表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Stay Here  作者: 多手ててと
重賞

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/28

24.サンライズカップ(3)

「本日はお忙しい中、グランフェリスの祝勝会にお集まりいただき、本当にありがとうございます」


悠馬はグランフェリスの祝勝会で開催の挨拶をした。正式にはグランフェリス「号」と付けるべきかもしれないが、悠馬の好みで省略。


祝勝会というと当日のイメージがあるかもしれないけれど、サンライズカップのセレモニーが終わった頃には21時を過ぎていた。平日で翌日もレースがあるし悠馬は仕事。そして何と言っても幼児がいるから無理。


だからサンライズカップから10日程たった土曜日に苫小牧のホテルの小会議室で開催した。出席者は10名程のこじんまりとした祝勝会だけど、驚くなかれ参加者よりも報道陣の方が人数が多い。


ホッカイドウ競馬の広報は当然来ると思っていたけれど、動画用のカメラを持ってきているのは意外だった。そして競馬専門紙が5社も来るとは思わなかった。いずれも全国で発売されているもので、中央競馬が中心の記事が掲載されている。もちろんいきなり現れたのではなくて事前に高梨調教師から打診があった。


そしてスポーツ新聞。普段競馬記事など重賞しか載せないようなところが2紙、そして北海道の地方紙。


なぜこんなに多くの報道陣が来ているのか? 彼らのお目当ては悠馬はもちろんグランフェリスでも無い。


「まずはグランフェリスがサンライズカップで見事な走りを見せてくれたこと。そして高梨兄妹のお二人が初めてH1を制覇されたことを心からお祝い申し上げます。紗季さん、信義さん、本当におめでとうございます。私もその偉業に携わることができてとても嬉しいです」


そう、報道陣のお目当ては紗季さん、それにプラスして信義さん。この兄妹は重賞を勝ったことはあるけれど、H1は初めて。昨今競馬界にも女性進出が進んでいるけれど、話題になる程度には珍しい。兄妹で初H1となると相当に珍しい。多分世界的に見ても似た前例はないと思う。親子だったらワンチャンある?


ホッカイドウ競馬、前身の道営競馬から数えても重賞を勝利した女性ジョッキーは紗季さんが2人目。偉大な先達が重賞を獲った時にはまだH1~H3のグレード分けが無かったから、H1を制覇した女性騎手は紗季さんが初になる。


他の地域で最高峰のグレードで勝利した女性騎手はいるし、道内でもばんえい競馬ではものすごい勢いで勝利数を重ねている女性がいるので、そちらでの達成は時間の問題だとおもう。


でも兄妹で調教師と騎手で初めてのH1獲得は、もう二度と起こらないような快挙だ。


これが父と息子、あるいは兄弟だとまだあるかもしれない。でも女性騎手や女性調教師は珍しい。初優勝でなくても、しばらくこの兄妹でしか起こらないのではないかと思う。実際、紗季さんがH3を勝った時もそれなりのニュースになった。


もっとも夫婦の騎手が同着で優勝したということも過去にあるので、今後何があるかはわからない。あくまで現時点ではそう思う。


「グランフェリスは、私にとって特別な馬です。彼女と出会いここまで一緒に歩んでこれたのは、紗季さんの見事な騎乗と信義さんの的確な調教、そして雪島ファームの和田さんをはじめとする多くの方々の支えがあったからこそです。この場を借りて、改めて感謝申し上げます」


今日の出席者は高梨調教師、沢井騎手、ふたりのご両親、紗季さんの旦那さんと息子さん。そしてグランフェリスの生産牧場から和田さんが来てくれた。そして紗季さんと仲良くなったというソフィアさんとマリコさん。悠馬を入れてちょうど10人。本当に内輪の集まりだ。


「以上、お酒はありませんけれど、乾杯の挨拶とさせてください」


参加者よりもプレスの方が人数が多いけど、皆拍手をしてくれる。そしてバッチリ広報の人が撮影していた。使われるとは思えないけど。


実際、悠馬の後に紗季さんが挨拶を始めると、シャッターが次々に切られフラッシュが煌めく。どちらが主役か非常にわかりやすいですね。続けて信義さんだけど、こちらは紗季さんと悠馬の間ぐらい。


実際レース当日のウィナーズサークルの盛り上がりもすごかった。息子さんを抱きかかえた紗季さんの受け答えでお客さんが盛り上がっていた。でもセレモニーが終わった後、ソフィアさんが紗季さんに話しかけているのは意外だった。そもそも来ていたのも知らなかった。何やらふたりで盛り上がっていたのは見てたけれど、後日紗季さんから、祝勝会に呼んでいいかと聞かれた時は少し驚いた。


ふたりが英語で話したのか日本語で話したのかは知らない。ただ、コミュ力の高い人同士はすぐに親しくなるから凄いと思う。ちょうどホテルの手配をしていた時だから、悠馬は出席者の数を増やした。土曜日にしたのは悠馬自身もホッカイドウ競馬も休みだから。


そして普通の祝勝会だとこの後は報道陣に退席頂いて、関係者と会談になるのだけれど、希望があったので、このまま取材を受けることにした。当然紗季さんが中心だけど、信義さんや、兄妹のご両親も取材を受ける。空いている悠馬のところにも競馬専門紙の人が来た。


「グランフェリスの次戦についてお伺いしてよろしいでしょうか?」


それは一番馬主の意向が重視されるところ。悠馬がうなずくと問い掛けが続いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ