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娘さんは、乙女モードに"変化"した竜のレミュさんでした。
竜モードで森を巡回中、小腹が空いたのでおやつを食べに村へ戻ろうとしたら、
いきなりケンカをふっかけてきたヤツがいたので、
しっぽでワンパンKOして運んできたそうです。
えーと、とりあえず、村で介抱した方が良さそうですね、その人。
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村に戻って、再度集会所へ。
レミュさんの肩に担がれていたのは、くたびれた冒険者服姿の女の子でした。
サイノさんより、もっと歳下くらいの……
今は前後不覚に昏倒中、
っていうか、安らかな寝顔でぐっすりおねむ。
竜モードなレミュさんのしっぽでフッ飛ばされたそうですが、
傷ひとつ無い様子。
流石はレミュさん、暴漢相手でもちゃんと手加減してくれたみたいですね。
『いや、結構本気で』
『でも流石は獣人、頑丈だよね』
おっと、よくよく見ると、
シルバーグレーのぼさぼさロングヘアとお揃いの、
柔らか毛並みのふさふさおみみと、もふもふしっぽが。
ゴクリ
『眠っている獣人乙女をモフるのは絶対にNG!』
分かってますって、セクハラするならチミコさんみたいに正々堂々と、ですね。
『分かればよろしい!』
「アマツさんもうずうずしてるようだけど、モフるのは本人の許可を得てから、ね」
「キビシイね、イオちゃん」
「モフるのはお預けでも良いけど、この子が起きたら一緒にお風呂、よろしくね」
確かに、冒険者服だけじゃなく、ご本人も相当に汚れちゃってますね。
そういえばこの集会所って、お風呂とかあります?
「あー、そういえばここには無かったね、お風呂」
「俺たちはイオちゃんの『転移』で、毎日ペンネッタの自宅でお風呂しちゃってるし」
それでは、うちの"一軒家テント"を隣の空き地に用意しますので、
よかったら使ってください。
「流石はシジマさん、その気配りが全国各地に現地妻を量産出来ちゃう秘訣だよね」
量産してませんってば……