立ってますけど…」
医者 「ああ、すっかり忘れてました。ちょっと待っててくださいね」
医者はそう言うと、テレビの電源を切り、診察の準備を始める。随分待ったが、ようやく診察が始まるのだろう。
医者 「…それで、今日はどうしました?」
俺 「実は、朝起きてから頭痛が酷くて…」
医者 「…そうですか」
医者はそう言うと、鞄からバットを取り出し、素振りの練習を始めた。おそらく、地域の野球大会にでも参加するのだろう。身体の事を考えて、運動にも力を入れているとは、実に見事だ。
※ ※ ※ ※ ※
俺 「…あの」
医者 「…何でしょうか?」
俺 「素振りの練習は別に良いんですけど、診察はどうなったんでしょうか。なんなら練習を始めてから3時間くらい立ってますし、なんならもうお昼ですけど」
医者「ああ、すっかり忘れてました。ちょっと待っててくださいね」
そう言うと、医者は大慌てでバットをしまい、お昼ご飯の準備を始める。ちなみに医者の今日のお昼はお味噌汁ときのこご飯だった。健康には気をつけているのだろう、医者だけに。俺は医者が美味しそうにきのこご飯を食べるのを横で黙って見ていた。
俺 「…あの」
医者 「…何でしょうか?」
俺 「…ところで、そろそろ診察してもらってもいいでしょうか?」
すると、医者は大慌てでお昼ご飯を片付け始めた。…長かったが、ようやく診察をしてもらえるのだろう。
医者はすぐに白衣を脱ぎ、紳士服に着替え始める。
医者 「それじゃあ、行ってきます」
俺 「…あの」
医者 「⋯何でしょうか?」
俺 「診察はどうなったんですか?っていうか、どこに行くんですか?」
そう言うと、医者は申し訳無さそうに頭をかいてから言った。
医者 「…ごめんなさい。これから、最愛の彼女とデートなので。それとあなたは見たところ、具合が悪そうなので医者に行くことをオススメします。どうぞ、お大事に」
医者が最愛の彼女とのデートに出かけてしまうと、俺は真っ暗な部屋の中に一人取り残される。
…うう、頭が痛い。
仕方なく、俺はスマホを取り出し、医者のアドバイス通りにこの近くの病院を検索するのだった。




