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勇者召喚と黒い画面

「おい、ヨシオ! 起きろ!」

「ぐっ……うぐ……」

「気が付いたか?」


 俺はアキラに体を揺すられていたようだ。意識がはっきりしてくると、アキラが近くに居ることも分かってきた。そして、俺たち以外の人間が視界に入ってきた。


 鎧? 中世の騎士か。兵隊も沢山いるし。

 冠? この人は王様なのか?

 魔法使いの格好の人達も沢山いる。

 おとぎ話の国なのか? 夢を見ているのか?


「おい、アキラここはどこなんだ?」

「ヨシオ、どうやらすげー事が起きたようだぜ」


 え? アキラは何をワクワクしてるんだ。この状況はなんかやべーだろ。

 今まで俺達はゴミ捨て場に居たんだぞ。

 俺はどういう状況なのか、あわよくばアキラを連れて逃げ出せるのかどうかを盗み見ることにした。

 こちらの様子を見ていた王様風の男が話しかけてきた。


「%&$*%%*&#$*@%&*」


 ええ? どこの言葉だ? 英語じゃないことは分かるが。

 このまま話が進むとまずいとアキラに話しかける。


「アキラ、この人達はどこの国の人なんだ。何語で喋っているのかわからねえ」


 俺の言葉を聞いた人達がざわつく。

 そのざわつきの言葉も俺には分からないのだが。

 

「ん? 普通に分かる言葉で喋っているが……あっ、ヨシオ、言語習得のスキルをもらってないのか?

 仕方ない、俺が……」

「スキル? 言語?」


 そう考えた瞬間、黒い板のような物が俺とアキラの間に表れた。


 [language]

 ▶Japanese

  English

  Different world


 なんだ。何が起きた?

 黒い板、いやこれはウィンドウだ。

 パソコンの起動時の画面の様に無機質な黒い画面だ。

 ただ、空中に突然現れたし、薄っすらと透けていて、画面越しにアキラの変な顔が見える。

 ちょっと待て、アキラの顔が変な顔というよりは、何かを言おうとしたところで固まってるから変に見えるんだ。それに、喋っている途中な割には静かすぎる。

 いや、この部屋全体が静かすぎるんだ。

 俺は声を出そうとしたが、いまいち上手くいかない。

 なぜだ? と考えた瞬間、この画面の使い方が頭に入ってきた。

 この画面はコンソールというようだ。

 コンソールが表示されてる間は時間が止まっていて、あらゆる設定を画面を通して変えることが出来る。

 そうか今は言語を切り替える設定画面で世界の時間が止まっているのか。

 コンソールでの選択は触れることは出来ないが、念じればそれで決まるみたいだった。

 俺は日本語でも英語でもない3つ目の言語を多分これだろうと決めて選ぶ。

 黒い画面は言語を選ぶと同時に消え、時間が動き出した。


「……が通訳しようか?」

「いや、アキラ、大丈夫だ。

 王様、話を続けてください」

「あれ、スキル有ったのか?」

「よろしい、では続けよう。

 私の名はラジニアン・フォン・イラデベルポート。この国の王である。

 ようこそ、勇者召喚で選ばれた勇者達よ」


 俺の言葉が王様に伝わり、王様の言葉が俺に届く。聞こえ方は日本語ではないのだが、その言葉が元々知っているかの様に理解できていた。どんな原理だ。

 隣りにいたアキラが興奮気味で王様に問いかけた。


「俺たちが勇者ですか?」

「そう、君達は勇者召喚の書の力により導かれ、我が国に召喚されたのだ。

 この国は魔王の脅威にさらされている状況だ。

 周辺諸国も魔王の手に落ち、残された人類もこの国の民のみ。

 頼む、勇者殿の力を我々に貸してほしい!

 魔王に対抗できるのは勇者のみなのだ!」


 アキラから「よしっ」と聞こえた気がした。

 何も良いとこが無い状況を喜ぶアキラ。人類の代表になって戦えと言われてるのに。

 俺は弱気だと思われるのをわかりつつ王様に訴えてみる。


「その、俺たちは前に居た場所では、ただの一学生だったのですが、魔王に何かできる力があるとは思えません」

「我々も勇者召喚の儀式は初めてでな……。

 君達の様な子供達に任せないといけないとは、とても情けないことだ。

 だが、創造神様は仰られた。

 勇者召喚の書で呼ばれる勇者は我々が束になっても敵わない最強の力を携えているそうだ。

 今君たちの勇者の素質を確認しておる。こう話をしているうちに結果は出るであろう」


 先程まで王様の近くにいたおじさんが、いつの間にか俺たちの隣に立ち、王様に合図をする。

 王様はその合図に頷くと、おじさんがブツブツと杖に向かって呟くと、勢い良く杖を頭上に掲げた。


「解析投影!」

「おお、これが勇者様の力」

「凄いパラメータだ」

「確かに勇者の称号ですな」


 何もない空中に2つの半透明の青色の板が表示され、そこに俺とアキラの名前とともにそれぞれの情報がずらずらと記載されていく。

 俺の見たコンソールみたいな情報を表示する現象か。

 

名前:ヨシオ・エフダ 年齢:16

称号:勇者召喚に巻き込まれしもの

Lv:1 HP:14/14 MP:0/0 LP:1/1

筋力:9 知力:34 魔力:0 機動力:4

スキル:なし

加護:星月神の加護


名前:アキラ・ヒノ 年齢:17

称号:勇者

Lv:1 HP:2414/2414 MP:754/754 LP:12/12

筋力:198 知力:29 魔力:165 機動力:274

スキル:異世界言語全習得、異世界環境全適用

永遠健康、超成長、絶対異常耐性、剣聖、魔導の力、無詠唱

加護:創造神の加護、日の神の加護

 

 何かゲームみたいだな。俺たち以外の人間も食入るようにその青色の板を見つめ記録をしている。


「これが俺のステータス!

 やべぇ、HPが4桁もある!」


 アキラが目を輝かせて板を見つめていた。こいつゲーム好きだしな。興奮を隠しきれてない。

 俺も自分の情報は見ておいたほうが良さそうだと、自分の情報が記載されている板を確認する。


 ん……?

 勇者召喚に巻き込まれしもの……?

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