07
手紙は、お願いごとでしたよ。
ちょっとだけラブレターを期待しちゃった俺は、
後でツェリアさんからがっつりおしおきされるべき……
依頼内容は、"荒くれ者との交渉"
ベルナエリの町の北、
アレノマ王国北端にある"北の魔境"と呼ばれている未開の森、
そこに現れた竜が、森に近付こうとする者たちを威嚇しているのだとか。
その騒動のせいで森の近くのアルビ村の住人たちが、
これまで生活の糧としていた森の恵みを得られずに困っているそうです。
『ついに竜退治!』
違うよ、チミコさん。
今回も交渉で解決、の予定。
「相手は竜、危険では……」
ご心配無用ですよ、ツェリアさん。
その竜も、ちゃんと話しが通じるタイプみたいですし。
言葉と態度で威嚇するのみで、今のところ怪我人は出ていないとか。
「竜絡みの案件だし、先にレミュさんに相談してみる?」
アマツさんも『Gふなずし』所有者でしたね。
それでは、モルガナさんの方から連絡お願いします。
---
「……出ないねえ」
どうやら、連絡がつかない模様。
元々アマツさんは魔導具関係とは相性が悪いそうで、
あまり『Gふなずし』を利用していないのだとか。
あー、スマホ操作とかが苦手なタイプなのかな。
「私が『転送』して、直接聞いてくる?」
是非お願いしたいのですが、
サイノさんはアマツさんと面識の方は?
「……ごめんなさい、モルガナさんも一緒に来てくれる?」
「それじゃ、ふたりで行ってきます」
「シジマさんたちは先にアルビ村に行ってて」
それでは、気をつけて。
アマツさんと奥さまたちによろしくです。