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エピローグ 大切な人へ心からの祝福を

春歌、夏希、秋乃、冬美の4人は旅行を経て更に絆を深めた。春休み中も4人で出掛けたり、大学生になっても、社会人になっても4人での集まりは続いていた。流石に頻度は減っていたが、それでもまだ月に一度は短時間でも、あるいはリモートでも、4人で集まって近況報告をしていた。



今日も4人は秋乃の家に集まっていた。ただし、いつもと違うのは、今日は4人とも幸太郎に呼び出されているという事だ。



幸太郎とは卒業後あれっきり__という訳では無くて、普通に彼との付き合いは続いていた。それどころか、彼の恋人とも度々会っていた。流石に最初の頃は気まずい思いをしたが、今では幸太郎の彼女と春歌達4人で女子会も開く程だ。



だから、春歌達は何故今日、自分達が幸太郎に呼び出されたのか分かっていた。



「絶対結婚報告だよね」



夏希が断言する。態々4人を呼び出してする事、今の幸太郎達の年齢と交際期間の長さ、そしてどれ程時が経とうとも、喧嘩をしようとも冷める事のなかった2人の愛__結婚報告以外考えられなかった。4人とも幸太郎から呼び出しの連絡受けた時点で察した。




「とうとう幸太郎も結婚かぁー」

「私、親族以外の近しい人が結婚するの初めて。周りに恋人がいる友達もいるけど、結婚とかはまだ考えてないみたいだし」

「結婚はお金もかかるしね。たとえ結婚式を挙げなくても、新居とか色々と物入りだと思うし」

「その点、幸太郎はちゃんと考えてるのかしら?」

「大丈夫だよ。大学の時から結婚資金貯めてみたいだから」



幸太郎の母経由で聞いた話をすると、夏希達がドン引きした。春歌もその話を最初に聞いた時は引いた。幸太郎らしいと言えばらしいけど、流石に気が早すぎる。付き合ってからまだ1ヶ月位しか経っていないのに結婚資金を貯め始めるなんて。大学卒業と同時に結婚するというのならまだしも、そんなつもりも無かったらしいから余計に。




「ホント、真面目というかなんと言うか…」

「まぁ…アイツの良い所ではあるわよね」

「真面目過ぎて偶にウザいって、あの子、言ってた」

「ちょっと分かるかも…真面目過ぎるのも考えものだよね」



「そういえばあの時もさー」なんて夏希が幸太郎との昔話を始めたのを切っ掛けに話題は高校時代の話へと移行する。今までも何度もこの時の話をしたが、まだまだ話題が尽きる事は無い。5人で過ごした思い出の他にも、幸太郎と春歌、夏希、秋乃、冬美、それぞれの2人だけの思い出もあるからだ。最初の頃は話しづらかったその話も、もう今は笑って話せるし笑って聞ける。完全に幸太郎への恋は吹っ切れていた。




そうして話続けてどれ位経っただろうか。ピロピロと春歌のスマホが鳴る。セットしていたアラームだ。



「皆、そろそろ最後の準備しないと」

「あ、もうそんな時間?」

「幸太郎達来る前に終わらせないと」

「じゃあ皆で最終チェックしたら配置につくわよ」



バタバタと4人が動き出す。今日態々幸太郎に呼び出された時刻よりも早く4人だけで集まったのも、話をする場所を秋乃の家に指定したのも、全てはこの為。幸太郎達へ、祝福を贈る為。




ピンポーン、とチャイムが鳴る。「どうぞー!」と1番良く通る声をしている夏希が答えると、「お邪魔します」と男女の声がした。幸太郎とその彼女だ。




「みんな、もう揃ってたんだ」

「うん。__それで幸太郎、話って何?」

「えーっと……その………」

「じれったいわね!さっさと言いなさいよ!!」




冬美に一喝され、幸太郎は意を決して4人を真っ直ぐ見つめる。



「実は____俺たち、結婚する事になった」




薬指にはめられた2人お揃いの指輪。4人は目配せをし合い、そして____





パァン!!



後ろ手に持っていたクラッカーを盛大に鳴らした。



驚く幸太郎を見て、サプライズ大成功だとほくそ笑む。幸太郎から結婚報告をされると予想していた4人は、彼らの為にサプライズパーティーを企画していた。実を言うともしも結婚報告じゃなかったらどうしようかとも心配していたが、杞憂だったようだ。




びっくりした後に、状況を理解して嬉しそうに破顔する幸太郎。その幸せそうな顔を見るとこっちまで嬉しくなる。春歌達もとびきりの笑顔を浮かべる。




そして、大好きだった彼に、ある意味で4人を引き合わせてくれた彼に、彼が選んだ女の子に………大切な、友人2人に。選ばれなかった4人の女の子は、この言葉を送る。





「「「「結婚おめでとう!!」」」」








______大切な貴方へ、心からの祝福を!

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