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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

食欲

作者: せとあきは

 彼を見た瞬間に食べてみたいと思った。


 その食べたいという気持ちはテレビで美味しそうな料理が映し出されていた時の同じものだ。


 私の目に映る彼は美味しそうなのだ。


 それから私の心に満たされない飢えがもたらされた。


 彼をどうするのが一番美味しいのだろう。


 そんなことを考えながら夜眠りに落ちる日々が続いた。


 私にとっての彼は鮮魚店の水槽を泳ぐ魚と同じだ。


 彼は私をどのような目で見ているのだろう。


 私の本心に気付いた時彼はどのように思うのだろう。


 気付いた時には彼は――。


 獲物を狙う肉食獣の目。


 それは比喩ではなく、まさにその通りなのだと思う。


 彼を食べることが出来たら、この飢えは消え去るのだろうか。


 それとも――しばらくすればまた飢えが訪れるのだろうか。


 彼はそんな私に狙われていることを知らない。


 世の中には知らないことが良いことがあるのだと思う。


 私が彼を思う感情もきっとそうだ。


 今日も私は彼で食欲を満たす日を想像している。


(了)

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― 新着の感想 ―
昔から「知らぬが仏」とは言いますが、この事を「彼」が知らないのはある意味では幸福と言えそうですね。 しかしながら「目は口程に物を言う」とも言いますので、「私」も気をつけた方が良いのかもしれません。
好き、という感覚にはさまざまな種類があると思うのです。 それが食欲だったなら……こわごわ、それでもなんだか一種の背徳感に酔いしれてしまうような。 彼が主人公にどんな想いを抱いているのか、気になります。…
 以前言われていた感覚を遂に作品へと昇華されたようですね。  欲望の視点を食に捉えるという事は、視覚からの伝達が味覚へと向けられているのか、それとも己の空腹を満たす為とし飢に喰らう餓鬼道へと堕ちようと…
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