09
はい、アルビ村が見えてきました。
って、何かヤケに騒がしいですね。
村の周囲をぐるりと覆っている木の柵、
その外周沿いの空き地に、ヒャッハー冒険者風な連中が大勢たむろってますよ。
「また誰か来たぜ」
「うわっ、ハーレム野郎かよ」
「もう野営場所なんかねえぞ」
あー、ガン付けってヤツですかね。
怖いって言うより、目付きの悪さがひたすら不快。
「今頃来たって無駄だぜ」
「畜生、見せつけやがって」
「とっとと帰れよ、おっさん」
……何だ、コイツら。
お前らみたいなムサい連中におっさん呼ばわりされる歳じゃねーよ、
ピッチピチの10代半ば、舐めんな。
「シジマさーん、こっちこっち!」
……はい?
呼び声に導かれるまま、入り口を守る木の門を開けてもらって村に入ったけど、
俺を呼んでるのは……誰?
「こんちは、アマツです」
---
馬月騎 天都 (マガツキ アマツ)さん。
20代後半、かな。
気さくなイケメンって感じの、人懐っこい笑顔のお兄さんです。
って、アマツさんって、もしかしてペンネッタの!?
ってか、何で俺のことを??
「あー、ごめんね」
「もうすぐシジマさんたちがベルナエリに来るって聞いてリシュナさんに言伝をお願いしてたんだけど、やっぱりちゃんと伝わってなかった?」
えーと、こういう手紙をいただいたのですが。
ぴらり
「……なるほどね、これだとレミュさんがイジワルして村に迷惑掛けてるみたいだよね」
「正確には、周りにたむろしてる連中のせいで村のみんなが森に行きづらくなってるってことなんだけど」
なるほど、確かにちょっとだけ文面が分かりづらいかも。
「あとね、このキスマークは俺のアイデア」
「女の子からこんなのもらっちゃったら、どんなに怪しい手紙でも絶対に読んじゃうよね」
「ましてやリシュナさんのキスマークだもん、効果バッチリだったでしょ」
……えーと、まずは詳しい話しを聞かせてください。